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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第3章:聖域に金髪巨乳の守護竜が加わりました 〜今さら戻ってきてと言われても、隣には神話級の美女がいるのでお引き取りください〜
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【悲報】元勇者、世界の果てへ。管理者が味わう果実一つで、世界が作り替えられる件

「はぁ、はぁ……っ! どこだ、どこなんだよレイン……!」


 かつて英雄と呼ばれた男、アルディスは今、泥濘ぬかるみに足を取られながら荒野を彷徨さまよっていた。アリスによって羅針盤コンパスの数値を書き換えられた彼は、レインのいる「聖域」とは真逆の方向――魔境の最果てにある絶海の孤島へと誘導されていた。


「クソッ、この剣ももうボロボロだ……! おい、誰かメンテナンスしろ! レイン! どこにいやがる、さっさと出てきて俺の剣を直せよ!」


 彼がつかんでいる剣は、レインという「パッチ」を失ったことで本来のもろさを露呈し、一太刀振るうごとに刃こぼれしていく。かつてはどれほど乱暴に扱っても、翌朝にはレインが無言で新品同様に修復していた。その「当たり前」の代償が、今、絶望となって彼におそいかかっていた。



 一方その頃、座標NULL(レインの庭)。


 アリスはレインの乱れた髪を優しく整えながら、水晶のトレイを差し出した。そこには、リヴィアが庭の奥で見つけてきたという、神秘的に輝く果実が盛られている。


「主様、あーん、ですぞ! この実はむとシュワシュワして、星が弾けるような味がしますな!」


 リヴィアが元気よく差し出したその果実は、外の世界では『神の落とし物』と伝承される伝説の霊果だった。たった一粒で枯渇こかつした魔力を全回復させ、不治の病すらやすとされる代物だ。


「……うん、本当に不思議な味だ。疲れが完全に消えていく気がするよ」


 レインがその果実を含み、薄い皮を破れば、あふれ出した魔力の余波だけで、枯れていた周囲の芝生が一瞬で青々とよみがえり、新種の美しい花々が咲き乱れた。


「レイン様。その果実は、この庭のシステムログが物質化したものです。それを召し上がるということは、レイン様がこの世界の『法』そのものを体内に取り込んでいることに他なりません」


 アリスがうっとりとした表情で、レインの口元に付いた果汁を指で拭い、そのまま自分の唇に寄せる。


「つまり……レイン様が『美味しい』と感じるだけで、世界はより美しく書き換えられていくのです」


「……なんだか、どんどん人間離れしていく気がするな」


 レインは苦笑するが、その表情に悲壮感はない。自分を虐げ、利用するだけの場所だった王国。そして今、自分を世界の中心として全肯定してくれる、アリスとリヴィアがいるこの庭。


「レイン様。不浄な者たちは、もう二度とここへは辿たどり着けません。どうぞ、次の果実もお召し上がりください。あなたが望むままに、世界を甘く、優しく作り替えて差し上げますから」


 アリスの抱擁ほうようを受けながら、レインは再び目を閉じる。遠く離れた孤島で、アルディスが最後の一振りの剣を折り、魔物の咆哮ほうこうに震えながら「助けてくれ」と泣き叫んでいることなど、この甘美な聖域には、風の音一つ届かなかった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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