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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第3章:聖域に金髪巨乳の守護竜が加わりました 〜今さら戻ってきてと言われても、隣には神話級の美女がいるのでお引き取りください〜
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【悲報】聖女セシリア、時速600キロでゴミ箱へ。謝罪に訪れた元仲間を待っていた「幸せな光景」

「……見えたわ! あそこよ! あの美しい霧の向こうに、レインがいるはずよ!」


 聖女セシリアは、ボロボロになった法衣のすそひるがえし、泥まみれになりながら叫んだ。背後には、狼にまれた傷を布で縛った重戦士ボルドがいた。その隣では魔力切れで顔色の悪い魔導師ミレーヌが、杖にしがみつき、いずるようにして命をつないでいる。


 彼らは、「鉄くず」と化した武器を見て、ようやく理解したのだ。 自分たちが最強だったのではない。 レインが、自分たちを最強に「維持メンテナンス」していただけなのだと。


「レインなら……優しいレインなら、私たちがここまで必死に謝れば、きっと許してくれるわ! また前みたいに、私たちの後ろで尽くしてくれるはずよ!」


 セシリアは、自分に都合の良い妄想を抱きながら、聖域の境界線へと飛び込んだ。かつてアルディスを拒んだ険しい森は、リヴィアの「神域化」によって、見たこともないほど美しい花園へと作り変えられていた。


「な、何よこれ……!? こんな楽園、見たことないわ!」


「すごい魔素濃度だ……! ここにいるだけで、傷がえるぞ!」


 彼女たちは、自分たちが今「不法侵入」している自覚もなく、その豊かな環境に目を輝かせる。だが、その楽園の入り口には、一人の少女が、退屈そうに巨大な岩の上に座っていた。


「……んん? なんですかな、その薄汚いアブラムシ共は」


 金色の髪をなびかせ、「暴力的な膨らみ(胸部)」をあらわにした少女――リヴィアだ。 彼女は今、アリスに命じられた「境界線の警備」という名の暇つぶしをしていた。


「な、何よその女……。ねえ、あなた! レインはどこ!? 救世の聖女である私が、特別に会ってあげるって伝えなさい!」


 セシリアがいつもの高圧的な態度でリヴィアを指差す。リヴィアは黄金の瞳を細め、フン、と鼻を鳴らした。


「……あー、主様が言っていた『昔のゴミ箱』の住人たちですな? 主様を荷物持ち扱いし、アリスを死なせかけたという……」


 リヴィアの体から、黄金の魔圧が吹き上がる。セシリアたちは心臓を鷲掴わしづかみにされたような錯覚を覚え、その場に崩れ落ちた。


「な、何……この魔力……!? 人間じゃない……っ!」


「リヴィアは『お掃除係』ですぞ。主様の庭を汚すバグを、ポイ捨てするのがお仕事ですな」


 リヴィアが岩から飛び降り、セシリアの目の前に立つ。


「お願い! レインを呼んで! 私、悪かったと思ってるわ! 謝るから! また私のために、魔法を調整してくれればいいのよ!」


 セシリアがすがり付くように叫ぶ。その「反省しているようで、結局は自分たちの利益しか考えていない」言葉を聞いた瞬間、リヴィアの口角が吊り上がった。


「むふー! さすがはゴミですな、言うことがすがすが々しいほど浅ましい! 主様はお茶の時間ですぞ。あなたたちのような『動作不良の旧型』に割くリソース(時間)など、一秒もありませんな!」


「そ、そんな……っ! 私たちは仲間でしょ!? レインだって、独りぼっちは寂しいはずよ!」


「独りぼっち? ぷっ、はははは! おめでたい奴らですな!」


 リヴィアが空を指差す。 天を割り、そこに出現したのは一枚の巨大な画面。映し出されたのは、残酷なほどに幸せな光景だ。


 テラスでアリスに膝枕ひざまくらをされながら、レインが口に運ぶのは、リヴィアが摘んだばかりの霊草のサラダ。 むつまじく笑い合う二人の姿が、満身創痍まんしんそういの彼女たちを嘲笑あざわらうかのように輝いていた。


「あ……。レイン……?」


 セシリアが絶望に目を見開く。自分たちが死に物狂いで泥をすすっていた間、レインは見たこともない絶世の美女にかしずかれ、神のごとき日々を謳歌おうかしていた。そこには、自分たちが入り込む余地など、ちりほども残っていなかった。


「さて、ゴミの分別の時間ですな。――デリート(削除)はアリスの担当ですが、リヴィアは『物理的な強制射出』が得意なんですぞ!」


「待っ、待って、ぎゃああああああああ!!」


 リヴィアが軽く裏拳を振るう。それだけで、空間そのものがひっくり返り、セシリアたちは時速600キロの「人間の弾丸」となって、自分たちが逃げてきた魔物の巣窟そうくつへと、真っ逆さまにブチ込まれていった。


「ふはぁ! お掃除完了ですな! 主様ぁ、ゴミ出ししてきましたぞーーっ!!」


 リヴィアの明るい声が、平和な聖域に響き渡る。


 一方、空を飛ぶセシリアたちの耳には、アリスが管理ウィンドウ越しに流した、無機質なシステムメッセージだけが響いていた。


『――警告:対象者の「ログイン権限」は永久に剥奪はくだつされました。二度と、この座標しあわせに触れることは叶いません』

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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