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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第3章:聖域に金髪巨乳の守護竜が加わりました 〜今さら戻ってきてと言われても、隣には神話級の美女がいるのでお引き取りください〜
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【悲報】勇者の武器、実はただの鉄塊だった。管理者の修正(バフ)が切れた末路

 王都グランゼールの王立鑑定院。そこでは、国内最高峰の鑑定士ドランが、拡大鏡を片手に持ちながら、生まれたての小鹿のようにひざを震わせていた。彼の目の前にあるのは、一見するとただの「リンゴの芯」。レインがテラスで食べ、ゴミとして捨てたはずのものだ。


「……ありえん。こんな数値、人類の歴史上見たことがない……!」


 ドランが最新の魔道具で解析すると、そのリンゴの芯からは、王宮の最深部に封印されている「伝説の聖杯」を遥かにしのぐ、純度の高い神聖な魔力が検出されていた。


「ドラン殿、結果はどうなのだ? 国王陛下もお待ちだぞ」


 背後から声をかけたのは、王国宰相だ。勇者アルディスの失脚、さらには王国騎士団が「裸で空から降ってきた」という異常事態を受け、王宮は極限の緊張状態におちいっていた。


「宰相閣下……。このリンゴの芯ですが……一かじりするだけで不治の病が完治し、欠損した部位すら再生する『完全修復フル・リビルド』の効果が付与されています。さらに……」


「さらに、だと?」


「……食べた者の『寿命』を、強制的に100年ほど引き延ばす処理がなされています。これはもはや、食べ物ではありません。『概念化された不老不死の薬』です。それを……あの男は『ゴミ』として捨てたのです……」


 鑑定院に、氷のような沈黙が流れる。彼らが「荷物持ちのゴミ」だと思っていたものは、一国を買い取れるほどの価値を持つ神遺物アーティファクトだったのだ。


「そんな馬鹿な……。では、あの男……レインが毎日食べていたのは、そのような神の果実だったというのか?」


「それだけではありません。これを見てください」


 ドランが次に指し示したのは、平原で全滅しかけて逃げ帰ったボルドたちの「大斧」や「魔杖」だった。それらは今や、見るも無惨むざんにひび割れ、表面がボロボロと崩れ始めている。


「これらは、レイン殿がパーティを離脱した瞬間に『本来の姿』に戻ったものです。鑑定した結果、この大斧は何の変哲もない、街の鍛冶屋が安値で打った『凡庸ぼんような鉄塊』でした」


「……鉄塊だと? だが、ボルドはこの斧で地竜アース・ドラゴンうろこを叩き割っていたのだぞ!」


「ええ。つまり……レイン殿は、この鉄くずの『性能上限』を強制的に書き換え、神剣クラスの威力いりょく固定ロックしていたということです。彼がいなくなった今、これらはただの『ゴミ』に戻っただけに過ぎません」


 宰相の顔から、急速に血の気が引いていく。彼らが追い出したのは、便利な荷物持ちではなかった。この世界の不具合バグを修正し、無能な勇者たちに本来持っていない「強さ」を与えてくれていた唯一の管理者だったのだ。


「……すぐに、特使を送れ! どんな手を使っても、レイン殿に謝罪し、王都へ戻ってきていただくのだ! 救世の英雄として、公爵の位でも何でもくれてやる!」


「無駄ですよ、閣下」


 ドランが乾いた笑いと共に、悲しげに首を振った。


「彼は既に、我々の住む『表層世界』の住民ではありません。彼は自分だけの、誰にも邪魔されない『聖域』を完成させてしまった。……我々にできるのは、もう二度と彼の機嫌を損ねないよう、天に祈ることだけです」


 その時、王宮の窓の外、遥か北の空。リヴィアが「草むしり」で放った黄金の余波が、オーロラのように美しく揺らめいた。王都の人間たちは、それが自分たちが永遠に失った「祝福」の輝きであるとも知らずに、ただ呆然と空を見つめることしかできなかった。



 一方、座標NULL(レインの庭)。


「……アリス、さっきのリンゴの芯、どこに置いたっけ?」


「……。ゴミとして処理しようとしましたが、リヴィアさんが『もったいないですぞ!』と言って、勝手に肥料として土に埋めていましたね」


「まあ、いいか。……肥料にすれば、また来年もっといい実がなるだろうしな」


 レインは、自分が捨てた「ゴミ」一つで世界がひっくり返っていることなど知るよしもなく、平和に次の収穫計画を立てるのだった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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