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5話 決闘

じろりと見下ろす王太子。

きっと見上げるハンス。


「お前、確か弱虫ハンスではないか。あまりに凜々しくなったからすぐは分からなかったよ。」


「お褒めいただきありがとうございます。殿下の︎︎︎︎︎︎︎︎︎︎"︎︎稽古"︎︎のおかげです。」


引き合うように王太子は大階段を下り、ハンスは上る。

しかし、まるで反発し合うように、2人の間には確かな距離があった。


「公式の場でこの私に決闘を挑むとは、どうなっても文句はないということだな。」


「勿論です。私は全てを賭して、あなたに挑む。」


「ふん。それは都合がいい。切り捨ててから化けて出られては困るからな。」


剣に手をかける2人。あまりに急な出来事に動けずにいる紳士淑女。

もはや誰にも止められないのか?そう思われた時だった。


「お待ちください!」


鋭く、しかし芯のある女性の声が響く。

大階段に目をやると、サブリナが階段を駆け上がり、二人の間に入る。


「……殿下、申し訳ありませんわ。この件は私の不手際です。」


スカートの裾を持つと、深々と頭を下げる。


「ふん、お前達、確か婚約したらしいな。フローラを陥れた悪女に、私に剣を向ける下賤の者。お似合いだな。」


「返す言葉もございません。ですが殿下、どうか剣をお納めくださいませ。」


「それならお前の夫に言うのが先じゃないか?」


王太子の言葉に、サブリナは振り向きハンスの方をギッと睨む。

あまりに強い目力に、ハンスは一瞬たじろいだ後剣を収める。


「ハンスは剣を納めました。どうか王太子殿下も。ハンスは今敵意はありません。」


「はっ、どうだか。まあ、しかしお前もハンスも公爵家の人間だ。この場で潰してしまっては王家の面子にも関わるだろう。よろしい。今夜だけだ。」


王太子は剣を収める。凍っていた空気には安堵の声が広がる。


「さあ、皆様。お見苦しいところをお見せしました。どうぞ、ダンスの続きを。」


再び音楽が流れると、皆はそれぞれ何も無かったかのようにダンスを踊る。


「寛大なお心、感謝いたしますわ。」


「お前も結婚するなら、旦那の手綱はしっかり握っとくんだな。」


不敵に笑う王太子。


「では殿下。私たちはこれで。」


「待て。」


懐から紙片を取り出し、さらさらと筆を走らせる王太子。それをサブリナに投げてよこした。


「ゴミだ。捨てておけ。」


(下手な言い訳。)


サブリナが広げると、メモには「これで借りはなしだ」と書いてある。

これでフローラの一件は完全に終わりましたわね。もう少しゆすれるかと思いましたけど、仕方ありませんわ。


階段を降りる途中、サブリナはハンスをキッと睨む。


「――後で、話がありますわ。」


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