表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

4話 嵐の前

「舞踏会?」


「ええ。今度の満月に。いかがですか?」


何度目かの逢瀬の後、ハンスは私の家で一緒に食事をとっていた。


「その舞踏会は、殿下の主催ではありませんこと?」


「はい。――だからこそ、です。」


ハンスは笑っている。――けれど、どこか引っかかる。


「……まあいいですわ。久しぶりに殿下の吠え面も見たいことですし。」


「ありがとうございます。」


割いた肉から、どろりと赤い液体が皿に広がった。


そして満月の夜。


「今日も盛況ですこと。」


名だたる婦人や殿方が勢揃い。流石殿下が主催なだけありますわ。


「サブリナ様、メヌエットです。」


「ええ。」


私とハンスは手を取り、音楽に合わせて踊る。こうして体を合わせると、たくましいのね。軍で鍛えてきたのがよく分かりますわ。

目線も私より一回り上で、さすがの私も少しときめいてしまいますわ。周囲の貴婦人たちも「美しいわ……。」「まるで絵画のよう。」とため息をつくのが耳に入る。


その時、階段の上から視線を感じた。


(殿下……。)


やはりフローラとの婚約を台無しにし、顔に泥を塗った私を恨んでいるのかしら。ま、自業自得ですけど!

むしろ見せつけるように踊っていると、ハンスがぴたりと止まる。


「ハンス?」


真剣な眼差しで私を見つめる。どうしたのかしら?音楽はまだ続いているのに。

ハンスはスッと足元にひざまづいた。


「これを。」


取り出したのはアクセサリーケース。ハンスの大きな手によって、まるで儀式のように開かれる。

すると、中には眩いダイヤモンドでできた白のツツジのブローチ。


「なんて……眩しいの……。」


流石にここまで精巧なものはあまり目にしたことがなく、目が眩んでしまう。


「私の今の気持ちです。サブリナ様、あなたは私の初恋です。永遠に。」


立ち上がり、私の胸元にブローチを飾るハンス。


「そして……。」


――一瞬、空気が止まる。

キッと頭上を睨み、王太子に白手袋を投げつけるハンス。


「大事な方を傷つけた方は許せない。たとえ王太子殿下であろうとも!」


会場の方々が口々に騒ぎ出す。殿下はぴくりと眉をひそめた。


(な、な、な……。)


何を言い出しますのー!!この人はー!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ