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宮廷香師の謎解き日記  作者: お試し丸
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第3話 煙の先に潜む影

宴の前日、紗那は宮廷の香料庫に忍び込んでいた。

昨日、甘く微かに酸っぱい香りを感じた場所だ。

その香りは、誰かの意図的な手が加えられていたことを示していた。


「ふむ……炭は問題なし。香木も……やはり……」


紗那は香料を一つずつ確かめる。すると、微かに残る焦げた匂いがあることに気づいた。

普通なら見落としてしまうほどの微妙な違和感だ。


「これは……小さな火の跡。香木を炙って意図的に匂いを変えている……」


その時、背後で小さな物音。

紗那は静かに振り返る。

暗がりに人影があった。


「……あなたは誰?」

紗那の声に、相手は一瞬動きを止めた。


「……香師見習いの者です……!」

若い男が慌てて香料を手に持っている。

しかし、その手元の香木の一部に、紗那は違和感を覚えた。


「あなた、これ……誰かの指示でやったのでは?」

男は顔を真っ赤にして首を振る。

「違います! 私はただ……香りを試していただけです!」


紗那は眉をひそめながらも、男の動揺に嘘はないと感じた。

それなら、黒幕はまだ別にいる――。


紗那は香りを頼りに香料庫をさらに調べる。

金色の煙のように、微かな違和感が次々と現れる。

一つ一つの香りが紗那に語りかける――誰が何をしたのか、少しずつ、しかし確実に。


「香りは、必ず真実を教えてくれる……」

紗那は小さく呟くと、次の行動を決めた。

明日の宴、香りを嗅ぎ分け、誰が香を操っているのか、必ず突き止める――。


その夜、後宮の空気は甘く、そして少し不穏だった。

紗那の心には、香りの迷宮を抜けるための覚悟が静かに宿っていた。

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