表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宮廷香師の謎解き日記  作者: お試し丸
PR
2/5

第2話 甘い香りの迷宮

翌朝、紗那は宮廷の香料庫にいた。

先日の后妃の件で、侍医や女官たちはまだざわついている。

紗那の手元には、さまざまな香木と香粉が並べられていた。


「やっぱり、炭だけじゃない……香木の組み合わせも変だわ」


紗那は眉をひそめ、ひとつひとつ香りを確かめていく。

甘く華やかな香りの中に、微かに苦味や金属の匂いが混じっている。

それは、普通の香師なら見逃すような“わずかな違和感”だった。


その時、侍女のひとりが息を切らして駆け込んできた。


「紗那様! 宴で使う香の調合に、また変な匂いが混じっていると女官長が……!」


紗那は香料庫から香を取り出し、鼻に近づける。

甘い香りに混じる微かな酸味。

これは――誰かが故意に混ぜた香料だ。


「これは、香りのトリック。誰かが意図的に香の調合を変えた……」


紗那の心は、先日の事故と同じ不安でいっぱいになった。

このままでは、誰かが香りを使って宮廷で騒ぎを起こそうとしている――。


宴の日、紗那は香炉の近くでじっと観察を続けた。

来る人、去る人、運ばれる香料……そのすべてを、香りで記憶していく。


そして、事件は静かに、しかし確実に紗那に近づいていた。

甘く重い香りの迷宮――

その中に潜む真実を、紗那は嗅ぎ分けるしかなかった。


「香りは、嘘をつかない……必ず、真実を教えてくれる」


紗那はそう呟くと、香炉の煙に目を凝らした。

金色の煙が、柔らかく宙を舞う。

そしてその先に、誰も気づかない小さな手掛かりが潜んでいる――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ