お祭り!
僕、樂、絢愛さん、真司、清くんと一緒に桜岸神社近くまで飛んで向かってる途中、アキたちが団地の子たちを連れて神社に向かっているところに遭遇した。
その中には彩晴たちもいた。
虎雅「おーい!」
僕がその団体に声をかけると一斉にこちらを向く。
アキ「おーい、じゃねぇーよ!心配かけんな!」
謝りながら一緒に神社に向かう。
真司「お祭りの準備、任せっきりでごめんなさい。」
シュン「いいよ。それより事故ったんだろ?安静にしなくていいの?」
「「「え?」」」
ライ「運搬中に事故ったっておじさんから聞いたよ?見た感じ大怪我はしてないっぽくて安心したけど…。」
虎雅「ん?おじさんってどんな人?」
ライ「顔はストールで隠してて目元しか見えなかったけど、背が高くて浴衣着て手が傷だらけだったのは覚えてる。なんかの職人なのか?」
せいさんか!
せいさんも大量に血を流したはずなのにお祭りを開くため、僕たちよりも早く目覚めてアキたちに指示してくれたのか。
虎雅「石庭職人だよ。そっか…、後でお礼言わないと。」
アキ「準備出来たらすぐどっか行っちまってお礼言えなかったんだ。もし、あのおじさんがこっち来る事あったら教えてくれ。」
虎雅「うん。分かった。」
そんな事を話しているとあっという間にお祭りが開かれる神社に到着。
提灯、灯篭、電飾が輝いてお祭り特有の色を放っている。
まだ本格的には始まっていない時間でもたくさんの人がこの神社に集まり、屋台を楽しんでいる。
絢愛「うぁ!すっごいぃ!…っい。」
絢愛さんが驚きながら背中を擦る。
アキがその様子を見て絢愛さんの手を取り中に入っていく。
真司、清くん、シュン、ライが団地の子たちの手を引いて案内しに行く。
虎雅「これどのくらいで作ったの?」
樂「まあ3週間くらいか?キャンプの途中に突発的に決めたからな。」
虎雅「そっかぁ。キャンプの仕事ばっかりしてたから気づかなかったのか。」
僕は納得しながら神社に入る。
中にはお祭りではあまり見かけない食べ物が並ぶ。
慰撫団が主催してるから食にもこだわっているんだなと感じる。
虎雅「あの焼きおにぎり食べようよ!」
樂「シャーピン食べたい。」
虎雅「え!?シャーピンあるの?食べる食べる!」
僕たちはゆっくり屋台を見ながら食べ物を買っていく。
その都度、“虎ちゃん”“KALEくん”とお店の人に声をかけられる。
キャンプで会った人も数人居たけど、どうしても思い出せない顔が多い。
昨日の話を何度もされたけれど、それさえ思い出せなかった。
あるのはみんなでお好み焼きを食べて凶妖と戦った記憶のみ。
…そうか。僕、使いすぎてすっぽりこのお祭りの事を忘れてしまったのか。
なんだか寂しくなり、空を見上げると満月と星が煌々と僕たちを照らしていた。
びっくりなほど空が綺麗で思わず見惚れる。
そういえば、せいさんたちで蛍を見に行ったなぁ。
ちゃんと父さん母さん、おじさんおばさん、皆の名前も出来事も覚えていたのに最近のお祭りの事を忘れてしまうなんてついてないな。
樂「時間になるまで裏で食おう。」
樂に案内されて社務所の裏手にある縁側に座り、買ったご飯を広げる。
樂「いただきます。」
虎雅「いただきます。…僕、お祭りの事すっぽり忘れてたみたいだね。ごめんね。」
樂「人はみんな出来事を忘れながら生きていく。気にする事はない。」
虎雅「でも、みんなで3週間頑張って準備してきた事を忘れるなんて普通じゃないよ。」
樂「凶妖と戦ってる時点で普通の生活じゃないだろ。」
虎雅「…まあ、確かに。」
樂「普通、当たり前なんかこの世に存在しない。ルールと平均を語ってるだけだから気にしても意味が無い。」
樂はチーズ焼きを頬張りながら僕の突っかかりを取ってくれる。
僕はその言葉を聞いて元気になり笑っていると樂の口角も少し上がってるような気がする。
それがとても嬉しくて僕はその事を気にしないことにした。




