爆発
移動してきた場所は氾濫しかけている上流の川。
本当に川かと疑うほどのすごい音が僕の耳を殴る。
するとせいさんが赤色の堤防近くに駆け寄る。
世永「…ギリギリって感ジダネ。」
樂「この川はどうすれバいいんだ。」
世永「本ドうは数日後、ズこジずつ放流するんダけどそノ体力は今の俺にはナい。」
樂「俺たちが変われルのか?」
世永「いや…、難ジいね。」
樂「何ガ出来ないのか?」
世永「ヴーん…、だいブ派手な事になるんダヨなぁ。」
と、せいさんは頭を抱える。
絢愛「それしかないならやりましょう!」
真司「そうです!派手でもみんなが助かるならいいんじゃないですか?」
世永「…ジャあ、みんナで超常現象起こしヂャおっか。」
とせいさんが笑顔で答える。
せいさんは自分の頭の中にある作戦をみんなに伝える。
世永「あやヂャんは、ゾれでも良いかな?」
絢愛「みんなを守れるなら何でもやります!」
こんな状況でも笑顔でいる絢愛さん。
その覚悟が僕の心を締め付ける。
清「世永ザんの代わりに僕がやります。」
世永「いイのイいの。清の喉ワ俺のより大事ダよ。」
清「でも…」
世永「未来ガアる子どもを大人が守ルのは当ダり前なんだ。俺の喉が壊レダ時、お願いズるね。」
清「…はい。」
清くんが下を俯くとせいさんが頭を撫でる。
樂「タイミングは?」
世永「樂の唄が終ワッた瞬間、あやヂャんが振るって感じダネ。」
樂「わかった。」
虎雅「これ…、僕が使ってもいいんですか?」
僕の首元にある樂のマスクを指さす。
世永「虎雅の声でミんなを守っデ欲しい。2人ノダめのまじないを知っデルのは虎雅だから。」
キキさんと3人で作ったまじないを僕が2人に届ける。
真司「俺、大丈夫かな…。」
世永「大丈夫ダィ丈夫!あやヂャんも丈夫な体だガら力づくデ掴んデデあげてね。」
真司「はい…。」
世永「…みんな、あとズこしであの街を助ゲられるんだ。今の自分に自信ガナくデもいい。助ゲた未来を心の目で見デみて。最高ノ世界が広ガッデるはずだから。未来を生ギている自分を見て、今ノ自分を奮い立ダゼて。」
みんなでその言葉に返事して配置に着く。
僕は樂の後ろでマスクを装着し、向こう岸にいるせいさんと清くんに声をかける。
すると、OKサインをもらう。
そして堤防の向こう側いる絢愛さんと真司にも声をかけ届いているか確認する。
2人は大声で聞こえると答えてくれる。
僕はまじないが終わる直前までみんなに自我の確認を取り、唄が終わる直前マスクを樂につける役割になっている。
樂「18秒だ。絢愛の準備に18秒、俺の唄が12秒、世永のまじないに3秒だ。
3人のタイミングが合わさる1秒前に俺の口につけろ。」
虎雅「分かった。」
樂のマスクをつけた直後、僕はみんなをまとめてその場から逃げる。
この水蒸爆発がどの程度か想像出来ないので念のためだ。
樂が手を上げ、みんなの目線を集める。
それを見てせいさんと絢愛さんが手を力強くあげる。
樂は僕の手を掴み、指で1秒を刻んでくれる。
樂「行くぞ。」
虎雅「うん。」
樂が上げた腕で合図をし振り下ろした瞬間、絢愛さんが刀に力を込め出す。
その威力は今までにないもので、さっきまで吹いていた柔らかい風が一気に強風に変わっていく。
その強風で周りの雨が渦を巻き始める。
強風に抗うため真司がしっかり絢愛さんの足を掴んで飛んでいかないようにする。
2人の周りがどんどん沈んでいく。
風圧だけで地面が削られているらしい。
虎雅「4秒。あやとり結び。ひと結び。」
その言葉を発すると一層風強く増す。
その言葉のあとにすぐに樂が唄いだす。
ガラガラと唄いながら血を吐き出している。
僕は樂の背中をさすりながらも樂が教えてくれるカウントを数える。
虎雅「13秒。凛々累唱。賛魄願。」
ゴパァっと血を一気に吐き出し、元の声に戻る樂。
そしてせいさんが唱え始める。
見るとせいさんは吐血しながらまじないを唱える。
清くんと目を合わせ、どちらも自我がある事を確認する。
タン…、ダン…!と樂の刻んでいた1秒が力強くなったのを感じる。
そのタイミングで僕は樂にマスクを渡し、担ぎ上げ瞬きを止める。
次に僕は濁流を渡りせいさんと清くんを持ち上げる。
3人を持ち上げた瞬間、僕に向かい風が襲ってくる。
絢愛さんの風が僕を襲っている。
今まで以上の風に驚きながらも前に進み、絢愛さんと真司に飛びかかり少しでも遠くに離れようとしたが突風で目にゴミが入り、瞬きをしてしまう。
まずい、まだ安全圏じゃないのに!
もう一度目を開き、時間を遅らせるけれど前に進まない。
地面を見ると僕の足は地についていなく、浮き上がっている。
これだけ人を担いでいても体が浮き上がってしまう。
どんなに足を前に出しても前に進まない。
その中で時間が立つたび僕たちはどんどん浮き上がっていく。
僕はその中でみんなを爆発から守るよう取り囲む。
これでみんなが怪我をしなければいい。
絢愛さんはこの感覚を知ってるのに動いていないという事は気を失ってる。
他のみんなもこの風圧で肺が締められて苦しそうな顔をしている。
この風圧からは守ってあげられないけど、せめて爆発からは守ってあげないと。
僕は力強くみんなを抱きしめ、目を閉じ時間の流れを覚悟した。
目を閉じた瞬間、時間が一気に僕たちを襲う。
ブワッと一気に風圧が僕の背後を襲う。
それに煽られ僕たちが浮いている体は森に一直線。
だめだ、もう息が…。
でもみんなが木で…。
続く息でなんとか体制を変え、僕は刺々しい木を背にみんなを囲う。
みんな、生き抜いてくれ。
そう思った時、僕たちを温かい獣毛が取り囲む。
まだ…、凶妖がいたのか…?
僕は必死に意識絶え絶えに確認しようとしたが、
そこで意識を失ってしまった。




