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異世界転生って楽勝だと思ってました。【感謝15万PV突破! 】【六周年&七年目突入! 】  作者: 黒崎 凱
第二章

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第四五話「……今度の国は楽勝生活!? 」

ウバン王国脱出後

次なる目的地へと向かって居た一行……だが、そんな中

ギュンターは地図と地形を交互に見ながら頭を悩ませて居た。


「妙ですな……やはり間違ってはおりませんが……」


「どうしたギュンター……何を悩んで居る? 」


「……申し訳ありませんディーン様、地図に()ると

此方(こちら)の方角には国は(おろ)か、村などは無い筈なのですが

何故(なぜ)か周囲には……と、丁度(ちょうど)見えて参りました。


……“あれ”でございます」


と、ギュンターが指し示した先には

とても小さく、ボロボロの看板が立て掛けられて居た。


【……よう……そ……ル……村へ】


……看板の文字は(かす)れて消えており

完全には認識出来ず


「少し気味が悪いですけど……立ち寄ってみます? 」


旧帝国城での

“おばけ騒ぎ”を思い浮かべつつも皆に対しそう提案した主人公


だが、村の入口は狭く

オベリスクでの侵入は不可能だった。


……直後、下船し周囲への警戒を強めつつ

この“ボロボロの村”へと足を踏み入れた一行。


だが、この名称不明の村を探索して居た一行の向かう先に

家らしき建物や畜産(ちくさん)を行って居たのだろう形跡こそ

(いく)つかは見られたが、一帯の景色は(さなが)

“廃村”と言うに相応(ふさわ)しい程の状況で……


「あの、主人公さん……この村に仮に人が住んでるとしても

稼げる様なお仕事も無ければ、そもそも

食料すら無さそうに思えるんですけど? 」


「ああ、確かにマリアの言う通りだな……って、今

向こうの方に人が居た様な……」


……この瞬間

そう言って主人公(かれ)が指し示した場所には

穴の空いた藁葺(わらぶ)き屋根の大きな建物が建って居た。


直後、警戒しつつ建物へと近づいた一行

すると


◆◆◆


「待て……あの建物から数十名程の人の気配がする

だが、皆呼吸が浅い……」


そう言って藁葺(わらぶ)き屋根の建物を警戒し始めたガルド

俺にはさっぱり分からなかったが

ガルドが言うなら間違いないだろう。


すると、直後


「ふ~ッ……全く

大した相手では無いが……“囲まれた”様だぞ」


溜息(ためいき)交じりにそう言ったディーン

直後、この村の戦士と思しき男達数名が(しげ)みの中から現れた。


だが……彼らは皆やせ細っており、武器も防具も状態は最悪で

戦う前から、既に結果は見えて居る様な状態だった。


……正直、この状況からの脱出すら容易(ようい)だと思えたが

この直後、村の男戦士が発した言葉を聞いた瞬間

俺は、抵抗する気が“()せた”


「……き、貴様らは何者だ!?

この村にお前達が望む金品や食料は無い!

無用な戦闘は避けたいんだ! ……理解したなら立ち去ってくれ! 」


事もあろうに

俺達は“盗賊”に間違われて居たのだ……冗談じゃ無い。


この村の“ボロさ”を見て、誰が此処(ここ)

マトモな食料、ましてや“財宝”などあると思うだろうか?


とは言え……(いず)れにしても

彼らからの誤解を解くべきだと考えた俺は


「ま、待ってくれ! ……皆も抵抗しないでくれ。


……()ず、俺達にこの村をどうこうする気は全く無い!

聞きたい事があるだけなんだ!

情報を聞いたら直ぐに立ち去るから

此方(こちら)を攻撃するのだけは止めてくれ!

俺達も戦いたくは無いんだ! ……頼む! 」


「い、良いだろう! ……聞きたい事とは何だ? 」


「有難う……なら、()ずはこの絵本を見て欲しい。


……この本の内容か、()しくは

作者に詳しい人間がこの村に居ないだろうか? 」


当然

この村で情報を得られるなどとは思って居なかったが

少なくとも盗賊だと疑われて居る状況が落ち着かなかった

だから“()えて”聞いただけだ……そして。


結果は“(あん)(じょう)


「すまんが……村では本などもう何年も見ていない

しかし、サーブロウ伯爵か……


……“爵位(しゃくい)”のある様な人間がこの村にいれば

我々はもっと、裕福な生活が出来て居るのだろうな……」


こんな答えが返って来た。


……どう見ても皆相当に腹を空かせて居る様子

仮にも“戦士”だと言うのに

真っ直ぐ立つ事すら危うい奴まで居る。


と言うか……こんな状況を見た後に、情報だけ聞いて

“はいさようなら”と言う気には成れない。


「……騒動を起こして済まなかった、約束通り立ち去るよ。


(ただ)、その前に……皆、少しだけで構わないんだけど

この人達に食料を分けても良いかな? 」


俺のこの提案に仲間達は一瞬戸惑ったが

皆、直ぐに賛成してくれた。


……この後、オベリスクから備蓄食料を一割ほど降ろし

村の戦士達に渡した所、戦士達はとても喜んでくれて


「こんなに立派な食材をこんなにも沢山……構わないのか!? 」


「ああ、要らぬ騒動を起こしたお詫びとでも思って欲しい

俺達も“貧乏旅”だから、困ってる時はお互い様って事でさ。


あと……もしこの村での生活から抜け出したいのなら

俺達の母国である“政令国家”と言う国は

何時(いつ)でも貴方達を受け入れてくれると思う。


もしそうしたいなら今すぐにでも送り届ける

とは言え、いきなりこんな申し出を受けるのは

気味が悪いとは思うけど……それでも

本当に抜け出したいと思うなら、一つの方法として

頭の片隅にでも置いといてくれると嬉しい」


“ウバン王国での一件”を思い出し

“罪滅ぼしのつもりで必要以上にこの村に優しくしたんだろ? ”


……とでも誰かに言われれば

その通りに見えるのかも知れないが、そもそも

困ってる人に対し“見て見ぬ振り”をするのは嫌いだ。


俺自身、転生前に山ほどやられた経験があるから

嫌悪感すら感じる……だから、無い(そで)は振れないが

有る(そで)なら“千切れる位”振りたいと思って居るだけだ。


……まぁ、言葉の使い方が

あってるかどうかは謎だが


「ふむ……会ったばかりの相手を信頼するなど

本来なら愚の骨頂だ……だが、君は

何故(なぜ)だか信じられる者の目をして居るな。


……その、政令国家と言う国は

我々を受け入れられる程に裕福なのか? 」


直後

村の戦士達のリーダーと(おぼ)しき男性から

そう問われ


「う~ん、裕福と言えば裕福なのか?

少なくとも、各種族への偏見や差別はほぼ無いし

仕事も探せば(いく)らでもあると思うけど……」


「ふむ……考えておこう、感謝する

所で、名前を聞いていないが……私の名前はジン、君は? 」


「俺は主人公……後ろにいるのはメル、マリア、マリーン

それから……」


「……私はディーン、続けて

部下のタニア、ライラ、ギュンター、オウルだ」


吾輩(わがはい)はガルド……主人公の生涯の友として同行している」


「ふむ、宜しく頼む……しかし皆良い面構えをして居るな。


……所で、我々も失礼な行動を取ってしまった

お詫びと言っては何だが、日も(かげ)って来た事だし

君達に取って宿代わりになるかは分からないが

もし休みたいのなら我々の村で休んでいかないか? 」


「えッ? ……良いんですか? 」


「ああ、君達の様な素晴らしい方々が泊まってくれたなら

(さび)れたこのバルン村にも(はく)がつくと言う物だ」


“ジン”さんにそう言われた瞬間

マリーンは


「ああ……あれ“バルン村”って書いてあったのね! 」


と言ったのだった。


ともあれ……ひょんな事からこの村に一泊する事となった俺達

直後、案内されたのは俺達がつい先程まで警戒して居た

村で一番大きな“藁葺(わらぶ)き屋根の建物”だった。


◆◆◆


……どうやら此処(ここ)に村人全員で暮らして居る様で

雨漏りのする場所を避け、所狭(ところせま)しと

寄り添い生活している様子が見て取れた。


だが……やはり、皆やせ細っており

この村の経済状況はどうにも逼迫(ひっぱく)して居る様子で……


「村長……敵襲では有りませんでした

この方達は危険では有りません

食料を譲り受けましたので()ずはその報告を。


それと、食料のお礼と言ってはなんですが

この方々の本日の宿として、我が村は

住居の提供をさせて頂きたく思っております」


「ほぉ、これはこれは……こんなに沢山の食料を下さったか。


それは大変感謝するべき事じゃ……御一行様

こんな汚い所で良ければ、宿として自由にお使いくだされ……」


好好爺(こうこうや)”と言った様子の村長さんは

俺達の事をとても歓迎してくれた


「ありがとうございます! ……しかし

今ジンさんが“敵襲では無い”と(おっしゃ)いましたが

この村には盗賊でも現れるのですか? 」


「ええ……この村でよく取れる物と言えば

(わず)かな芋と綺麗な水くらいの物なのですが……最近

それすらも奪いに来る悪党が……馬鹿に成らない数おるのですよ。


ウグッ?! ……ゴホッゴホッ!!! 」


「そ、村長ッ! ……誰か水を持てッ! 」


「す、すまん……ジンよ。


……それで、旅の御方

薬草すら買えぬ程に逼迫(ひっぱく)しておりますで

大した(もてな)しも出来ませんが、どうかご勘弁くだされ……」


「いえ、お気に()さらないで下さい……っと

メル……頼めるかな? 」


そう言いつつメルに対し目で合図を送った俺

直後、直ぐに理解してくれたメルは

俺に微笑(ほほえ)み掛けた後、村長へと近付くと


「村長さん、じっとしてて下さいね……」


「娘さん……何を……」


「……大丈夫ですから

治癒の魔導:息吹之治癒(レスピラトリーヒール)ッ! 」


「なっ……何と?!

息が……呼吸が楽になりましたぞ!?

娘さんや、何とお礼を……」


「いえいえ、御礼なんて大丈夫ですっ! 」


「おぉ、何と慈悲深い娘さんじゃ……有難う

メルさんとやら……」


そう言ってメルに手を合わせ

心からの感謝を伝えた好好爺(こうこうや)な村長さんは

この後、俺達に対し旅の目的を(たず)ねて来た


「それで……旅の御方、貴方達は

どの様な目的で旅を()さって居るのですかな? 」


「それは、この絵本なんですが……」


先程

村の戦士達にした物と同じ説明を村長に行った俺

すると、村長は村に住む全ての民に

絵本に関する知識は無いかと(たず)ねてくれた。


だが……やはりと言うべきか

有力な情報は得られず


「お役に立てず申し訳ない限りですじゃ……」


「いえいえ、それより先程の話なんですけど……」


と、話し掛けた瞬間

この建物を包囲する何者かの気配をガルドが感じ取った。


直後、ディーンは隊員達に命令を下し


「……全員、戦闘陣形だ

オウル、この建物の防衛を頼んだぞ……」


警戒を強めた俺達

直後、建物の外から聞こえて来た“怒鳴り声”


「おい!! ……お前達っ!! 今日も芋を貰いに来てやったぞ!!

火を放たれたくなかったら大人しく寄越(よこ)せっ!!! 」

「そうだぞ?! ……素直に寄越せば命を奪おうとまでは言わねぇ!

分かったら抵抗せずに早く寄越せってんだ!! 」


そう恫喝(どうかつ)する者の声が数名分。


村の住人達は恐怖し、皆震えて居た

一方で、反撃の機会を(うかが)って居た村の戦士達。


だが……彼らの“状態”を見る限り勝ち目が無い事など

火を見るよりも明らかだった。


……村人達に取って圧倒的に不利な状況

どうする事も出来ない歯痒(はがゆ)さに

ジンさん達は歯を食いしばって居た。


だが、意を決し


「くっ……何時(いつ)までこの様な状況が続くと言うのかッ!

()くなる上は刺し違えてでもッ!! ……」


言うや否や敵陣に飛び出さんとしたジンさんに対し

俺は“待った”を掛けた。


「大丈夫です……兎に角

一度落ち着いて、後は俺達に任せて下さい……


……皆は此処(ここ)の防衛を、ディーンは俺と一緒に来てくれ。


行くぞ……転移の魔導


村の入口へ――」


◆◆◆


「――よし、此処(ここ)なら敵がよく見える

けど、捕縛の魔導もこの距離からだと避けられる可能性がある。


……ディーン、お前の技であいつら全員行動不能に出来るか?

出来る事ならば“殺したり”はせずに」


「ああ、可能だ……任せてくれ。


魔弾(まだん):“弱装弾”――」


直後

ディーンの放った“魔弾”は盗賊達の足に当たり全員を転倒させた。


見た所……骨折すらしていない様子だったが

反面“痛み”は相当な様で……倒れた盗賊達は皆、悶絶(もんぜつ)して居た。


“うん、絶対食らいたくないタイプの技だ!これッ! ”


……と、そんな事を考えつつも

直後


「助かったディーン! ……良し

捕縛の魔導:多重捕縛網(マルチプルネット)ッッ! ――」


「ぐっ?! ……くそっ!!!

お、お前ら何者だっ!? この村は俺達の獲物だぞ?!

くっ! ……動けんッ!! 」


「はぁ~ッ……今日は高確率で“盗賊に間違えられる”日か

てか、一緒にするな……俺達はこの村の“臨時用心棒”だ。


……ジンさん! 村長さん! 皆さん!

もう、出て来ても大丈夫ですッ! ……」


ディーンとの協力に()って

(なん)無く盗賊共を捕らえる事に成功した俺は

直後、意気揚々と村の人達を呼び寄せた。


◆◆◆


「何と……たった二人でこの者達を生け捕りとは凄まじい

感謝致します……」


そう、ジンさんに感謝され

(わず)かに得意げに成って居た俺……だがこの直後

盗賊共に目を向けたジンさんは


「貴様ら……覚悟しろッ!!! 」


瞬間

武器を振り上げ彼らを斬り殺そうとした。


だが、その瞬間……俺の目に写った


“違和感”


「ジンさん待ってッ! ……少しだけお待ちを! 」


「っ!? ……何故(なぜ)です?! 」


「そ、その……気持ちは痛い程分かりますが、お願いです

少しだけ此奴(こいつ)らと話をさせて頂きたいんです

ほんの少しで構いません……お時間を頂けませんか? 」


「分かりました……ではあちらにおります」


直後

ジンさんと戦士達が建物へと戻ったのを確認すると

俺は、盗賊達に対し“ある”質問をした


◆◆◆


「お前達に一つ聞きたい。


……お前らの装備を見る限り、お前達自身も

決して良い生活をしてる風には見えないし

こんなに貧乏な村を襲う程には逼迫(ひっぱく)してるんだろ?

装備の“雰囲気”で理解はしてるが、念の(ため)(たず)ねる。


お前らは……何処(どこ)からこの村に来た? 」


「お前に何の関係がある? ……殺すなら殺せ」


「良いから落ち着け……関係“大アリ”なんだ

俺達はちょっと前に“ウバン王国”って所で面倒に巻き込まれた。


あの国は他国からのハンターを不当に扱ってたが

其処(そこ)で“こき使われてたハンター達”とお前達が

良く似た格好をしてる様に見えたんだ。


だから、もしやと思ったんだけど……俺の見当違いか? 」


「ふっ! ……如何(いか)にも、お前達同様

我々も運良くウバン王国から“脱出出来た”手合いだよ。


……脱出後、やっとの思いで辿り着いたのがこの村だ

なんて馬鹿な冗談だと他も探しはした……だが

辺りは一面、木と竹ばかりだ……(ただ)でさえ

あの国で疲弊(ひへい)した体で、この村から奪った

(わず)かな芋と水だけを頼りにその過酷な道のりを

馬も何も無い状態で移動するなんざ

自殺にも(ひと)しい行為だ……だから奪ってるんだよ」


「やっぱりな……でも、だからと言って

お前達のやってる行動は認められない

お前達のやった事は、この村の住人達に取って

殺人にも(ひと)しい行為だ……それを理解した上で

今からする質問に正直に答えろ。


お前達は今までにこの村の人達を一人でも(あや)めたか? 」


「いや……脅しで石を投げた事位はあるが

明らかに“危ねえだろう”って場所は狙ってねぇさ

だが“当たりどころが悪く”……って事が無いとも言えねぇ。


……村人に聞いてみてくれ、信じては貰えんだろうが

俺達は命を取ろうとまでは思って居ない」


「分かった……ジンさん、此方(こちら)へ! 」


「……話は終わりましたか? 」


「ええ、ある程度は……それと一つ質問を

こいつらの襲撃で村人に死人が出た事は? 」


「……怪我人は山の様に出ましたが

(さいわ)いにも死人は出ていません

ですが……何故(なぜ)今そんな質問を? 」


「それが……俺達がこの村の前に訪れた国では

他国の人間から搾り取るだけ搾り取り、文無しにしてから

最悪、殺害すると言う(いびつ)な国家運営を(おこな)って居たんです。


……俺達はその国を出てすぐこの村に来ました、ですが

どうやら此奴(こいつ)らもその国の被害者だった様でして。


とは言え、此奴(こいつ)らのやった事は

許されるべき行いでは無い事も充分理解しています、ですが

もし(わず)かでも許せる余地があると言うのなら……」


「待って下さい主人公さん

貴方は此奴(こやつ)らを……許せと? 」


「い、いえ……命令でも、お願いでも無く

あくまで考えの一つとしてお伝えしただけです。


それと、此奴(こいつ)らは腐っても“元ハンター”ですから

もし、この村に他の盗賊でも現れた際に……」


「……この者達以外の盗賊など見た事が有りません

そもそも、長い間この盗賊達に食料を奪われ続けたせいで

我が村は赤子を何人も失って居るのです

それでも……貴方は許せと(おっしゃ)るのですか? 」


“雷に打たれた様な衝撃”と言う言葉があるが

この時がまさに“その状態”だった。


そう感じた理由……それは、盗賊達(こいつら)の考え方が

ウバン王国に対する俺の考え方と“同じに感じた”からだ


「知らなかったとは言え……申し訳ありませんでした」


そう言ってジンさんに頭を下げた俺も

きっと盗賊達(こいつら)と同じだ。


ウバン王国での劣悪(れつあく)な扱いに苛立(いらだ)

堪忍袋(かんにんぶくろ)()が切れた俺は

国の全てが悪いと決めつけ

結果として弱い立場の人間までもを傷つけてしまった。


それは、此奴(こいつ)らがやっていた事と何も変わらない。


“危ない所は狙わない様、石を投げた”


……そう此奴(こいつ)らは言った。


だが、たとえ石に当たらずとも

奪われた食料の数だけ()えに苦しんだ村人が居て

そのせいで失われた命に、此奴(こいつ)ら自身も

“手遅れと成ってから”知ったのだから。


俺は……ジンさんに対する謝罪を終えた後

盗賊達(こいつら)にも頭を下げた。


そして


「変に希望を持たせて済まなかった」


「気にするな……我々の(まね)いた事だ

ジンとやら……色々とすまなかったな、(いさぎよ)く受け入れるよ」


「何を今更……白々しいッ!!

良いだろう、せめて苦しまぬ様一撃で仕留めてやる……


……覚悟しろッ!! 」


「ジン! ……待つのじゃ! 」


「……そ、村長ッ?!

何故(なぜ)お止めに成られるのですか?! 」


「……落ち着くのじゃジン

主人公さんを始め、皆さんには世話になった

……聞けばこの者達も食うに困って居ったのじゃろう?

当然、この者達のせいで

結果として失われた命の件は恨んでおる……じゃが

全ては()えが悪いのじゃよ、()えが」


村長さんはそう言って

ジンさんに対し彼らを殺める事を禁じた。


その上で、俺に対し


「私共には芋しか作れる作物は無く

言うまでも無く、得られる利益などありません

お分かりでしょう? ……この村は()ちて行く一方なのですじゃ。


(ゆえ)に、労働力が(いく)ら増えようとも

それらを(やしな)うだけの食料すら維持出来ぬのです」


そう言って、この直後

盗賊達を“何処(どこ)か別の所へと連れて行く様”言った


「主人公さん達は近々旅立たれるのでしょう?

であればその(さい)、一緒にその者達を

他の街へと連れて行ってやっては貰えんじゃろうか?


そうすれば、せめてその者達の生活だけでも

立ち行く様になるやもしれんと思っておりますでな……」


この発言を聞いた盗賊の親玉は複雑な表情を浮かべた

そして、その直後……何を語るでも無く

(ただ)、深々と村長に頭を下げたのだった。


「……村長さんがそう望むのであれば

責任を持って他国へ移送する事をお約束します」


「ええ、感謝致しますぞ……さて、騒動は収まった事じゃ

我が村では水程度しか誇れる物がございませんが

主人公さん達もさぞお疲れでしょう。


一先(ひとま)ずは中に入り、水でも飲んでゆっくりして下され……」


「ええ、ご馳走(ちそう)に成ります……」


こうして


バルン村の危機と盗賊達の命、二つを救った主人公

だが……彼の心には釈然(しゃくぜん)としない思いが渦巻(うずま)いて居た。


そして……そんな鬱屈(うっくつ)とした心のまま

再び招かれた藁葺(わらぶ)き屋根の家の中

一人、鬱屈(うっくつ)とし続けて居た彼は


===第四五話・終===

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