第四十三話「楽園は楽勝ですか? ……」
<――旧帝国領土内で一夜を過ごした俺達。
翌朝、リオス達との別れを済ませ
地図を頼りに次の目的地へと向かう事と成ったのだが――>
………
……
…
「いやぁ~……数日振りとは言え
やっぱりリオスと会うと気分が明るくなるね! 」
「うむ……奴は明るく天真爛漫が故に損な役回りでもあるが
族長としても、男としても……尊敬に値する者だと吾輩は思っている」
<――上機嫌な様子でリオスを褒め称えたガルド。
直後、彼に同意する様にリオスを褒め称えたディーン。
だが――>
「……確かに彼は非常に心優しく、出来た男だ。
所で主人公……その服はどうにか成らないのか?
何処に行くにしても、その……“問題”になると思うのだが……」
「あ~……けど、そう言われてもなぁ。
……って!!
考えたらガーベラさんから貰った和装があったのを忘れてたよ!
直ぐに着替えてくるッ! ――」
………
……
…
「成程、和装か……失念していた
“幽霊騒ぎ”は私の冷静さをも奪っていた様だ……」
《――主人公不在の中
ディーンは独り言の様にそう言った……だが
そんなディーンに対し、マリアは――》
「えっ? もしかしてディーンさんもおばけ苦手なんですかぁ~? 」
「ん? ……攻撃が当たらないと言う事は
“対処の方法が無い”と言う事……少しは恐怖するべきだろう。
そもそも君が原因で彼は服を……」
《――冗談交じりに図星を付いたマリアの発言に
ディーンは少し“ムッ”っとした様子でそう言い掛けた。
だが――
“あ、あのっ! ……怖がる事は必要ですっ!
猪突猛進だけじゃ……怪我しちゃいますし! ”
――と言ったメルの気遣いに
冷静さを取り戻し――》
「……すまない、気を使わせたねメル君。
兎に角……彼のお陰で少しは懐事情に余裕も生まれた事だ
万が一にも主人公の言う“貧乏旅”には成らないだろうね」
《――と言った。
だが、そんな彼に対し
今度はマリーンは困った様な表情を浮かべつつ――》
「……でも、そんな事言ったらきっと主人公は
“死亡フラグが立った”って言うんじゃないかしら? 」
「死亡……フラグ?
何だね? その物騒な……」
《――とマリーンに問い掛けた瞬間
着替えを終え、一行の元へと帰って来た主人公――》
「お待たせっ!! あっ……ディーン、この上着ありがとうな! 」
「ああ、構わない……しかし
“和装”……良く似合っているぞ主人公」
「ありがと! ……しかも着心地まで良いんだよね~これ!
唯……この格好して歩いてると
逆に目立たないか少し心配ではあるんだよね……」
<――と若干平和な悩みを抱える俺に対し
ディーンは――>
「……そんな些末な心配などよりも
他国では“トライスター”で有る事を隠す事の方が重要だ」
<――と言った。
直後“何故隠す必要が? ”……と訊ねた俺に対し
ギュンターさんは――>
「……差し出がましい様ですが、主人公様
トライスターが何故“歓迎される”とお思いなのですか? 」
「そ、それはやっぱり“稀有な存在”だって言いますし……」
「ええ、その点はその通りで御座います……では
主人公様をその“稀有な存在”と知った他国が
“はい、そうですか”……と、簡単に
“出国させてくれる”とお思いに成られますか?
……政令国家で強く引き留められず
すんなりと旅立つ事を許可して頂いた主人公様には
余り理解し難い事かも知れませんが……」
「……成程、あの手この手で
“自国の防衛力に引き入れようとされるかも”って事ですね……」
「ええ……“どんな手を使ってでも”でしょうな」
「でも……そうなると
この“装備自体”でトライスターだとバレませんかね?
そもそも、マリーンの装備も種類的には“トライスター用”ですし……」
「ええ……お察しの通り、そのままでは少し問題でしょう。
ですので……少々お待ちを」
<――そう言うと
ギュンターさんは懐に手を入れ何かを探し始めた。
……そして、一般的な木で出来た魔法の杖を二本取り出すと
俺とマリーンに渡した。
だが、どうするつもりだろう? ――>
「えっと、普通の杖です……よね? ……これをどうするんです? 」
「お二方が衆人環視の状況で魔導を放つ場合には
その杖を振りながら魔導を使用し、決闘の際と同じ様に
使用する職業も一職に絞って行うのです。
少なくともそうして居ればトライスターとは思われない筈かと。
ですが、それでも万が一
トライスターの装備を着用していると疑う者が居た時は
“大切な人の形見”等と濁す事で難を逃れる事が出来るでしょう。
無論、私めも出来る限りフォローさせて頂きますので……」
「振りながら魔導か~……難しそうだけど出来るのかしら?
って言うか、私の魔導はそもそも完全に魔族寄りだし……
……そっちの方が問題じゃない? 」
「……マリーン様はそうでございましたね。
であれば――
“固有魔導の所為”や“独学の魔導なので”
――と言った形で通して頂くのは如何でしょう? 」
「それ良いわね! ……分かったわ、そうする!
……けど、ギュンターさんも良くそんなに色々思いつくわね? 」
「……お褒めに預かり光栄でございます。
が“悪知恵”と言えば聞こえが悪うございますので
“年の功”とでも思って頂ければ幸いでございます」
<――この時、ギュンターさんから教わった策に依って
未然に危機を脱した俺達。
だが“杖を振りながら魔導”と言う違和感に慣れる為
イメージトレーニングをして居た俺に対し
ディーンは謎の質問をして来て――>
………
……
…
「……それはそうと主人公。
先程、マリーン君に聞きそびれたのだが
“死亡フラグ”……とは何だ? 」
「へっ? 死亡フラグ? ……何でそんな話に? 」
「私が――
“リオス殿から譲り受けた財宝があれば
主人公の言う貧乏旅などには成らないだろう”
――と発言した時、そう言われたのだ」
「あぁ……それは完全な“死亡フラグ”だわ」
「……死亡と言う位だ、あまり平和な意味とは思えない
一体どう言う意味を持つ言葉であるのかを是非とも教えて欲しい」
「う~ん……例えば、後ろ向きに歩いてる人が居たとして
誰かが“そんな事してると転ぶよ!”って言ったら
後ろ歩きをしている人が“絶対に転ばない! ”
……って返した“直後に転んだ”みたいな? 」
「ふむ……起きる確率の高い事を言い当てると言う事か? 」
「と言うか、う~ん……って、国が見えて来たよ! 」
《――そう言って主人公が指し示した場所は
遠方からでも一目で判る程に豪華絢爛な門構えの
見るからに“裕福そうな”国で――》
「ん? ……やはりこの調子ならば余裕のある旅になるだろう
使い方が合っているかは分からないが……
……“逆死亡フラグ”だな、主人公よ」
「あ~っ……其処まで断言したって事は、絶対死亡フラグだこれ」
《――自信満々なディーンの顔を見つめながら
不安に駆られ静かに俯いた主人公。
そして……この後“裕福そうな国”の正門から
数百メートル程離れた場所で停船したギュンターは――》
「……皆様、誠に申し訳有りません。
オベリスクを仕舞う様を他国の方へお見せするのは
少々“刺激が強う”ございますので
この辺りで一度オベリスクを降りて頂きたく……」
《――と言った。
そして――》
「……皆そう言う事だ。
少々面倒かもしれないが、食材と財宝はオベリスクに残し
共通通貨だけを持ち入国する事にしよう」
《――この後、ディーンの指示どおり
共通通貨だけを持ち“裕福そうな国”へと向かった一行は
入国審査を受ける事と成るのだが――》
………
……
…
「ようこそウバン王国へ……
……本日はどの様な理由での入国で御座いますかな? 」
<――入国管理官にそう訊ねられた俺達。
全ての応対はディーンが担当してくれて――>
「食事と宿泊……それと
もし討伐依頼等が有るならばそれも受けたいのだが」
「……左様でございますか
では皆様“ハンター”と言う事で宜しいですね? 」
「ああ、間違いない」
「了解致しました……では。
二……四……六……一〇名ですので
入国税は共通通貨で……五〇〇〇金貨と成りますね」
「何? ……高額だな」
「ええ……皆様が観光客でしたら二五〇〇金貨ですが
“ハンター”との事でしたので
一時的にでもこの国の雇用を“横取り”されてしまう訳ですから
その代わりに高額と成っております……どうされますか? 」
<――直後、俺に確認を取ったディーン。
現在手元にある共通金貨を殆ど失う程の入国税だったが
少し考えた後、これを承諾した俺――>
………
……
…
「……どうにか足りはしたが
入国後、何かしらの依頼を達成せねば
今後の旅にも影響が出かねないぞ? 主人公」
「ああ、依頼で元を取らないとな……ではこれでお願いします」
<――そう言って入国税を差し出した俺に対し
入国管理官は――>
「……ええ、確かにお受け取り致しましたので
皆様にはこのバッジをお渡しします。
外部ハンターの皆様には
王国内で必ずこのバッジの装着をお願いしております。
……出国時にお返し頂きますが
出国までの残り時間はバッジの色で把握出来る様に成っております。
本日お支払い頂いた入国税分では
今から凡そ二日で効力が切れますので
延長される場合は追加で費用をお支払い頂きます。
もしそれまでに追加費用のお支払いも無く
出国もされない場合は高額の罰金がございますのでくれぐれもご注意を。
最後に……“元が取れる程”稼げる事を祈っておりますよ……」
<――入国管理官はそう言いながら不敵な笑みを浮かべた。
嫌な雰囲気だ……ともあれ、気を取り直し
ウバン王国へと入国した俺達を待って居た光景は――>
………
……
…
《――入国早々、彼らが目にしたこの国の異様な姿。
それは……贅の限りを尽くした建物の数々
赤子に至るまで豪華な装飾品を身に着けたウバン王国民の姿と
見るからに貧相な装備を身に着けた“外部ハンター”達の姿であった――》
「この国は歪だな、ギュンター」
「ええディーン様……長居は望ましくない様に思います。
主人公様……早急に情報を探り
得られる物が無いと判断した場合は
二日と待たず出国する事を提言致します」
「……ええ、明らかに危ない雰囲気ですね
取り敢えずは何処かで情報収集を……」
<――そう話していたその時
周囲が騒がしくなり始め――>
………
……
…
「貴様っ! ……“超過滞在”しているではないか!
罰金一万金貨を支払い即刻立ち去れ! 」
「待ってくれ……もう、金がねぇんだ……水すら何日も飲んでねぇ
頼む、出ていくから……罰金は勘弁してくれ……」
「何だと? ……まぁ良いだろう」
「か、感謝するぜ……」
《――直後、弱々しく立ち上がり
この国を去ろうと門の方へと歩き始めた“外部ハンター”……だが。
その背後目掛け――》
「ならば……死刑だッ!!! 」
「ウグッ!? ……」
《――直後
“外部ハンター”はウバン王国兵に首を切り落とされ絶命した――》
………
……
…
「成程、この国が裕福な理由はこれか……許せない」
「……待て主人公、関るな。
碌な事に成らない……護るべき者達の事を考えろ」
<――ディーンはそう言いつつメル達に視線を向けた。
俺は、悔しさを感じながらも怒りを抑えた――>
「……悪かった。
けど、助けられないならこの胸糞悪い国からさっさと出よう
情報を得たら……直ぐに」
<――必死に堪えた怒り。
だがそんな中、ウバンの兵は――>
………
……
…
「ん? ……まだ金が有るではないか。
罰金には程遠いが……“隠匿罪”としてでも受け取っておくか」
<――そう言ってハンターの死体を漁り金品を奪ったウバンの兵
そんな姿を目の当たりにしつつも
俺は、自分を必死に抑えるしか無かった――>
………
……
…
「……ぐっ! 」
「主人公……吾輩も不愉快では有るが、今は堪えるのだ
此処に居ても気分を害するのみ……情報収集が先決だ。
酒場に行くぞ……」
<――ガルドにそう諭された俺は
呼吸を整え、皆と共に酒場へと向かった――>
………
……
…
<――到着後、店内を見渡したが
やはり豪勢な宴会を行なっているのはウバン王国民だけだった。
この国は何処に居ても怒りがこみ上げる……だが
そんな俺の気持ちを察してか、ギュンターさんは――>
「……此方のお席でお待ちください、私めが情報収集を致します。
それと、少々過ぎた事を申します無礼……お許しください。
主人公様……この国ではくれぐれも
貴方様の慈悲深さをお出しにならない様……そして
その事で貴方様が苦しまれぬ様、私めは願っております。
では、行って参ります……」
<――そう言い残し
飲み屋の店主の元へ歩いていったギュンターさん――>
………
……
…
「気を遣わせたみたいだ……すまない皆」
「構わん、私も主人公と同じ気持ちだ……だが今は仕方無い
この様な国で目立つべきでは無いのだよ」
<――ディーンがそう言うと
“うむ……この歪な国の現状を解決するつもりならば
間違い無く、多くの血が流れる事になるだろう……”
怒りを感じさせる声色でそう言ったガルド。
そして――>
「……私も早く出国したいです。
さっきから私の装備をジロジロ見てるこの国の民が怖すぎますし……」
<――そう嫌悪感と恐怖を顕にしたマリア。
だが――>
「そうも……言ってられない……かも……
ドラゴンが……お腹すいたって……ごめんね……」
<――と、ライラさんが“緊急事態”を訴えた。
そんな中、残念そうな顔をしたギュンターさんが戻って来て――>
………
……
…
「申し訳有りません……本自体がこの国では高級品扱いの様です。
外部の人間であっても個人で所有する事は“違法”だと
所有しているのかを強く質問されました。
無論……誤魔化しましたが」
「……ならこの国には用が無く成りましたね。
早急に出国するべきです……が
ライラさんのドラゴンが空腹の様なので
討伐依頼を一つ受けてから出国と言う事にしましょう。
ライラさん……もう少しの辛抱です」
「主人公さん……私の所為で……ごめんね……」
「大丈夫です! ……ドラゴンも腹に据えかねてたんですよ、きっと! 」
<――申し訳無さそうにしていたライラさんを慰めつつ
この後、ハンターギルドを訪れた俺達……だが。
掲示板を眺めていると、この“歪な国”にしては珍しく
達成時の報酬も豊富な上、入国費用を一度で取り返せる程の依頼ばかり
この上更に幸運な事に、討伐依頼がかなり豊富に掲載されて居て――>
………
……
…
「主人公……お互い“溜まって”いる事だろう。
発散がてら、この依頼などどうだ? ……」
<――そう言ってディーンが指し示したのはSS級の討伐依頼であった。
だが、政令国家ならばせいぜいS級相当の魔物を
五体程度狩るだけの“今の俺達に取っては”大層簡単な物で――>
「これだけ? ……ならそっちのも受けないか? 」
<――そう言って俺が指差した依頼はL級だった。
だが、これも政令国家ならばどれ程高めに見積もっても
SS級相当の依頼で……討伐頭数こそ多いが
それでもかなり余裕の感じられる依頼だった――>
「よし、ならばこの二つを受けよう……ギュンター」
《――この後、ディーンの命令により
受付に二つの依頼を引き受ける旨を伝えに向かった。
……だが、受付の男は彼に対し
不敵な笑みを浮かべながら、失敗時の“罰金”について
彼を嘲笑う様な態度で説明した。
……無論、これを意に介さず
終始穏やかに応対し一行の元へと戻ったギュンター
だが――》
………
……
…
「お待たせ致しました……早速討伐に向かいましょう」
《――そう言った瞬間
心做しかギュンターの雰囲気が“変化”した事に気がついたディーンは
ニヤリと笑いつつハンターギルドを後にした。
……そうして暫くの後、一行はウバン王国から少し離れた場所に有る
SS級の依頼場所へと到着した……だが。
戦闘の準備をする一行に対しディーンは――》
………
……
…
「さて、皆好きに休んで居てくれ……そして、ギュンターよ。
……好きに暴れてくれて構わん」
「宜しいのですか? ……いえ、謹んでお引き受け致します。
では……皆様、決して此方より前にお出に成られない様
深く、深く……お願い致します」
<――瞬間
ギュンターさんから妙な気迫を感じた俺達……それはまるで
足元に引かれた薄い線が“地獄の門”に見える程で――>
………
……
…
「い、一応聞くけど……ディーン
俺達……本当に何もしなくて良いのか? 」
「なに、ギュンターの“ガス抜き”だ……見ていれば分かる」
<――と、微笑みながらそう言ったディーンの横で
“成程……恐ろしい”
と言ったガルド――>
「ん? ガルド、恐ろしいって何が……って。
うへっ!? ……」
<――瞬間
妙な光景が俺達の視界に飛び込んで来た。
ギュンターさんに気づいた魔物達が全速力で“逃げ始めた”のだ
その姿は……明らかに怯えている者の“それ”だった。
逃げる魔物達……だが、ギュンターさんは追いかける事もせず
僅かに襟元を正した後
立ち止まり――>
………
……
…
「無影歩法・乱歩――」
<――瞬間
逃亡する魔物共々俺達の視界から完全に消えたギュンターさん。
唖然とする俺の横ではディーンが満足気に微笑んでいた。
一体、何が起きているんだ? ――>
………
……
…
「さて……終わりまして御座います
ドラゴンの食事も切り分けておきました……ライラ様、どうぞ」
<――そう何時もの優しい声がした瞬間
ギュンターさんは線の向こう側に“出現”した。
そして、彼が指し示した場所には
綺麗に切り刻まれた魔物の残骸が部位別に並べられていた。
全く以て、理解が出来ない――>
「ありがと……ギュンターさん……」
「いえいえライラ様……“此方こそ”でございます」
………
……
…
「……相変わらず恐ろしく正確な剣さばきだなギュンター
“衰えを知らぬ”とはこの事だろう……」
「お褒めに預かり光栄でございます、ディーン様」
<――ギュンターさんとディーンは
互いに笑みを浮かべそんな会話をしていた。
と言うか……ディーンにはあれが見えてたのか?
だが……仲間達の興奮した会話を聞く限り
実際目で追えていたのはディーンだけの様だ。
と言うか、斯く言う俺にも全く見えなかった――>
「……皆様、お見苦しい所をお見せ致しました
さてライラ様……ドラゴンの食事をどうぞ」
「うん、ありがと……ドラゴン……食べて……」
<――直後
ライラさんの呼び掛けを待って居たのか、彼女の体から勢い良く飛び出すと
眼前に山積みに成って居た魔物の肉をあっと言う間に食らい付くしたドラゴン。
だが、この量でも少し物足りなかったのか
ドラゴンは依頼達成に必要な部位を食べようとしていた。
皆が慌てたその時――>
………
……
…
「ドラゴン……めっ! 」
<――発せられたのは緊迫感の感じられないライラさんの叱り言葉。
だが、ドラゴンにとってはこの叱り言葉が余程ショックだったのか
“必要部位”には手を付けず
不満げに唸り声を上げた直後少し大人しくなった。
そして……一連の流れを見ていた女性陣は
そんなドラゴンを“可愛い”と形容し……また
褒められたドラゴンも満更では無い様子と成ったのだが……うん。
色々と頭の整理が付きません――>
………
……
…
「さて……依頼品を集めたら次の討伐依頼を達成し
さっさとあの国から脱出しようか……何だか色々と疲れた」
「……そうだな主人公。
ではギュンター、オベリスクを」
「はい、承知致しました……」
===第四十三話・終===




