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異世界転生って楽勝だと思ってました。【感謝15万PV突破! 】【六周年&七年目突入! 】  作者: 黒崎 凱
第一章

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第一三話「全員を護るのって楽勝だと思ってました……後編」

捕縛した魔族、個体名“アサシン”の移送の(ため)

エルフ族の村を後にしたミネルバは

ラウド、エリシア両名の協力に()

魔導隊詰所“地下魔導牢”への投獄を完了して居た――


「……ええ、他国からの外交要望などには全て

国王様は病気療養中であるとお伝えし、それと無くお断りを。


ええ……今、他国や我が国の国民に事実を伝えれば

我が国の平和は容易(たやす)く崩れ去ってしまうでしょう。


それと、城の一部が崩落した原因は全て

“城の老朽化”と国民にはお伝えを……ええ。


お手間をお掛け致します……はい、では失礼を……」


深夜、突如発生した騒動を収束させる為、国王城の衛兵長に対し

情報統制を()く様指示を出していたミネルバ。


……通信終了直後から(おう)()は完全封鎖され

ごく一部の衛兵と執事のみが

この事実を知るに(とど)められる事と成った


「……ラウドさん、エリシアさん

お二人共ご協力有難うございました。


……後は全て我が隊の方で処理|(いた)しますので

お二人は少しお休みに成って居て下さい。


……(いず)れにせよ、今回の一件は

何らかの解決策を早急に用意せねば成りません。


それ(ゆえ)、今後はお二人の聡明さをお頼りする事も多いでしょう

その(ため)にも……今は少しでも休息をお取り頂きたいのです」


そう伝え、深々と頭を下げたミネルバ

そんな彼女の(うれ)いに満ちた表情に――


「うむ……明日からはまた忙しくなるじゃろうて

用があれば何時(いつ)でも呼んでくだされっ! 」


「右に同じぃ~っ! 直ぐに飛んで来るから任せてねぇ~っ♪ 」


と、()えて明るく振る舞った両名の気遣いに

ミネルバは感謝を伝え、二人の背中を見送ったのだった。


そして――


「……さて、ガルベスとやら。


貴方には聞きたい事が山程あります……ですが、()ずは

貴方の他に、王国内に潜伏して居る魔族の人数について

お聞き(いた)しましょう……後、どれ程居るのかしら? 」


「ふっ、誰が下等な人間風情に……」


「……無論(むろん)、素直に答えて頂けるとは思って居ませんでした。

ですが、私も此処(ここ)で引く事は(いた)しません。


光の魔導:“闇之浄化(ピューリファイ・ザ・ダークネス)ッ!! ” ――」


「ぬっ?! ……ぐぁっ!! ……や……めろっ……く……苦しい……っ! 」


「――ええ、お話になるのであれば直ぐにでも止めましょう」


「わ、理解(わか)った! 話すッ! だから……この光を止めてくれっ……」


「……良いでしょう、ではもう一度お(たず)ねします

あと何体……王国内に潜伏しているのです? 」


「……八体だ、協力者の人間も含めてだが」


「そうですか……内訳は? 詳しく教えなさい」


「魔族が六体、人間が二人だ……どこで動いているかまでは知らん」


「本当ですね? ……嘘を言えば許しませんよ? 」


「ふっ……仮にこれが嘘だとして

お前達の様な下等な生物に見抜けるのか? 」


「……()だご自分のお立場を理解していないのですね

良いでしょう……あまりこの様な手を使いたくは

無かったのですが……仕方ありませんね。


自白の魔導ッ! ――」


ミネルバがそう(とな)えた瞬間

(みずか)らの意思に(はん)する様に

真実を話し始めた“アサシン”――


「……帝国……人が……二人

魔族は……ウグッ!! ……感知出来る人数は……七体……だ……

一体を除いて……城に居る……ぐぁぁぁっ! 」


「――やはり嘘を混ぜて居ましたか

“城では無い所に居る”と言った一体は、何処(どこ)に居るのです? 」


「一体は……ウグ……ふっ! ……お前の後ろだッ!! 」


「なッ?! ――」


瞬間


()(さま)振り返ったミネルバ……だが

何処(どこ)からとも無く現れた“黒衣の魔族”の攻撃を避け切れず……


……(わず)かに肩を()でた刃

だが、この直後……浅い傷にも関わらず

彼女は程無くして意識を失い――


「ミ、ミネルバ様?! ……お、おのれぇぇぇっ!!! 」


「無駄だ……人間|(ごと)きの攻撃など、当たらんよ」


魔導隊員らの反撃も(むな)しく

彼らを児戯(じぎ)に等しく扱った“黒衣の魔族”は

直後、瞬時に全隊員を殺害した――


「お……のれ……っ……」


「やはり人間は弱いな、さて……“アサシン”よ」


「おぉ! ……助けに来てくれたのか!

さぁ! 早くここから出してくれ! 」


(いな)……魔王様はそれを望んでいない」


「な、何だと?! 冗談は良い、早く此処(ここ)から……」


「冗談な物かよ……このまま貴様を生かしておけば

下等生物共に次々と情報を漏らす事だろう――


闇火(ダークファイア)


――このまま燃え尽きるのが、お前の最期の役目だ」


「や、止めてくれぇぇぇっ!! やめっ……


ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!! ……」


直後

黒炎に包まれ、深い苦しみの中で絶命した“アサシン”――


「さて……長居は無用か」


瞬間


“黒衣の魔族”は何処(どこ)かへと消え去り

(しばら)くの後、ミネルバは意識を取り戻した。


だが――


「……魔導……通信……カイエル……


エリ……シア……さん……ラウ……ド……さん……

魔族に……牢を……私も……襲わ……ッ!!


か゛は……ッ……」


◆◆◆


同時刻

数名の護衛と共にヴェルツへと帰宅して居た主人公一行。


「本当に皆が無事で本当に良かったよ……


……主人公ちゃんは服がボロボロだけど

何処(どこ)も怪我は無いかい?

何か必要な物とか、欲しい物とか

食べたい物だって言ってくれれば

あたしが何だって作ってあげるんだからね!?……」


女将ミリアの“愛ある質問攻め”に()って居た――


「い、いえ……今は特に何も要りませんので!

と言うか、ミリアさんには本当にご心配を……」


「……水臭(みずくさ)い事言わないでおくれよ主人公ちゃん

あたしはアンタ達が無事ならそれで良いんだよ! 」


「で、でもっ! 私達はミリアさんのお陰で

主人公さんと合流出来たんですし……」


「メルちゃんったら……そんなに大層な事はしてないよ!

あたしは(ただ)、旦那に助けを求めただけさね」


「そんな事が……ミリアさん

改めて俺からもお礼をさせて下さい。


前に約束した――


“ミリアさんとカイエルさんの晩酌(ばんしゃく)代を(おご)る”


――って話ですが

どうかこれを今回のお礼として果たさせてくださいッ! 」


「そ……それは嬉しいが

旦那はまだまだ忙しいだろうからねぇ……」


「そッ、それもそう……ですよね

特に“今”は……」


などと話して居た俺達の下へと

(ひど)く慌てたカイエルさんが現れた事で

状況は一変する事となった


「ミリア! 主人公君も……皆、無事か?! 」


「噂をすれば……って、血相変えてどうしたんだい? 」


「それが、詰所(つめしょ)の地下でミネルバ様が襲われたのだ……」


「何だってっ?! 」


余りに衝撃的過ぎる報告


(カイエル)は続けて……“アサシン”が暗殺された事

魔導隊詰所が壊滅的被害を受けた事

ミネルバさんは念の(ため)、エルフ村に移送され

治療中ではある物の……正直、状況が(かんば)しく無い事。


エルフ村を現状に()ける最終防衛ラインとする(ため)

エリシアさん、ラウドさんの両名にも協力をして貰って居る事

などを話してくれた。


……だが、そんなカイエルさんの話を聞いて居たら

再び俺の“胸騒ぎ”は強まり始めてしまって


「ッ! ……すみません……俺、此処(ここ)の所

気持ち悪い位、嫌な予感が当たり続けてるんです」


「いきなりなんだね? 主人公君」


「……変な事を言ってる自覚はあります

でも……これはきっと命に関わる“胸騒ぎ”なんです。


これは……俺個人の“嫌な予感”って言う

確証なんて何も無い事を原因とする話かも知れません

でも……どうか、俺の話を聞いて下さい」


荒唐無稽(こうとうむけい)な話かも知れない

事実、何故(なぜ)いきなり“そうすべきだ”と思えたのかは判らない。


だが……転生後

“問題が発生する直前に胸騒ぎを感じる”確率は

明らかに跳ね上がった……何よりも

今、これを無視すれば

今度は“無事では済まない”様に思えてならなくて


「……何馬鹿な事言ってんだい主人公ちゃん」


「やっぱり、信じて貰えない……でしょうか? 」


「いいや? ……その逆さね!

全力で信じるから、早く主人公ちゃんの考えを言ってみな! 」


満面の笑みでそう言ったミリアさんを皮切りに

この場にいる全員が俺を信頼して居ると言い切ってくれて


「……有難うございます

で、では……全員、今(ます)ぐ全員エルフの村に避難を」


「“避難(ひなん)”だって? ……それは私もなのかい? 」


「ええ、特に“ミリアさんが”です」


「そうかい……でも、そうまで言われちまうと何だか怖いねぇ?

けど、あたしは主人公ちゃんを信じるさ!


……今日は店仕舞いさね! 」


「有難うございます……では

ミリアさんも……全員、俺に触れて居て下さい!


では、行きますッ! ……転移の魔導、エルフの村へ! ――」


◆◆◆


「――着きましたッ!

此処(ここ)がエルフ村……って、ぬわぁッ?! 」


転移直後

エルフの戦士達に取り囲まれてしまった俺達


だが、オルガさんの指示に()り直ぐに包囲は解かれ


「……済まなかった、敵の襲来を警戒して居たのだ

だが……どうした? 妙に同行者が多いが

まさか……何か()ったのか?! 」


「い、いえ……その、御迷惑(ごめいわく)かとは思いましたが

何故(なぜ)か全員連れて来た方が安心な気がしてしまって……


……少なくとも、俺の中にあった“不安”はたった今消えました」


「そ、そうだったか……」


などと、オルガさんと話し込んで居たその時

遠くでガーベラさんが叫んだ


「……何故(なぜ)なのッ!?

傷が全く塞がらないッ……どうしてッ?!! 」


彼女の目線の先には

意識の無いミネルバさんの姿が見えた


「なッ?! ……ガーベラさん、俺の治癒魔導を試させて下さいッ!

完全回復(パーフェクトヒール)ッ――


――何だ?


可怪(おか)しい、この技は傷を完治させる筈……」


「……主人公さん、その技は(すで)に私も何度か試したわ

だけれど、それでも彼女(ミネルバ)の傷は塞がらなかった。


正直、私も見た事の無い症状なの……一体どうすれば……」


◆◆◆


主人公(かれ)の回復魔導は勿論の事

王国|随一(ずいいち)の腕を持つガーベラの治癒魔導ですら

彼女(ミネルバ)の傷が塞がる事は無く……


……浅く切りつけられたその傷口からは

(なお)も出血が続いて居た……だが、そんな中

ミネルバの意識は戻り――


「主人公……さん……ガーベラさん……ぐッ!!


この……傷は……恐らく“呪具”に()る物……

魔導では……決して……治す事……は……出来ない……“呪い”……」


「そ、そんなッ!? ……何か方法は無いんですか!? 」


「この……傷を付けた……呪具を……破壊出来ない限りは……

恐らく私……は……もう……長くありません

回復魔導はもう……それよりも……お願い。


私が話す……全てを……書き……()めて……」


「でもそれじゃミネルバさんはッ!! ……」


「お願い主人公さん……王国の……いいえ

全ては民達の(ため)なのです……おね……がい……」


「ミネルバさん……分かりました。


一言一句(いちごんいっく)、聞き逃さぬ様覚悟して聞きます

だからッ! ……最後まで諦めないで下さいッ! 」


「ありがとう……主人公……さん……


今……王国内に潜伏している……魔族は……七体

帝国人が……二人……はぁはぁ……ッ! ……」


朦朧(もうろう)とする意識の中

ミネルバは情報を伝える(ため)言葉を発し続けた。


だが、彼女が言葉を発すれば発する程に

その呼吸は浅くなり――


「くッ……他には?! 」


「魔族六体と……帝国人スパイは城に……

残りの……魔族は、私を襲っ……た……」


其処(そこ)までを伝え掛けたその時

彼女は、眠る様に息を引き取った――


「……ミネルバさん?


ミネルバさんッ!! ……完全回復(パーフェクトヒール)ッ!!!

くそッ! ……“限定管理者権限ッ! ”


頼む……ミネルバさんを生き返らせてくれぇぇッ!!! 」


《《――“ERROR(エラー)”魔導力不足

回数制限、(およ)び禁止事項“死者の蘇生(そせい)”に該当(がいとう)します――》》


「クソッ! ……クソッ! クソがぁぁぁッ!!

完全回復(パーフェクトヒール)ッ!! 完全回復(パーフェクトヒール)ッッ!!! ……何でッ!!

何でッ!!! ……」


主人公(かれ)

(すで)息絶(いきた)えた彼女(ミネルバ)(なお)も救おうとして居た。


だが、この直後……そんな彼の肩に手を置き

静かに首を横に振ったカイエル。


彼は――


「主人公君……もう良い

ミネルバ様は最後まで立派な方だったのだ……」


「……良くなんか無いッ!!

何で、こんな……ッ!!

……ミネルバさん!!! ミネルバさんッ!!! 」


カイエルの制止を振り払い

(なお)もミネルバに対し回復魔導を使用し続けた主人公。


だが――


「主人公さん……貴方が今やるべき事は“落ち込む”事じゃないわ。


その(くや)しさを、最後まで立派に職務を(まっと)うした

ミネルバさんの(おも)いに(むく)いる(ため)

彼女が命を掛けて()た情報を()かす事、それが

彼女に(むく)いる事の出来る唯一(ゆいいつ)の行動なのよ」


そう、(さと)す様に言ったガーベラ。


(あふ)れる涙を(ぬぐ)い、(しば)しの時が流れ

そして、(ようや)(わず)かに冷静さを取り戻した主人公(かれ)は――


「分かっています……けど、せめて

ミネルバさんを手に掛けた魔族がどんな奴なのかを聞きたかった。


それを伝える前にミネルバさんは……俺がもっと強ければ。


俺が、もっとッ! ……」


怒りと悲しみに支配され

(みずか)らの太腿(ふともも)幾度(いくど)と無く殴りながらそう言った主人公。


だが……悲しみに包まれたエルフの村に

突如として“謎の訪問者”が現れた事で

事態は再び変化を迎える事と成る――


◆◆◆


「おい! 聞こえているか?! ……此処(ここ)を通してくれオルガ! 」


「ん?! ……クレインか、血相を変えてどうした? 」


オルガが“クレイン”と呼んだこの男。


銀髪で長身、褐色(かっしょく)の肌と言う

所謂(いわゆる)“ダークエルフ族”の特徴(とくちょう)を有する彼は

現れるなり――


「……オルガよ、王国内が不味(まず)い状況だ

魔導隊の詰所は壊滅(かいめつ)状態

飲み屋のヴェルツまでもが荒らされ

二階の宿など(ひど)有様(ありさま)だった。


恐らくだが……“何者かを探した”のだろう。


城にもデカい風穴が……ん?

今日はやけにエルフ族以外が多……なッ?!


……ミ、ミネルバッ?!

この傷は!? ……間違い無く呪具に()る物だ。


……何が()ったッ?! 答えろオルガッ!! 」


言うや否やオルガに掴み掛かった“クレイン”

だが、そんな彼に対し女将“ミリア”は――


「アンタ! ヴェルツが何だって?! 何かの間違いじゃ! ……」


「待つんだミリア……残念だが

此奴(クレイン)”がそう言うなら間違い無い。


主人公の言う“不安”とはその事だったのだろう……」


オルガがそう言った瞬間

肩を落とし項垂(うなだ)れたミリア……直後

そんな彼女の姿を見た“クレイン”は、深呼吸し

オルガを掴んで居た手を離しながら――


「……騒いで済まなかった

それで……オルガよ、この状況は一体何だ?

全て……話してくれ」


そう(たず)ねたクレインに対し

これまでの状況を全て伝えたオルガ……だが

説明を終えた瞬間、突如として立ち上がった主人公は

クレインに疑いの眼差しを向けながら、ある“質問”をした――


「クレインさん……と、お呼びします。


失礼ですが……オルガさんとの間で

お互いしか知らない情報はありますか? 」


「成程……私が“魔族の成り代わり”である可能性を疑って居るのだな?

良かろう……では、一つ昔話をしよう。


オルガの体には、ある“傷”がついて居るのだが……」


クレインがそう話し掛けた瞬間

オルガは大層慌てた様子で彼の話を(さえぎ)り――


「……そ、その話だけはするなクレインッ!!

主人公……私が保証する、此奴(コイツ)は間違い無く本物のクレインだ」


「そ、そうですか……何だか“続き”が気になりますが

兎に角、疑って申し訳有りませんでした……」


「……構わない、今は緊急事態だ

(むし)ろ、我々ダークエルフも気を引き締めねばな

それで……その他に情報は? 」


「ええ、ミネルバさんが(のこ)してくれた情報があります。


……現状(げんじょう)、判明して居る敵の詳細ですが

魔族が七体、帝国人二名がこの国に潜伏しており

城には六体が潜伏して居るとの事です……けど。


彼女を手に掛けた魔族の居場所を聞き取る前に

ミネルバさんは……」


直後、拳を握り締め

(くや)しさを(あらわ)にした主人公。


だが、そんな彼の背にそっと手を置きつつ

クレインは静かに語り始めた――


「……主人公君と呼ばせて貰おう。


良いか? ……ミネルバは(ほこ)り高き魔導師として最期(さいご)を迎えた

それは言葉で言う(ほど)簡単に出来る事では無い

彼女は……種族は違えど尊敬(そんけい)すべき女性であった。


……我が種族への偏見(へんけん)など微塵(みじん)も無く

我々に対し、家族に接する様接してくれた彼女の死は

私達にも深い悲しみを(もたら)して居る、だが

今は、彼女の死を(いた)(いとま)すら与えられぬ状況だ。


君も辛いだろう、だが……耐えるんだ」


「クレインさん……気を遣わせてしまい……」


「何、構わないさ……しかし

城に“六体”とは由々(ゆゆ)しき状況だ。


……仮に奴らが“擬態能力”(もち)

(いず)れかが国王に化けた状態で

君達の事を“指名手配”などにでもすれば

それに(だま)された国民達は、皆敵となる可能性が高い。


そして恐らく……それは“必ず”起こるだろう」


「そんなッ?! ……なら、敵の策略(さくりゃく)に巻き込まれる前に

国民に真真実を伝えれば良いのでは? 」


「……伝える(ため)には()ず国民を集めなければ成らない

だが、この国に()いて国民を集める権利と権力を有するのは

皮肉な事に“国王”を置いて他には無い……」


「ならどうすれば……って、そうだッ!

で、でしたらその……


……スライムの草原で起きた“事件”はご存知ですか? 」


「ああ、魔王軍が攻撃を仕掛けたと言う……」


「い、いえその……あれ、実は“俺のせい”なんです。


……あの後、あの地域一帯は野次馬が凄かったとも聞いてますし

兎に角! ……()ずはそれを利用するんですッ! 」


彼がそう言った瞬間

事情を知らなかった者達の声でエルフ村はざわついた――


「何と……魔王軍の仕業では無かったか

いや、それよりも……何故あの様な事をした? 」


「け、決してワザととかでは無くてですね……その

単純に“大失敗”と言いますか……兎に角


あの“失敗”を再び行い、兵士達の意識を草原に集中させ

(わず)かでも城の警備を手薄にさせた上で

(すき)を見て城へと潜入、王の演説場所で

真実を語る為の準備を整える……と言うのは、どうでしょうか? 」


「……その様に面倒な事をせずとも

転移魔導などを用い城内部に移動し

敵と成る者達を打ち倒し進めば良いのでは無いか? 」


「ええ……ですがそれだと

城を完全に制圧出来たとしても騒ぎが大きくなり過ぎます。


あくまで見つからない様に潜入し

魔族と(おぼ)しき者が居た場合、それらを捕縛し

その状態で民に真実を語らないと駄目だと思うんです。


エルフ族やダークエルフ族の皆さんは

違うのかも知れませんが、人間は“目で見た物”しか信用しない。


たとえ“見えていない事”の方が真実だったとしても」


主人公(かれ)の説明に耳を傾けて居た者達の中

副ギルド長“ラウド”は主人公(かれ)の案を

“良案”とした上で――


「では、わしも一つ提案じゃ……睡眠の魔導であれば

メル殿にガーベラ殿……トライスターである主人公殿も使える筈。


……城内には(いま)だ真実を知らぬ者達も多数居る

其の者達を出来る限り傷つけず進む(ため)

三名は、出来る限り睡眠の魔導を駆使して進む事を頼みたい。


……じゃが、運良く演説の場に辿り着いたとしても

主人公殿一人の発言では民の多くが耳を貸さぬじゃろう」


「それは確かに……」


「気を落とすのは早いぞぃ? ……


……(ゆえ)に、民の信頼が厚い者を同行させれば良い

この場所に居る者であれば、カイエル殿は国防の(かなめ)として

エリシア殿はハンターギルドの長じゃ

信頼は充分過ぎる程にあろうて」


「成程……ですが、それなら

ラウドさんにも同行して貰いたいのですが……」


「ふむ、わしは構わんが……何故(なぜ)じゃね? 」


「それはその……俺自身が

ラウドさんに対する信頼を持って居るからです」


「……そうはっきりと言われてしまうと何だか照れるのぅ?

じゃが、承知した……魔族との戦いは気を抜けん。


戦える人数が多いに越した事は無いからのぅ?

老体じゃが、わしもまだまだやれるじゃろうて! 」


「……頼りにして居ます、それから

エルフ村の警備は引き続きオルガさんに……それと。


済まないが、マリアもここで防衛に加わって居て欲しい

ミリアさんも此処(ここ)に居た方が安全だと思います。


俺の不安が“そうすべきだ”って

ミリアさん……もう一度、信じて貰えますか? 」


直後

「もちろんさね! 」と、主人公(かれ)の不安な感情さえ吹き飛ばすかの様に

明るく(こた)えたミリア、(しばら)くの後

主人公(かれ)は作戦を開始する(ため)……その“第一段階”として

スライムの草原へ向かう事と成った、だが――


「で、ではその……スライムの草原を吹っ飛ばして来ます」


「ふむ……言葉だけ聞くと悪人以外の何物でも無いぞ? 」


そうオルガに言われ


「スライムも災難じゃのぅ?」


と、ラウドにも言われ


「あ~あ! また(しばら)

スライム関連の依頼が受けられなくなりますよ? 」


と、マリアにまで言われてしまった主人公(かれ)は――


「い、いやその……其処(そこ)まで言われると罪悪感が凄いんですが

とッ……取り敢えず行ってきますからッ!

帰ったら城に直行ですから、皆さんも準備をお願いしますよ?!

で、ではッ!! ――」


この瞬間

そう、(なか)ば強引に流れを断ち切り

逃げる様にスライムの草原へと転移したのだった――


◆◆◆


(ひど)いや……皆、あんなにイジらなくても良いのに

兎に角、今は……集中だ。


“同じ技”で良いかな? 火環(ファイアサークル)ッッ!!! ――」


瞬間

(ただ)でさえ彼の“大失敗”に()(えぐ)れて居たスライムの草原は

この一撃で“壊滅的被害”を(こうむ)る事と成った――


「……げッ?!

な、何か最初の時より(ひど)い威力になってる様な気が……


……と、取り敢えず戻らなきゃ! 」


直後

再び“逃げる様に”エルフ村へと帰還した主人公。


だが……言うまでも無く、帰還後の彼を待って居たのは

仲間達からの刺さる様な視線だった――


◆◆◆


「お待たせしました皆さんッ! ……って皆さん? 」


「ま、間違い無く君だったのだな……今ので完全に理解した」


冷や汗を拭いつつそう言ったクレイン

そんな彼の態度に狼狽(うろた)える主人公の直ぐ近くでは

エリシアが望遠鏡を取り出し、草原の様子を確認して居て――


「おぉ~っ……早速、草原方面が騒がしくなり始めてるよ~っ? 」


「で、では城に飛びます……潜入班は俺に掴まってくださいッ! 」


彼女(エリシア)からも何らかの“()め”を受ける可能性が(よぎ)ったのか

慌ただしく転移の準備を始めて居た主人公。


だが、そんな彼を――


「って……ちょぉ~っと待ったぁ~っ! 」


と、強く制止したエリシア

直後……背筋を凍らせ

見るからに挙動不審な様子で振り返った主人公(かれ)は――


「な゛ッ……なんでしょうか? 魔導大臣(けん)

ギルドの長でもあられる攻撃術師(マジシャン)のエリシアさんッ?! 」


「……何でそんな“説明口調”でガッチガチなの~?

ま、良いけど~……“飛ぶ”なら(おう)()にある

“バルコニー”に飛んだ方が警備が手薄かもよぉ~っ? 」


「そ、そうなんですか? ……って

話は“それだけ”……ですか? 」


「“それだけ”って……これ、結構重要じゃない? 」


「え、ええ……ですよねッ!

では取り敢えずッ! ……転移の魔導!

国王城・バルコニーへ! ――」


◆◆◆


転移後、周囲を確認した一行

エリシアの説明通り、バルコニーに衛兵の配置は無く

王国城の中で最も警備が手薄と成って居た――


「ほ、本当だ……誰も居ないですね」


「……ま、油断は駄目だけど

けど……思った通りだったねぇ~っ♪ 」


と、少し満足げな様子のエリシア

一方、ガーベラは――


「けれど、扉の直ぐ向こうから数名の気配がするわ

それに此処(ここ)は中からも外からも丸見えよ

そう長くは居られない……せめて

眠らせる人数の正確な数さえ(わか)れば……」


そう不安げに語った。


一方、その言葉を聞いた瞬間

主人公(かれ)はこの状況を打破する(ため)の技を

“魔導書”の中から探し始め――


「えっと、確かこの辺りに……あった、この技だ! 」


この瞬間

探索の魔導:”活動的走査(アクティブソナー)”を(とな)えた主人公。


直後、彼は城内部に()ける(あら)ゆる生物の場所や数

形を明瞭(めいりょう)に認識し――


「……扉の向こうには三名

隣の部屋には二人、突き当りの部屋に六人……一部の人間は

ここからかなり離れた“避難部屋”と(おぼ)しき場所に居る様です。


ただ……魔族を見分ける方法が分からないので

手当り次第に眠らせ、一度全員拘束して置く必要が

あるかも知れません……」


「ん? ……その必要は無いぞぃ? 」


「えッ? ……ラウドさん、何か方法を知って居るんですか? 」


「うむ……擬態(ぎたい)をしておる魔族ならば

眠らせた後に針などで突いてやれば

突いた場所の皮膚が“魔族らしい色”に変わるんじゃよ」


「それは凄い! その作戦で行きましょう! 」


「うむ、しかし……人型魔族の場合には

判断が付きかねる場合もあってのぅ……」


「成程、完全に見分けるのは無理って事ですか……」


「……まぁ、やらんよりはマシじゃろうて

兎に角、()ずは近くに居る者達を眠らせる事が先決じゃ」


ラウドの立案に対し

ガーベラは更に作戦を深堀りした――


「で、あれば……三名を眠らせた後

大きな物音を立て、他の部屋の者達を誘い込むのはどうかしら?


……私達は扉側の壁に隠れ、(すき)見計(みはか)らい

睡眠の魔導を()ける……これが最も安全で確実だと思うわ? 」


そう発案したガーベラ。


直後、作戦の第一段階である三名への睡眠魔導は実行に移され

無事に成功した、だが――


「うわ~……凄い頑丈。


物音を立てようにも、何処(どこ)もガッチガチ過ぎて

“地団駄を()む”程度では誰も気付かないと思うよぉ~っ? 」


足踏みをしながら困ったようにそう言ったエリシア

直後“当然です”……と、国防的観点からの発言をし始めたカイエルを

ラウドは少し困った様に制しつつ――


「と、兎に角……再び城に風穴を開ける訳には行きませんし

何かを壊せば流石に音は響くでしょうから……一先(ひとま)

全員壁側に隠れ、俺が合図をしたら……


……ラウドさん、あの“椅子”を吹き飛ばして下さい」


この瞬間、そう言って主人公(かれ)が指差したのは

“玉座”であった――


「なっ?! ……あ、あの椅子は国王の椅子じゃぞ?!

さ、流石にマズいと思うがのぅ? ……」


「……(すで)に魔族に(けが)された椅子です

消炭にしても問題は無いかと……と言うか

他に物音を立てられそうな物もありませんし! 」


「そ、それはそうじゃが……まぁ、仕方あるまい

……良し、準備は出来たぞぃ」


「では……今ですッ! 」


「風の魔導ッ! ……“風圧砕(プレスエア)ッ! ”」


ラウドがそう唱えた瞬間

玉座はミシミシと(きし)み始めた、だが――


「あ、あの……これだと少しばかり音が小さい様な……」


「全員、耳を塞ぐのじゃ」


「えッ? 」


ラウドが警告した次の瞬間

耳を(つんざ)く程の破裂音が部屋の外まで響き渡った。


そして……唯一(ゆいいつ)“反応の遅れた”主人公の耳は

深刻なダメージを受け――


「み、耳がぁぁぁぁぁッ!! ……ヒ、治癒(ヒール)ッ!!

ちょっとラウドさん!! 耳が死ぬレベルなら先に言ってくださいよ! 」


「シッ! ……足音じゃ! 」


……ともあれ。


直後……息を潜め、その時が訪れるのを待ち続けた一行


(しばら)くの後……勢い良く現れた近衛兵達が

粉砕された玉座に愕然(がくぜん)とした……瞬間

一瞬の(すき)を狙い、一行は彼らを睡眠の魔導で無力化し――


「一人目……変異無しですっ!

同じく二人目も……いえ、変異しましたっ! ……み、(みどり)っ?! 」


其奴(そいつ)だ! ……良くやったメルちゃん!

これで一体目……」


……この後、計二体の魔族を発見

捕縛した一行は、エリシアの発案に()

捕縛した二体の魔族らに対する尋問を行った。


当然、目覚めた魔族らは

(みずか)らが人間であるかの様に演じ続けて居た。


だが、針で突いた場所を(しめ)され

直ぐに自分達が魔族である事を認めた。


反面、二体は(いず)れも魔王への忠誠心堅く――


「殺すなら殺せ、貴様ら下等な者共に話す言葉など持たん……

……我らの魔王様への忠誠は絶対だ」


「立派だよ……でも、残念だけど

無理にでも()いて貰わないと困るんだ――」


直後、主人公(かれ)は魔族ら二人に対し“自白の魔導”を掛け

(いま)だ眠らせて居た者達の中から“帝国人スパイ”一名と

“人型の魔族”を一名発見する事に成功したのだった。


……この後、人型魔族にも同様の尋問を行い

新たに得られる情報が無いと判断をした主人公。


直後……彼は“氷刃”を放ち、人型魔族を瞬殺

残る二名の魔族に対しても同様の行為を行った。


……ミネルバの一件の後、主人公(かれ)の魔族に対する対応には

少々“冷酷(れいこく)さ”が見え隠れし始めて居て――


「さて……此奴(スパイ)はどうすべきでしょうか? 」


其奴(そいつ)に関しては、国民の前で自白の魔導を用いて白状をさせ

これを国民に見せれば国民も納得する事じゃろう。


……国王の不在に関しては痛手じゃが

この様な状況じゃ、それも何とかするしかあるまい……」


「分かりました……では、国民を呼び寄せた後

もう一度“自白の魔導”ですね、では……」


ラウドの指示に従い

冷静に準備を整えて居た主人公……だが、この直後

そんな彼を強く制したガーベラは――


「……ねぇ、主人公さん。


メルちゃんには少し刺激が強いと思うわ?

一度、転移の魔導で彼女だけでも

私たちの村に飛ばしてあげるのはどうかしら? 」


そう、やんわりと主人公(かれ)(さと)したのだった。


……直後、(ようや)く事の重大さに気付いた主人公(かれ)

(ひど)く慌てた様子でメルを気に掛けた、だが――


「だ、大丈夫ですっ……お気遣い有難うございますっ!

で、でもっ……私は、このまま此処(ここ)に居たいです。


この状況が苦しいのは主人公さんだと思うから……だからっ!!

たっ……頼りないかも知れないですけど!

私っ! 主人公さんを支えたいんですっ! 」


そう“宣言”した彼女の顔は決意に満ちて居た

直後、そんな彼女の決断に――


「……余計なお世話だった様ね?

でも、やっぱりメルちゃんは主人公さんの事が大好きなのね♪ 」


そう、少し意地悪げに茶化(ちゃか)して見せたガーベラ

そんな彼女の発言に――


「そ、それはそのっ! ……はぅぅぅ……」


口籠(くちごも)り、顔を真赤にして(うつむ)いたメル。


そんな彼女の姿には流石の主人公も

感じられる物があったのだろう。

直後、彼も同じく口籠(くちごも)り、顔を赤らめる事と成っていた。


だが――


「えっとぉ~……すっごく“仲が良い”所悪いんだけどさぁ~?

今が“潜入中”なの忘れてな~ぃ? 」


と、エリシアに(さと)され

慌てて体裁(ていさい)を整えた主人公は――


「い゛や、えっとその……ゴホンッ!


……じッ、自白の魔導を使うのは兎も角として

国民を演説場に集める必要があると思うのですが

その(ため)に城を“(えぐ)る”のは流石に問題かと思いますし……」


と、真剣な表情で語った。

一方、そんな主人公に対し(わず)かに

閉口(へいこう)しつつも、ラウドはある提案をした――


「な、ならば……国民達に対し

伝達(でんたつ)の魔導”で呼び掛けを行うのはどうじゃろうか? 」


「そんな(もの)があるんですね……是非、お願いしますッ! 」


「うむ、では……伝達の魔導

魔導拡声(メガホン)”――


――王国の民に告ぐ、城の演説場まで集まられよ!

国家の一大事である! 至急、演説場まで集まられよ!!


……うむ、これで国民達が集まってくる筈じゃ

さて……後は頼んだぞぃ? 主人公殿! 」


「はいッ! 」


◆◆◆


(しばら)くの後、ラウドの呼び掛けに()

演説場には多数の国民達が集結し

“一体何事か”と、ざわついて居た――


「……皆様、お集まり頂き誠に有難うございます

本日は、皆様にお話しなければ成らない事が……」


……国民に対し

現在王国が置かれている状況を説明する(ため)

登壇(とうだん)した主人公……だが

国王では無い“一般人”の登壇(とうだん)

当然の(ごと)く民達はざわつき始め

“国王は何処(どこ)だ”……と

不満を訴え始める者さえ出始めた頃……そんな国民達に対し

作戦通り自白の魔導を(もち)いた尋問で

魔族、(およ)び帝国の魔の手が

王国へと差し迫って居る現状を伝えようと試みた主人公。


だが、そんな時……民衆の中へと現れた“国王”

この“擬態(ぎたい)した魔族”の登場に()

状況は大きく変化した――


「そこで何をして居るっ!? ……あの者を早く捕らえよっ! 」


「なっ? ……国王様?!

(みんな)ぁっ! ……国王様が此処(ここ)に居られるぞ!!! 」


「うおおおっ! 国王様だぁぁぁっ!! 」


“偽国王”の登場に()いた民衆

騒ぎは加速度的に大きくなり、主人公(かれ)の声は

興奮する民達の中に埋もれ始めて居た。


だが――


(だま)されないで!! その国王は偽物ですッ!!! ……


……くッ、声が届かないッ!!

どうすれば……って、そうだッ!!


伝達の魔導:魔導拡声(メガホン)ッ!!! ――」


直後


騒ぎの中、それを超える事の出来る活路を見出した主人公(かれ)

興奮する民達に対し、国王が偽物である事を必死に訴え続けた。


この、懸命(けんめい)な彼の態度に

耳を貸す民衆も数多く現れ始めて居た、だが――


「……デタラメな事を言うでないわ!!

国王たる我を差し置いてその場に立つなど言語道断!!

者共っ! ……早くあの者達を捕らえるのだっ!! 」


この瞬間

主人公(かれ)を指差しながらそう言った“国王”

その命令に従い、主人公(かれ)を捕らえんと

直後、魔導兵達は彼の直ぐ近くへと転移した。


だが……主人公(かれ)

一切|狼狽(うろた)える事無く――


「……俺を捕まえる事が正しいと思うなら捕まえても良い

だけど、その前に貴方達はこの真実を見るべきだ。


自白の魔導ッ! ――


――あの国王は、魔族ですか? 」


「ええ……間違く……魔族です……

本物の国王は……少し前……ガルベス殿が


“食った”


そう……聞いており……ます……」


直後

主人公(かれ)が発動させた“自白(じはく)の魔導”

それに()って(もたら)された“帝国人スパイ”の自白(じはく)

魔導兵達は狼狽(うろた)え、国民達は慌て始め

皆、慌てて偽国王から距離を取り始めた。


そして――


「くっ……こう成っては仕方が無い!

せめて、一人でも多く人間共を食らい……」


「させないッ!! 氷刃(ヒョウジン)ッ!! ――」


瞬間


主人公(かれ)の放った攻撃に()

国王に化けて居た魔族は絶命した……だが

その凄惨(せいさん)な状況は結果として

民達の恐怖心を(あお)り、敷地内は

逃げ(まど)う民達の阿鼻叫喚(あびきょうかん)の声で埋め尽くされ

混乱に乗じた複数の魔族は続々と姿を表し――


「一人でも多く焼き払ってくれる! ……キエェィッ!! 」


瞬間

一匹の魔族が放った火炎の魔導は民達の退路を()った。


()(さま)“水魔導”に()

これを消火したエリシアだったが――


「フハハハッ! ……水魔導とは都合の良い!

貴様らは皆、私の“毒”に(おか)されるのだっ!


……魔王様は永遠なり!!


フシャアァァァァッ!! ――」


直後、大勢の民を巻き添えにせんと

エリシアの放った水魔導へと飛び込み

その命を(もっ)て広範囲に毒霧を発生させた魔族――


「なッ?! ……皆逃げてぇぇぇッ!!! 」


「大丈夫……私に任せなさいエリシアっ!!


浄化(じょうか)の魔導:毒之浄化ヴェノムパリフィケイションッ!! ――」


直後

ガーベラの的確な判断に()

魔族の放った毒霧は急激にその効力を失った……だが。


……彼女が毒の無効化を終えるまでの(わず)かな間

(すで)にその身に毒を受けて居た民衆達は

その場に倒れ、苦しみ藻掻(もが)いて居た――


「うぅっ……肺が……焼ける……助けて……」


「……い、今助けますからっ!!

三重治癒(トリプルヒール)! ――」


瞬間

民衆らの元へと走り治療を(ほどこ)したメル。

直後、彼女から治療を受けた民の一人は――


「……あ、ありがとう

と言うか……ハーフ族って……怖く……無いんだな……」


「え、えっと……その……はいっ!

ちゃんと治しますから、安心して下さいっ!


あっ! そちらの方も今っ! ……」


「……大丈夫よメルちゃん! こっち側は私に任せて!

そっち側は任せるわ! ……


……主人公さんはメルちゃんの補佐(ほさ)をお願いっ!!! 」


この後

民衆への治療に奔走(ほんそう)したメルとガーベラ


だが、この事件から数週の後

毒に()る後遺症の残った民衆の治療や

ミネルバの葬儀など……王国内には悲哀の渦巻(うずま)く日々が続いたと言う。


そして……混乱の最中(さなか)


一人の“帝国人スパイ”は

王国の裏通りから姿を消したのだった――


===第一三話・終===

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