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完全なるデバッグ。……あるいは、おっさんの終着点(天国)

「……ふにゃぁぁ……。……フェリクス様、……これ、……これこそが、……私が求めていた『仕様(世界)』ですわ……」


私は今、ベルシュタイン邸のテラスで、人生最大の「ダウンタイム(悦楽)」に溺れていた。


ヒルデガルド様の「ヨシヨシ・キャンプ」から私を連れ戻すため、フェリクスが徹夜で構築した、『究極のおもてなし・パッチ(Ver. 6.9)』。


『魔導冷却・定時退社ジョッキ』:

自動で最適な温度に保たれた麦酒ビールが、無限に湧き出る聖杯。


『全自動・背徳の焼き鳥魔導炉』:

前世の居酒屋の香りを完璧に再現した、ネギまとカワが自動で焼き上がる炉。


『バルクアップ・プロジェクション』:

テラスの周囲に、ヒルデガルド様の騎士団をも凌駕する、理想的な筋肉バルクを持つ男たちの幻影が、優雅にポーズを決め続ける。


「ククク……。リリアーナ様。……隣国の叔母上(美魔女)のヨシヨシなど、ただのアナログな接待。……私の論理ロジックは、貴女の『前世のおっさん』が真に渇望するリソースを、……完全に解析デバッグしたのですよ」


フェリクスが、眼鏡のレンズを粉砕せんばかりのドヤ顔で、私の隣に跪いた。

私は、無限ビールを煽り、焼き鳥を齧り、理想の筋肉の幻影に囲まれながら、ヒルデガルド様の胸元よりも深い「安寧」を感じていた。


「……フェリクス様。……貴方は、……天才ですわ……。……私、……貴方の『ファイアウォール』の内側で、……一生ログアウトしたくないですわぁぁ!!」


「おお……っ! リリアーナ様からの、……完全なるアプルーブ(承認)……!! ……勝った、……私は叔母上に、……そして王子たちに勝ったのだ……っ!!」


フェリクスが、鼻血を噴き出しながら勝利の咆哮を上げた。

アレン王子とカシアン兄様は、フェリクスの構築した「おっさんの楽園」のクオリティに圧倒され、芝生の上でマッスルポーズをしたまま真っ白に燃え尽きていた。


だが、フェリクスはその「勝利」の絶頂で、致命的な仕様変更フラグを口にしてしまった。


「リリアーナ様! 勝利の記念に、……今夜こそ二人で、……本当の『システム統合(子作り……ではなく、添い寝)』をコミットしましょう!」


その言葉を聞いた瞬間。

私の中の「45歳のおっさん(職人)」が、ビールの酔いと共に、かつてない**「バグ(欲望)」**を爆発させた。


「……統合……? ……フェリクス様。……貴方は、……私の全てを、……受け入れてくださるのですわよね……?」


「ええ、もちろんです! 貴女の全てをデバッグし、保守……」


私が、お酒の力で真っ赤になった顔を上げ、フェリクスを押し倒した。


「……なら、……私の『前世の姿(45歳のおじさん)』も、……今すぐこの『幻影プロジェクター』で実体化デプロイさせますわ……! ……二人で、……朝まで裸で、……筋肉とビールの真理について、……『おっさん同士』の熱い議論セッションを交わしましょう!! ……ひゃぁぁぁ!! ……レッツ・ビルドアップですわぁぁ!!」


「……っ!? ……リ、リリアーナ様……? ……そのパッチ(実体化)は、……私の想定外のスコープ……ふ、ふぎゃぁぁぁ!!」


フェリクスが、リリアーナ(中身おっさん)の放った、**「自分自身をおっさんとして実体化させる」**という禁断の魔法バグに飲み込まれ、テラスには「全裸の45歳のおじさん(リリアーナ)」の幻影が大量発生。


王宮全土に、リリアーナの「おっさんの咆哮」が響き渡り、フェリクスの「完璧な婚約仕様」は、盛大にクラッシュ(自爆)するのであった。

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