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本物の悪魔(サキュバス)降臨。……あの、雇用形態は「筋肉(バルク)」でよろしいかしら?

「よくも、私たちの出番を奪ってくれたわね、人間の小娘……!」


リリアーナが屋敷の自室で、聖女の重圧から解放され「ふにゃぁ……」とプロテインをすすっていたその時。空間を切り裂いて、妖艶な角を持つサキュバスのルルと、強面だがどこか品のあるデーモンのベリトが現れた。


彼女たちは、リリアーナが勝手な勘違いで「悪魔を退治した」ことにされたせいで、魔界でのメンツを丸潰れにされていたのだ。


「私たちは本物の魔族! これから貴女に、真の恐怖を……」


しかし、彼女たちが咆哮を上げるよりも速く、部屋の扉が爆発するように開いた。


「リリアーナ様に近づく不浄な存在は、この僕が許さない!!」


「妹に指一本触れさせんぞ、魔族ども!!」


現れたのは、リリアーナの聖女化に拍車がかかり、信仰心がカンスト(限界突破)したアレン王子とお兄様。そして、その後ろには「聖女を護れ!」と瞳をギラつかせた、ベルシュタイン家の**「狂信的マッチョ騎士団」**が控えていた。


「……えっ? ちょっと、何この『圧』は……!?(ルル)」


「全軍、突撃ィ!! 筋肉プロテインの加護をその身に示せ!!」


疾風怒濤。王子の神速の剣筋と、お兄様の魔導爆発。そして、リリアーナの新薬で「岩石化」した騎士たちが、物理法則を無視した突進で魔族たちを包囲した。


「ギ、ギブアップよ! 降参!! この国の人間、頭がおかしいわ!!(ルル)」


「……屈辱だ。……だが、あの聖女の後ろに控える男たちの『筋密度』、魔界でも見たことがない……(ベリト)」


ボロボロになり、四つん這いでリリアーナの前に差し出された二人の魔族。リリアーナは、冷たくなったプロテインを一口飲み、無表情で彼女たちを見下ろした。


「……ふにゃぁ。……ルル様、ベリト様。……悪さをしないと、約束できますか?」


「約束するわよ! だからその、鉄パイプを曲げながらこっちを見てる騎士さんを止めて!!」


「……ふにゃ。……それなら、条件がありますわ。……魔族の筋肉、……特にサキュバスの『しなやかな速筋』と、デーモンの『魔力耐性のある心筋』。……非常に興味深いサンプルですわ」


リリアーナの「おっさん脳」に、新たな科学的野心が芽生えた。


「……死にたくないなら、私の家で働きなさい。……ルル様は『柔軟性向上インストラクター』として。……ベリト様は『高重量トレーニングの重り(負荷)』として。……衣食住と、最高級のプロテインは保証しますわよ?」


「……重り? 私が……重りだと?(ベリト)」


「……いいじゃない、ベリト。あの聖女、怖いけど……出してくれる飲みプロテイン、魔界の滋養強壮剤より美味しいわよ(ルル)」


こうして、本来なら国を滅ぼすはずだった魔族の二人組は、リリアーナの圧倒的な「筋肉の圧力プレッシャー」と「条件提示ベネフィット」により、ベルシュタイン家の使用人として再就職することになった。


翌朝。


「……リリアーナ様、おはようございます。……さあ、朝の『地獄のストレッチ』の時間ですわよ」


メイド服を着て角を隠したサキュバスが、複雑な心境で挨拶をする。


「……ふにゃぁ。……今日も良いバルクですわ、ルル。……でも、もう少し広背筋を意識して歩いてくださいな」


「……なんでなの!? なんで私、悪魔なのに美少女にダメ出しされてるの!? ふにゃにゃにゃにゃ!!」


サキュバスまでもがリリアーナの口癖を伝染うつされるほど、ベルシュタイン家の「魔窟化」は止まることを知らなかった。

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