第54話 まるで尋問じゃないか
「例の村の処遇が決まりました」
俺とグロー、エルウィンが軍の一室に呼ばれたのは、三日後だった。
子供の魔術師を匿っていたのは、村長を中心とした十二人。
他の村人は、何も知らなかったらしい。
「村長は極刑。世話をした五人は国外追放。残り六人は私財没収です」
「極刑……斬首か」
「五日後、東都で。非公開です」
非公開、か。
公開すれば村が特定される。
無関係な村人まで、風評で襲われかねない。
それを避けたって事だろう。
「比較的、寛大だな」
「死者が出なかった事、魔術師が幼かった事が考慮されました」
サリィンがニッコリ笑う。
報奨金はコフィーヌが準備しているらしい。
これで今回の件は終わり――の筈だった。
「そう言えば、例の魔術師達が、気になる事を言っていたとか」
サリィンが探るようにこちらを見た。
「あぁ、もうすぐ次の魔王が決まるとかどうとか」
「次の魔王……」
「魔王が倒れて、まだ大して経っとらんがのぉ」
「最重要事項として、東方司令部に報告します」
サリィンが書類に目を落とす。
ここ最近、魔王軍絡みの依頼が多過ぎる。
「ところで――今回はグロー殿が主導されたようですが」
「ガルは復帰したばかりだからのぉ。前に出られても足手纏いだわい」
グローがガハハと笑った。
「ガル殿の腕なら、片手でも戦えたのでは?相手は幼い魔術師ですし」
……何が言いたい。
「ガル殿は体調不良で先に街へ戻られた、と聞きました。原因は何だったんでしょう」
「それは……」
「魔術に中てられたのではないかと、思いまして」
心臓が跳ねた。
魔術に中てられるのは、魔術の素質を持つ者だけだ。
現代種族に、その素質を持つ者はいない。
いない筈だ。
だが、俺にはある。
これが軍に知られれば、研究対象――要は、実験材料にされる。
何故こんなにも頭の回る耳長人なんだ、コイツは。
「サリィン」
言い訳を探している間に、エルウィンが口を開いた。
「何でしょう」
「貴方はガルの味方?それとも敵?」
随分と直接的だ。
聞いている俺の方がドキリとした。
「と、言いますと……」
「誤魔化さないで。敵なの?」
エルウィンがサリィンを睨む。
しばらくの沈黙の後、サリィンが小さく息を吐いた。
「……私はガル殿の味方です。だからこそ、上層部につつかれたくない。辻褄の合う報告書を作ります。だから、何があったのか教えてください」
エルウィンが俺を見た。
俺は頷く。
「分かった。私が話す。けど、ここだけの話よ。報告書には書かないで。出来れば、記憶からも消して」
「記憶は約束出来かねますが、他言無用は神に誓います」
エルウィンは小さく頷き、今回の件についてだけ、話し始めた。




