表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【4章執筆中】グローリー・スタリオン ―亜人国家に流れ着いた俺は、平穏のために大陸の覇権を争う―  作者: 桐沢清玄
第3章 二人の侍女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/127

26話 ローザ・カルミナ館、その地下で②

 私たちは闘技場へと続く扉の前で、手足の枷を外された。

 すぐ側の壁に、武器と防具が掛けられていた。


「好きな物を選んでいいぞ」


 ここまで随伴してきた警備兵に見張られながら、簡素な皮鎧を身に付けていく。

 私は……槍にしようかな。

 あまり使い慣れてないけど、敵の方が数は多いだろうし。

 剣が欲しくなったら、奪えばいい。


 手傷を負わずに、素早く一人倒す。

 それが最善だと思う。


「……私はやっぱり、これかしら」


 イライザはメイスと盾。

 盾で受けて、隙が出来たところを叩き潰す。

 腕なら骨折、頭ならそのまま終わり。


 いつものイライザに合わせればいいから、安心して戦えそう。


「よし。準備出来たようだな」


 警備兵はさっさと闘技場内に連れて行きたいみたいだけど、そうはいかない。

 私はしゃがみつつ、槍を置いた。


「うわわ、靴紐がー」


「あら、ほんとね」


「ちっ。……さっさと結べ」


 もちろん、事前に緩めておいた。

 靴紐を結びつつ、警備兵たちの視線をそれとなく確認。

 ……いけそうかな?


 そこへ、イライザが助け船を出してくれた。


「ねえ、あなた達。皮鎧に問題が無いか、確かめてくれない?」


「はあ? なんで俺たちがそんなこと……」


「ほら……胸の辺りとか。少し、窮屈なの」


「!! ……ま、まあ、確認は大事だからな」


「へへっ、そうそう。しっかり調べてやろうぜ」


 警備兵たちはイライザを囲み、その結果私への注意が逸れた。

 私たち、相変わらず薄着だからね。


(見つかりませんように……!)


 胸元に指先を突っ込み、谷間から小石を取り出した。

 牢屋の中で他の小石と削り合わせたから、いい感じの丸さになってる。

 それを指の付け根に挟んでから、槍を持って立ち上がった。


「今度こそいいな。ほら、さっさと歩け」


「はーい。もう、せっかちさんだなあ」


 イライザと目配せしてから、闘技場へと入場する。

 虐殺の残り香が漂う。


「ひゅうーっ! あの二人、やっぱいい体してるぜえ!」


「たまんねえなあ、おい!」


「やっぱあれか!? 押し倒されたら、そのまま……!?」


 野次を適当に受け流していると、対戦相手も入場してきた。

 ──四人か。

 体付きを確認する。やれなくもなさそう。


「さあさあ、本日最後の三戦目ッ!! まずは闘技場に現れた謎の美女たち──アルマ、イライザーーーーッ!! どんな戦いを見せてくれるのでしょうッ!!」


 剣奴たちの歓声は、一際大きくなった。

 お金持ちの皆さんも、興味津々って感じ。


「対するこちらの四人はなんと──婦女暴行の常習犯だあっ!! 王都の牢屋に空きを作りたかったらしく、ここへ送られてきたそうです! まさに女の敵、なんと恐ろしいっ!!」


 にやにやと薄ら笑いを浮かべ、目の前の四人は私たちを品定めしている。

 ……最悪。変なとこおっ立ててるのもいるし。


(ま、それならそれで。遠慮無くやれそうなのは助かるかも)


「両者、配置について!」


 開始位置まで下がり、息を吐いた。

 ──心臓がうるさい。

 でも、頭は冷えてる。


「……アルマ、私の手傷はある程度無視して。あなたが素早く数を減らせば、私たちは問題無く勝てるわ」


「うん。分かってる」


 イライザが盾を構えた。私はその後ろに。

 相手の一人が、弓を持ってるからね。


「試合……開始いいいいいいっ!!」


 開始早々、矢が飛んできた。

 それをイライザが盾で受ける。

 先手は取られた。──けど!!


「アルマ、突っ込むわ!」


「了解!」


 私たちの行動に面食らったのか、相手の動きが止まった。

 走りながら槍を左手に持ち替え、右手の親指で小石を弾いた。


「ぎゃっ!!」


 可能な限り近づいたおかげ。

 弾いた石は、一番近い相手の顔に当たった。

 目一杯腕を伸ばして、槍を腹に突き刺す。


「お、ごっ……」


 膝を付いた男が剣を取り落とす。

 その剣に片足を乗せたイライザは、そのまま足を私の方向へずり下げた。

 メイスで頭を潰し、止めを刺すのも忘れない。

 これで剣は確保。


「なっ……何しやがった、テメエら!!」


 三人は動揺して、体が固まってる。

 んじゃ、もう一人っと。

 槍を構え、弓使いに向けて放り投げた。


 ──命中。

 胸に刺さった槍を見つめながら、血を吐いて倒れる強姦魔。

 これで二対二、だね。


「何という早業ッ!! この二人、強いぞおーーーッ!!」


 ジュスティーノが何か早口でまくし立ててるけど、黙ってて欲しい。

 剣を拾い、イライザの背後で構えた。


「流石ね、アルマ」


「どういたしまして。……これでも私、近衛侍女のまとめ役だからね」


 本当は、イライザの隣で戦いたい。

 でも盾が無いし、万が一の可能性もある。

 だったら、慣れた方法で戦うのが一番。


「落ち着けっ!! 数は同じ、なら男の俺らが勝つ!」


「ああっ! このまま引ん剥いて、ヤっちまおうぜ!!」


 男二人からの剣の攻撃を、イライザがメイスと盾でいなす。

 私はその背後から隙を窺い──剣を突き出した。


「うぐっ……ごっ!?」


 右腕を剣で切りつけられた男に対し、イライザはメイスを振り下ろした。

 頭が潰れ、眼球が飛び出す。

 これであと一人。


「こっ……降参だっ!! 頼むっ、許してくれ!! もう悪いことはしねえ!!」


 剣と盾を投げ捨てた男は、膝を付いて命乞いを始めた。

 聞こえてくる剣奴たちの罵声。


(……どうすればいいんだろ?)


 別にこいつ、反省してないだろうし。

 見逃したって、別の誰かに殺されるだけだよね。

 ジュスティーノに視線をやると、首を掻き切る仕草をした。

 ま、そりゃそうか。


 私は手早く最後の一人の首を刎ねた。

 これで少しは、被害に遭った女の人たちの気も晴れるのかな。


「試合ッ……終ーー了ーーッ!! 勝ったのはアルマとイライザだあーーーーっ!!    

見事な戦いを見せてくれて二人に、どうか割れんばかりの拍手をッ!!」


 両側の観戦部屋から沸き起こる拍手。

 別に、嬉しくはない。


 私とイライザは警備兵に連れられ、牢屋へ戻った。

 とりあえず、初戦は無傷。

 これをいつまで──続けられるんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ