↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/533

マドカ 暇になる

 新しい拠点で迎える、最初の朝。


「…………」


 マドカは窓の外を眺めていた。


 昨日は荷物を運び込み、食事を済ませて、そのまま休んだ。だが、朝になって改めて周囲を見渡すと、建物の周囲は草だらけで、少し離れれば木々が生い茂っている。ところどころには、崩れた建物らしきものまで見えた。


「……やっぱり、すごいね」


「さて、今日はどうする?」


 リゼットに聞かれ、マドカは外へ出る。


「まずは、この辺を見て回ろう」


 昨日は屋敷までの道しか確認していない。これから暮らしていく土地なのだから、周辺の様子も把握しておきたい。


「結構広いね~」


「この辺りは平らだな」


 ニコラとグレタが周囲を見回す。


「建物を増やすなら、この辺りが使いやすそうです」


 エレノアも地形を確認していた。


「水場は?」


「井戸が一つありますね。少し整備すれば使えそうです」


「じゃあ、それはリゼットにお願いしよう」


「任せて」


 リゼットが地面に手をつく。


 すると、地面がゆっくりと動き始めた。荒れていた周囲が整えられ、古びた井戸も石組みから補修されていく。


「はい、これで大丈夫」


「早っ!」


「リゼットパワーよ」


「便利すぎる……」


 マドカは井戸を覗き込む。


「水は?」


「しばらく使ってみて問題がなければ大丈夫でしょう」


「じゃあ次は建物かな」


「その前に周辺の安全確認だ」


 グレタが言った。


「ここは長い間放置されていた。何が住み着いているか分からん」


「モンスター?」


「そうだ」


「じゃあ、ちょっと見てこよう」


 マドカたちは拠点の周囲を歩き始めた。


 森の中にはいくつかモンスターの痕跡があったが、強力なものは見当たらない。数時間もすると、周囲にいたモンスターはほとんど片付いていた。


「これでしばらくは大丈夫かな」


「定期的な確認は必要でしょうね」


 エレノアが答える。


「ですが、最低限の安全は確保できたと思います」


「よし!」


 マドカは満足そうに頷いた。


「じゃあ、次は家!」


 戻ってみると、今度は屋敷の中で別の作業が始まっていた。


「こっちは使えそうです」


「ここの床は張り替えた方がいいな」


「この部屋は掃除すれば使えますね」


「家具はこっちに置こうか~」


 埃を払い、壊れた家具を片付け、窓を開ける。


 長い間閉ざされていた屋敷に、少しずつ人の生活が戻っていく。


「……なんか、家になってきた」


「まだまだこれからですよ」


 エレノアが笑う。


「ですが、昨日よりは随分まともになりました」


「うん」


 昼を過ぎた頃、マドカがふと思い出した。


「そういえば、お風呂どうする?」


「…………」


 全員が黙った。


「昨日は我慢したけど、今日も?」


「それは嫌ね」


 リゼットが答える。


「じゃあ作ろう」


「作るって言っても、まだ浴室は無理だろ」


 グレタが周囲を見る。


「簡易的なものでいいわ」


 リゼットが地面に手をつくと、屋敷の一角に簡単な浴槽が作られた。


「お湯は?」


「出せるわ」


 魔法でお湯を張り、排水まで整える。


「これ、お風呂?」


「お風呂よ」


「……まあ、いいか」


 こうして、新拠点に簡易風呂が誕生した。


 その日の夜。


「……やっぱりお風呂っていいなぁ」


 マドカは湯船に浸かりながら、しみじみ呟いた。


「そうね~」


 ニコラも隣でのんびりしている。


「でも、いつかちゃんとしたお風呂にしたいね」


「露天とかもいいんじゃない?」


 ヒナタが言う。


「それもいいね!」


 マドカが笑う。


 ――このときは、誰も知らなかった。


 この拠点から少し離れた場所に、後に天然の温泉が見つかることを。


 そして、それがこの土地の名物の一つになることを。


 それから数日。


 屋敷の掃除、水の確保、周辺の安全確認を進めながら、拠点は少しずつ形になっていった。


 鍛冶場、研究室、倉庫、生活用の建物。


 必要な場所から順番に整備されていく。


 グレタとニコラは、それぞれ自分たちの設備について話し合っていた。


「炉はここに置く」


「研究室はもう少し広い方がいいかな~」


「だったら隣の部屋も使えばいい」


「そうしようかな~」


 エレノアは必要な材料や設備を整理し、リゼットは建物や道を補修する。アリシアたちも掃除や荷物の整理に追われていた。


 そんな中――。


「…………」


 マドカだけが手持ち無沙汰になっていた。


「なんか暇だなー」


「マドカ?」


 ニコラが振り返る。


「どうしたの~?」


「暇」


「そう?」


「うん。何か遊ぶもの作れない?」


「遊ぶもの?」


「ゲーム!」


 マドカは目を輝かせた。


「モンスターを捕まえて、育てて、戦わせるゲーム!」


「ああ……前に言ってたやつ?」


「そう!」


 ニコラは少し考える。


「作れなくはないけど、かなり時間はかかると思うよ~」


「どれくらい?」


「設計から始めたら、数日じゃ終わらないかも」


「そっかー」


 マドカは少し考えた。


「じゃあ、その間に別のもの作ろう」


「何を?」


 マドカは自分の服を見た。


「服でも作っておこ」


「服?」


「うん!」


 マドカは布を用意すると、さっそく文字を刺繍し始めた。


「せっかくだし、日本語を入れようかな」


「日本語?」


「そう。こういうの、絶対面白い」


 最初に作ったのは、


 **『逃げちゃダメだ』**


 だった。


「……これ、何て書いてあるの?」


 ヒナタが覗き込む。


「秘密」


「えー」


 次は、


 **『だが断る』**


 その次は、


 **『私が来た!』**


 そして、


 **『大丈夫 僕 最強だから』**


「……マドカ」


 リゼットが服を見る。


「何?」


「何でこんなことしてるの?」


「カッコいいから!」


「そう……」


 しばらく刺繍を続けていたマドカだったが、やがて手を止めた。


「…………飽きた」


「早いね~」


 ニコラが笑う。


「これ、めちゃくちゃ面倒くさい」


「刺繍だからね~」


「もっと簡単に書けないの?」


「染料があればできるんじゃない?」


「染料……」


 マドカは考え込む。


「モンスターの素材とかで、服に文字を書いたりできない?」


「素材によるけど……」


 ニコラも考える。


「スライムなら、できるかも」


「スライム?」


「体の色や性質を利用すれば、染料として使える可能性はあるよ~」


「それだ!」


 こうして。


 新拠点での生活が始まったばかりだというのに、マドカとニコラはまた新しい研究を始めることになった。


 ゲームを作る。


 服を作る。


 そして、そのためにスライムを利用する。


 本人たちは、まだ知らない。


 この何気ない遊びから生まれたものが、やがてこの土地の文化や産業まで大きく変えていくことを。


「…………」


 マドカは完成したばかりのTシャツを眺める。


「……ゲーム、早くできないかな」


 周囲では、みんなが忙しそうに働いている。


 新しい拠点も、少しずつ形になっている。


 やることは、まだまだたくさんある。


「なんか暇だなー」


 その呟きが――。


 後に、とんでもない事件の始まりになることを、このときのマドカはまだ知らなかった。


https://52594.mitemin.net/i1246150/ 

マドカをAIで書いてもらいました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。