マドカ 暇になる
新しい拠点で迎える、最初の朝。
「…………」
マドカは窓の外を眺めていた。
昨日は荷物を運び込み、食事を済ませて、そのまま休んだ。だが、朝になって改めて周囲を見渡すと、建物の周囲は草だらけで、少し離れれば木々が生い茂っている。ところどころには、崩れた建物らしきものまで見えた。
「……やっぱり、すごいね」
「さて、今日はどうする?」
リゼットに聞かれ、マドカは外へ出る。
「まずは、この辺を見て回ろう」
昨日は屋敷までの道しか確認していない。これから暮らしていく土地なのだから、周辺の様子も把握しておきたい。
「結構広いね~」
「この辺りは平らだな」
ニコラとグレタが周囲を見回す。
「建物を増やすなら、この辺りが使いやすそうです」
エレノアも地形を確認していた。
「水場は?」
「井戸が一つありますね。少し整備すれば使えそうです」
「じゃあ、それはリゼットにお願いしよう」
「任せて」
リゼットが地面に手をつく。
すると、地面がゆっくりと動き始めた。荒れていた周囲が整えられ、古びた井戸も石組みから補修されていく。
「はい、これで大丈夫」
「早っ!」
「リゼットパワーよ」
「便利すぎる……」
マドカは井戸を覗き込む。
「水は?」
「しばらく使ってみて問題がなければ大丈夫でしょう」
「じゃあ次は建物かな」
「その前に周辺の安全確認だ」
グレタが言った。
「ここは長い間放置されていた。何が住み着いているか分からん」
「モンスター?」
「そうだ」
「じゃあ、ちょっと見てこよう」
マドカたちは拠点の周囲を歩き始めた。
森の中にはいくつかモンスターの痕跡があったが、強力なものは見当たらない。数時間もすると、周囲にいたモンスターはほとんど片付いていた。
「これでしばらくは大丈夫かな」
「定期的な確認は必要でしょうね」
エレノアが答える。
「ですが、最低限の安全は確保できたと思います」
「よし!」
マドカは満足そうに頷いた。
「じゃあ、次は家!」
戻ってみると、今度は屋敷の中で別の作業が始まっていた。
「こっちは使えそうです」
「ここの床は張り替えた方がいいな」
「この部屋は掃除すれば使えますね」
「家具はこっちに置こうか~」
埃を払い、壊れた家具を片付け、窓を開ける。
長い間閉ざされていた屋敷に、少しずつ人の生活が戻っていく。
「……なんか、家になってきた」
「まだまだこれからですよ」
エレノアが笑う。
「ですが、昨日よりは随分まともになりました」
「うん」
昼を過ぎた頃、マドカがふと思い出した。
「そういえば、お風呂どうする?」
「…………」
全員が黙った。
「昨日は我慢したけど、今日も?」
「それは嫌ね」
リゼットが答える。
「じゃあ作ろう」
「作るって言っても、まだ浴室は無理だろ」
グレタが周囲を見る。
「簡易的なものでいいわ」
リゼットが地面に手をつくと、屋敷の一角に簡単な浴槽が作られた。
「お湯は?」
「出せるわ」
魔法でお湯を張り、排水まで整える。
「これ、お風呂?」
「お風呂よ」
「……まあ、いいか」
こうして、新拠点に簡易風呂が誕生した。
その日の夜。
「……やっぱりお風呂っていいなぁ」
マドカは湯船に浸かりながら、しみじみ呟いた。
「そうね~」
ニコラも隣でのんびりしている。
「でも、いつかちゃんとしたお風呂にしたいね」
「露天とかもいいんじゃない?」
ヒナタが言う。
「それもいいね!」
マドカが笑う。
――このときは、誰も知らなかった。
この拠点から少し離れた場所に、後に天然の温泉が見つかることを。
そして、それがこの土地の名物の一つになることを。
それから数日。
屋敷の掃除、水の確保、周辺の安全確認を進めながら、拠点は少しずつ形になっていった。
鍛冶場、研究室、倉庫、生活用の建物。
必要な場所から順番に整備されていく。
グレタとニコラは、それぞれ自分たちの設備について話し合っていた。
「炉はここに置く」
「研究室はもう少し広い方がいいかな~」
「だったら隣の部屋も使えばいい」
「そうしようかな~」
エレノアは必要な材料や設備を整理し、リゼットは建物や道を補修する。アリシアたちも掃除や荷物の整理に追われていた。
そんな中――。
「…………」
マドカだけが手持ち無沙汰になっていた。
「なんか暇だなー」
「マドカ?」
ニコラが振り返る。
「どうしたの~?」
「暇」
「そう?」
「うん。何か遊ぶもの作れない?」
「遊ぶもの?」
「ゲーム!」
マドカは目を輝かせた。
「モンスターを捕まえて、育てて、戦わせるゲーム!」
「ああ……前に言ってたやつ?」
「そう!」
ニコラは少し考える。
「作れなくはないけど、かなり時間はかかると思うよ~」
「どれくらい?」
「設計から始めたら、数日じゃ終わらないかも」
「そっかー」
マドカは少し考えた。
「じゃあ、その間に別のもの作ろう」
「何を?」
マドカは自分の服を見た。
「服でも作っておこ」
「服?」
「うん!」
マドカは布を用意すると、さっそく文字を刺繍し始めた。
「せっかくだし、日本語を入れようかな」
「日本語?」
「そう。こういうの、絶対面白い」
最初に作ったのは、
**『逃げちゃダメだ』**
だった。
「……これ、何て書いてあるの?」
ヒナタが覗き込む。
「秘密」
「えー」
次は、
**『だが断る』**
その次は、
**『私が来た!』**
そして、
**『大丈夫 僕 最強だから』**
「……マドカ」
リゼットが服を見る。
「何?」
「何でこんなことしてるの?」
「カッコいいから!」
「そう……」
しばらく刺繍を続けていたマドカだったが、やがて手を止めた。
「…………飽きた」
「早いね~」
ニコラが笑う。
「これ、めちゃくちゃ面倒くさい」
「刺繍だからね~」
「もっと簡単に書けないの?」
「染料があればできるんじゃない?」
「染料……」
マドカは考え込む。
「モンスターの素材とかで、服に文字を書いたりできない?」
「素材によるけど……」
ニコラも考える。
「スライムなら、できるかも」
「スライム?」
「体の色や性質を利用すれば、染料として使える可能性はあるよ~」
「それだ!」
こうして。
新拠点での生活が始まったばかりだというのに、マドカとニコラはまた新しい研究を始めることになった。
ゲームを作る。
服を作る。
そして、そのためにスライムを利用する。
本人たちは、まだ知らない。
この何気ない遊びから生まれたものが、やがてこの土地の文化や産業まで大きく変えていくことを。
「…………」
マドカは完成したばかりのTシャツを眺める。
「……ゲーム、早くできないかな」
周囲では、みんなが忙しそうに働いている。
新しい拠点も、少しずつ形になっている。
やることは、まだまだたくさんある。
「なんか暇だなー」
その呟きが――。
後に、とんでもない事件の始まりになることを、このときのマドカはまだ知らなかった。
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マドカをAIで書いてもらいました!




