キシマド配信3
# 第○話 トライアングル公式配信! 嫉妬大陸進出計画!
「はい、じゃあ次の質問ね!」
マドカは配信に届いたコメントを確認した。
「『これから嫉妬以外では何かするんですか?』だって!」
「あら、いい質問ね!」
キシリアは待っていましたとばかりに微笑んだ。
「そうね。まず、あくまでも嫉妬大陸からこちらに来ることができるのは、今のところ私だけという制限はあるのよ」
『やっぱり自由に行き来できるわけじゃないんだな』
『転移アイテムを借りられるのはキシリア様だけか』
『嫉妬大陸はまだまだ遠いんだな』
『じゃあ、キシリア様が貴重な交流窓口ってこと?』
「でもね! 私は嫉妬大陸の侯爵令嬢なのよ!」
キシリアは自信満々に胸を張った。
「もしエキドナの商品を扱うお店を、嫉妬王都に構えることができればどうかしら? EVでつながっている大陸に、嫉妬のいいところを知ってもらえるでしょう? そうすれば、ほかの大陸からも嫉妬の商品が欲しいという話が出てくるかもしれないわ!」
『おお、商売の話だ!』
『侯爵令嬢の立場を活用するわけか』
『嫉妬の商品をほかの大陸に広めるチャンスにもなるな』
『キシリア様、ちゃんと領地のことも考えてるんだな』
『これが未来の大陸間貿易か……!』
「それに、嫉妬への商品輸送なら、物だけを転移させる転移魔法陣もあるみたいなの!」
「人が移動できなくても、商品だけ送れるなら便利だよね!」
「そうでしょう? それだけでも、ものすごく助かるわ!」
キシリアは楽しそうに指を立てた。
「もちろん、最初から大きな取引をするつもりはないわ。まずは小規模な取引から始めるのよ! 私が嫉妬側の窓口になって、少しずつ広げていけばいいでしょう?」
『堅実なスタートだ』
『勇者で貴族の令嬢が後ろ盾なら、話も進めやすそう』
『キシリア様、ちゃんと先のことまで考えてたんだな!』
『いきなり大規模展開じゃなくて、まずは小さくか』
『転移魔法陣が使えるなら、輸送の問題も解決できそうだな』
「当然よ! 後ろ盾は勇者で貴族の私! そして、私自身が広告塔になってエキドナの商品を宣伝するわ!」
「うんうん、実際に可能性はあると思うよ」
マドカも頷いた。
「前に強欲大陸で、EVやモンバト、ヒロバトの展示会をしたことがあるんだけどさ。あのときは、こっちがちょっと引いちゃうくらい『売ってくれ!』って声があったんだよね」
『あれはすごかったw』
『展示会なのに販売を求める人が続出してたな』
『実物を見たら欲しくなるのも分かる』
『展示会で見せられたら、そりゃ欲しくなるだろw』
『あの熱気なら嫉妬でも売れそうだな!』
「そうなの!?」
キシリアの目が輝く。
「ええ。だから、キシリアさんの実家が嫉妬大陸で宣伝してくれるなら、私たちも『じゃあ、嫉妬にも商品を流そうか』って計画を立てられるんだよね」
「そうでしょう、そうでしょう!」
キシリアは嬉しそうに頷いた。
「私が責任を持って宣伝するわ! 嫉妬の人たちにも、エキドナの素晴らしさを知ってもらうんだから!」
『キシリア様、やる気満々だw』
『これは本当に嫉妬にエキドナショップができるかもしれない』
『キシリア様のお店、ちょっと見てみたいな』
『開店したら配信で紹介してほしい!』
『商品だけじゃなくて、嫉妬大陸の名産品も売ってほしいな』
「ふふん! 楽しみにしていなさい!」
キシリアは得意げに笑った。
「ただね」
マドカは、少し真面目な顔になった。
「エキドナの最終目標は、全大陸のEV開通なんだよ」
「全大陸……!」
キシリアはその言葉を繰り返した。
「そう。EVで全大陸がつながれば、いろんな情報を共有できるようになるでしょ?」
マドカは画面の向こうにいる視聴者たちへ、分かりやすく説明する。
「たとえば、どこかの大陸で『この地域、異常な魔力が集まってるから危険かもしれない』って情報が見つかったとするよね。それをEVで全大陸に伝えられれば、ほかの大陸でも警戒できるんだよ」
『確かに、それは大きいな』
『危険な場所の情報がすぐに広まるわけか』
『大陸ごとに情報が止まらなくなるのは便利だな』
『遠くの大陸の異変にも早く気づけるのか』
『冒険者にとっても重要な情報網になりそう』
「もちろん、危険情報だけじゃないよ!」
マドカはにっこりと笑った。
「『この大陸では今、こんなものが流行ってます!』とか、『こんな新商品が出ました!』とか、そういう情報も共有できるようになるんだよ!」
「なるほど……!」
キシリアは感心したように頷く。
「ただ大陸同士をつなぐだけじゃなくて、お互いの情報や文化も伝え合えるようになるのね!」
「そうそう! 今まで知らなかったものを知れたり、離れた大陸の人と交流できたりね。絶対に今より面白くなると思うんだ!」
『別の大陸の流行を知れるのは楽しそう』
『新商品の情報が全大陸に広がるのか』
『EVが全部つながったら、世界そのものが変わりそうだな』
『食文化とかも広まるのかな?』
『嫉妬大陸の名物料理とか食べてみたい!』
『逆に、こっちの大陸の名物も向こうに紹介できるわけだ』
「……それで、危険な場所が見つかったら?」
キシリアが、ふと思いついたように尋ねた。
「ん?」
「異常な魔力が集まっている場所がある。何か秘密があるかもしれない。まだ誰も調査していない場所がある……そういう情報も、全大陸に伝わるのよね?」
「うん、そうなるね!」
マドカは笑顔で頷いた。
「そしたら、暇なエキドナのメンバーが『じゃあ、探検に行こう!』ってなるかもしれないね!」
「探検って、あなた……!」
キシリアは一瞬あきれたような顔をした。
だが、次の瞬間には目を輝かせていた。
「……おもしろそうじゃない!!」
『食いついたwww』
『キシリア様も探検したいのかw』
『危険情報の共有から冒険計画が生まれるの草』
『今、暇なメンバーって言った?w』
『エキドナの人たち、絶対に食いつくやつだ』
『未知の場所を見つけたら放っておけないんだろうなw』
「いいわね! 未知の場所を調べて、新しいものを見つけて、そこで得た情報をまた全大陸に共有する! そういうことができるようになるのね!」
「そういうこと!」
マドカは嬉しそうに頷いた。
「もちろん、危険な場所ならちゃんと準備してから行く必要があるけどね。でも、今までなら知ることすらできなかった場所の情報が入ってくるだけでも、できることは増えるよ!」
『ちゃんと準備してから、ね!』
『そこは大事w』
『情報があっても、無茶したら危ないからな』
『でも未知の場所の調査が進むのは夢があるな』
「ええ! それは間違いないわ!」
キシリアは興奮した様子でカメラを見つめた。
「嫉妬の商品をほかの大陸に広めるだけじゃない。全大陸がつながれば、私たちの知らない世界をもっと知ることができるのね!」
「そうだよ。だから、私は全大陸のEVをつなげたいんだ!」
マドカは、いつもの明るい笑顔で宣言した。
「いろんな大陸の人が情報を共有して、危険なことにはみんなで備えて、面白いものはみんなで楽しむ。そんな世界になったら、今よりずっと楽しいと思わない?」
「もちろんよ!」
キシリアは即答した。
「そして、嫉妬の商品も世界に広める! 私のお店だって、きっと大繁盛よ!」
『最後は商売に戻ったwww』
『でも、世界規模で考えると本当に夢があるな』
『EV開通もキシリア様のお店も楽しみだ!』
『世界の情報網と大陸間貿易、両方が進むわけか』
『キシリア様、将来の事業計画までできてるw』
「ふふふ! なんだか、これからの楽しみが一気に増えたわね!」
「でしょー?」
マドカは満足そうに笑った。
「嫉妬でのお店づくりも、全大陸のEV開通も、まだこれからの話だけどね。こういう計画を考えるだけでもワクワクするよ!」
「ええ! 私も協力するわ!」
キシリアは力強く頷いた。
「まずは嫉妬で小さく始めて、少しずつ取引を広げていく。そして、EVを通じてほかの大陸ともつながっていくのよ!」
『キシリア様、すっかり事業計画の顔になってるw』
『侯爵令嬢としての強みが生きそうだな』
『いつか嫉妬大陸のお店も配信で紹介してほしい!』
『開店まで密着配信してくれw』
『そのうち嫉妬大陸からの現地配信も見られるのかな?』
「もちろん、そのときは私が案内してあげるわ!」
キシリアは自信満々に微笑んだ。
「嫉妬大陸にも、いいところはたくさんあるんだから! みんなに知ってもらえる機会が増えるなら、私だって嬉しいもの!」
「うん! そうやって、お互いの大陸のいいところを知っていけるといいよね!」
マドカはカメラに向かって手を振った。
「というわけで、これからのエキドナとキシリアさんの活動にも注目してねー!」
「そして、怠惰大陸のみんな! 私のお店ができたら、ぜひ利用しなさいな!」
『まだお店はできてませんwww』
『未来のキシリア商店、開店を待ってます!』
『全大陸EV計画と嫉妬進出、どっちも楽しみだ!』
『開店前から常連になる準備はできてるぞ!』
『まずはキシラーになってお店の宣伝だなw』
「もう! 気が早いわね!」
キシリアは笑いながらコメントに返した。
けれど、その表情はどこか嬉しそうだった。
嫉妬大陸から遠く離れたゴールで、彼女は新しい可能性を見つけた。
それは、エキドナの商品を広めることだけではない。
大陸と大陸をつなぎ、知らなかった文化や情報に触れ、今まで出会えなかった人々と交流すること。
全大陸のEV開通という大きな目標は、そんな未来へつながっているのだった。




