キシリア様観光7
「ついに来たわよ、エキドナ館!!」
ゴールの街にあるエキドナ館。その入口をくぐったキシリアは、目の前に広がる光景に目を輝かせた。
店内には、エキドナのロゴが入った小物や、メンバーをモチーフにした商品、ここでしか見られない限定品などがずらりと並んでいる。
どこを見てもエキドナ尽くしだ。
「す、すごいわね……! こんなにたくさんエキドナ関連のグッズがあるなんて!」
『マドカ【エキドナ公式】:ふふっ、気に入ってくれた? 私もここに来ると、つい新しい商品を見ちゃうんだよね!』
『入って早々、ご満悦で草www』
『キシリア様、エキドナ館を満喫する気満々だな』
『お土産のお菓子を買いに来たはずでは?』
「お菓子も買うわよ! それは忘れてないわ!」
キシリアは即座に反論した。
「でも、せっかくエキドナ館に来たんだから、いろいろ見て回らないともったいないでしょう!?」
『まあ、それはそうw』
『グッズが多いとつい見ちゃうよな』
『なお、屋敷に入るためのお土産問題はまだ解決していない』
「わかってるわよ! あとで買うんだから!」
そう言いながらも、キシリアの視線はすでに別の場所へと向かっていた。
店内の案内板に書かれた文字。
――武器・防具エリア。
「……そうよ!」
キシリアは、ぽんと手を叩いた。
「まずは武器と装備よ! 私、そもそもエキドナに武器とか装備を依頼しに来たんだったわ!」
『そうだったwww』
『お菓子と猫カフェと踊ってみたで頭がいっぱいになってたぞw』
『勇者としての本来の目的、ようやく思い出した!』
「忘れてないわよ! ちょっと順番が前後しただけでしょう!」
キシリアは堂々と言い切ると、武器・防具エリアへと向かった。
そこは、ほかの売り場とは少し雰囲気が違っていた。
展示棚の周囲には厳重な管理設備が設置され、一般向けの商品とは明らかに異なる扱いを受けている品々が並んでいる。
しかも、棚の前には非売品を示す表示まであった。
「……あら? あそこ、何やら厳重ね?」
キシリアは足を止めた。
「普通の商品を並べている場所とは違うみたいだけど……。何が置いてあるのかしら?」
『あそこは気になるよな』
『普通の武器売り場とは空気が違う』
『非売品の展示コーナーかな?』
『マドカ【エキドナ公式】:あっ、そっちは特別な装備の展示エリアだよ! 普通の商品とは扱いが違うから、管理も厳重なんだ』
「特別な装備ですって!?」
キシリアは興味津々で近づき、展示されている武器を覗き込んだ。
そして――。
「…………え?」
彼女の表情が固まった。
棚の中央に展示されていた剣。
刀身から感じられる魔力は、ただ強力というだけではない。武器そのものに宿る魔力の密度も、精度も、キシリアがこれまで見てきた武器とは明らかに違っていた。
「ちょ、ちょっと、何なのよ、あれ!?」
キシリアは思わず展示棚に顔を近づけた。
「剣からすごい魔力を感じるわ!? これ、聖剣レベルじゃないわけ!?」
『グレタ作だからな』
『ああ、あのコーナーか』
『エキドナの装備品、基準がおかしいんだよなw』
『マドカ【エキドナ公式】:すごいでしょ? それ、グレタが作った装備なんだよ。しかも、ここに展示されているのは非売品なの』
「グレタ作……!?」
キシリアは、展示品の説明を読み直した。
そこには、製作者の名前が記されている。
グレタ。そして、ニコラ。
「この武器、グレタが作ったの……? それに、こっちはニコラさんの作品!?」
キシリアは目を丸くした。
「ちょっと待ちなさいよ! こんなものを作れる人が、エキドナにはいるの!?」
『いるんですw』
『しかも一人じゃないんだよなあ』
『グレタさんもニコラさんも、装備開発方面で実績があるから』
『エキドナ、何でもできる人材が多すぎるwww』
『マドカ【エキドナ公式】:グレタは装備のデザインもすごいんだよね。機能だけじゃなくて、使う人に合わせたものを作るのが得意なの』
「使う人に合わせたもの……?」
キシリアは改めて展示品を眺めた。
そして、ある場所でぴたりと視線が止まる。
「……待って」
棚の中に、ひときわ目を引くレイピアがあった。
細身の刀身は美しく、装飾にも無駄がない。武器としての機能美を追求しながら、持ち主の個性まで表現しているようなデザインだった。
「……素敵」
キシリアは、思わず小さく呟いた。
「このレイピア……本当に素敵だわ……!」
『おっ、気に入った武器があったらしい』
『キシリア様、さっきまで聖剣級の魔力に驚いてたのにw』
『見た目から入るのも大事だぞ!』
キシリアは説明板を確認する。
「アリシアモデル……? それに、こっちはマドカモデルって書いてあるわね」
彼女は隣の展示品へ視線を移した。
こちらもまた、武器としての性能だけでなく、持ち主の特徴を感じさせるデザインになっている。
「なるほど……! これ、エキドナのメンバー専用装備なのね!」
『マドカ【エキドナ公式】:そうそう! それはグレタ本人が作ったメンバーモデルだよ。私のモデルも、ちゃんとここに展示されてるんだね!』
マドカは自分の名前を見つけたことが嬉しいのか、コメントを続けた。
『マドカ【エキドナ公式】:こうして並べて見ると、アリシアのモデルも私のモデルも、それぞれ違った感じに仕上がってるでしょ? 私もデザインを見たとき、グレタってすごいなって思ったんだよね!』
「そうなのね! それぞれのメンバーに合わせて作られているんだわ! 武器の性能だけじゃなく、見た目までちゃんと個性が出ているなんて……すごいわね!」
『グレタが生み出したメンバーモデルは、弟子たちも参考にしてるんだよな』
『デザインを流用したランクダウン装備もあるぞ』
『性能や製作グレードを落としても、デザインの良さは受け継がれてるんだよね』
「ランクダウン装備……?」
キシリアはコメント欄に目を向けた。
『マドカ【エキドナ公式】:うん。グレタのメンバーモデルを参考にして、弟子たちがデザインを流用した装備も作ってるんだよ。もちろん、ここにある本人作の非売品とは別物だけどね』
「なるほど……! 元になるデザインが優れているから、弟子の人たちも参考にしているということね!」
キシリアは再び展示品へ目を向けた。
「でも、ちょっと待ちなさいよ! この装備でも十分すごいのに、弟子の人たちが作るものは、さらに性能や製作グレードを落としたものなの!?」
『そういうこと』
『ランクダウンしても、普通の武器と比べたら十分すごいぞ』
『元のデザインがいいから、見た目もちゃんとかっこいいんだな』
「……エキドナ、恐るべしね……!」
キシリアは、展示された武器を一つずつ食い入るように眺めていった。
そして、自分の装備を思い浮かべる。
「……そういえば、私もレイピアを使っているのよね」
『マドカ【エキドナ公式】:あっ、そうなんだ? キシリアさんもレイピアなんだね! どんなレイピアを使ってるの?』
「そうよ! 私はこの黒い刀身が気に入っているの!」
キシリアは、自分の愛用するレイピアについて語り始めた。
「黒い刀身って、見た目がすごく引き締まるでしょう? 私の黒髪や黒いドレスとも相性がいいし、そこに




