勇者会議雑談19
# 第14話 不老の年齢と、聞いてはいけない質問
『マドカ【エキドナ公式】:ムサシは外見年齢が六十歳くらいだから、今からみんな頑張ればいいんじゃない?』
マドカの言葉に、会議場の勇者たちはそれぞれの反応を見せた。
『マドカ【エキドナ公式】:まあ、私はお母さんみたいにかっこよくなってからがいいけどね! ……でも、それも999になるまでは分かんないか』
「ふふ、そうね」
リゼットは、どこか楽しそうに微笑んだ。
『リゼット【エキドナ公式】:マドカはまだ十三歳だものね。大人になったマドカも、きっとモテそうね』
『マドカ【エキドナ公式】:えへへ、そうかな? お母さんみたいにかっこよくなりたいんだよね!』
『十三歳か……まだまだこれからだな』
『今でも十分人気あるのに、大人になったらどうなるんだw』
『お母さんみたいにって、目標が高いな!』
『マドカが大人になった姿、ちょっと見てみたい』
「……そういや、マドカの母親って本当はいくつなんだ?」
プライドが、ふと疑問を口にした。
「それなりの年齢のはずだよな。あの人も不老だと言われても、別に不思議じゃねぇんだが……」
『マドカ【エキドナ公式】:うーん……王様のお姉さんだから、それなりじゃない?』
「いや、本人の娘に聞いてんだが?」
『マドカ【エキドナ公式】:年は聞かないようにしてる! なんか怖いし!』
「…………は?」
プライドが一瞬、言葉を失った。
『マドカ【エキドナ公式】:いや、だってさ! お母さんって、なんか年齢を聞いちゃいけない雰囲気があるんだよ! 聞いたら笑顔で答えてくれるかもしれないけど、逆にそれが怖いというか……!』
『分かるwww』
『笑顔で答えてくれるのに怖いって何だよw』
『クリスティーナ様、いったい何歳なんだ……』
『王様のお姉さんなら、相当長生きしててもおかしくないよな』
『年齢を聞くと危険なタイプのお母さんwww』
「まあ……女性に年齢を聞くのは、あまりオススメしませんわね」
アナスイが上品に微笑んだ。
「特に、本人が答えたがっていない場合は、そっとしておくのがよろしいかと」
「そうよ!」
キシリアも勢いよく頷いた。
「美しい人は、美しいでいいのよ! わざわざ年齢を聞いて、余計なことを考える必要なんてないでしょう?」
「……そういうものか?」
プライドは納得がいかない様子だった。
「いや、単純に気になっただけだろ。王族の年齢って、歴史を考えるうえでも重要なんじゃねぇのか?」
『マドカ【エキドナ公式】:うーん、歴史的な資料として必要なら、聞いてもいいのかもしれないけど……私は別に知らなくても困らないし!』
『リゼット【エキドナ公式】:本人が話したくなったら、自分から話すでしょう。無理に聞き出す必要はないわね』
「ほら、リゼット様もそうおっしゃっているじゃありませんか!」
キシリアは、なぜか勝ち誇ったように胸を張った。
「美しいは美しい。それでいいのよ!」
「お前、さっきからそればっかりだな……」
「大事なことだからよ!」
『女性陣の結束が固いwww』
『プライド、完全に地雷を踏みかけてるぞ』
『クリスティーナ様の年齢は、エキドナ七不思議に入れていい』
『いや、王族の歴史資料を調べれば分かる可能性もあるのでは?』
『本人に聞くのが一番早いけど、一番危険な方法なんだよなw』
「……ふっ」
それまで黙って話を聞いていたジークフリートが、プライドを見て小さく笑った。
「プライド。お前、モテないだろう?」
「はぁ!?」
突然の一言に、プライドが勢いよく振り返った。
「なんでそうなるんだよ!?」
「女性に年齢を聞こうとし、さらに美しいという言葉の意味まで疑問に思っている。女性との会話に慣れていないのではないか?」
「お前なぁ! 俺はただ、気になったことを聞いただけだろうが!」
『正論で殴られてて草www』
『ジーク、配信視聴者なだけじゃなくて恋愛相談までできるのかw』
『いや、今のはプライドが悪いw』
『本人は純粋に疑問だっただけなのにwww』
「くっ……! お前だって、三百年以上も会いたい人に会いに行けなかったんだろうが!」
プライドが反撃すると、ジークフリートは一瞬だけ固まった。
「そ、それとこれとは話が違う!」
「同じようなもんだろ!」
『マドカ【エキドナ公式】:あははは! プライドさん、そこを突くんだw』
『リゼット【エキドナ公式】:まあ、ジークの場合は事情が事情だから、あまり責めないであげてちょうだい』
「リゼット様……!」
ジークフリートは、助け舟を出してもらったことに感激したようだった。
しかし、リゼットは穏やかな笑みを浮かべたまま、さらりと続ける。
『リゼット【エキドナ公式】:ただ、女性との会話については、プライドのほうがまだ改善の余地がありそうね』
「リゼット様まで!?」
『マドカ【エキドナ公式】:あははは! まあまあ、プライドさん! お母さんの年齢は、いつか本人が教えてくれるかもしれないよ!』
「……もういい。俺は二度と聞かねぇ」
プライドは、とうとう諦めたように椅子へ深く座り直した。
『聞くのを諦めただけで、疑問は解決してないw』
『クリスティーナ様の年齢、ますます気になるんだが!』
『いつか本人の配信で明かされる日が来るのだろうか……』
『そのときはコメント欄が大変なことになりそうwww』
『マドカ【エキドナ公式】:えー? でも、お母さんの年齢が分からなくても、かっこいいことには変わりないからね!』
その言葉に、リゼットは小さく笑った。
『リゼット【エキドナ公式】:ふふ。そうね。年齢がいくつであっても、本人の魅力が変わるわけではないもの』
「……結局、そこに落ち着くのかよ」
プライドは呆れたように呟いた。
だが、女性陣から返ってきたのは、揃って当然だと言わんばかりの反応だった。
『マドカ【エキドナ公式】:そういうこと!』
『美しいは美しい、かっこいいはかっこいい!』
『本日の教訓:女性に年齢を聞くときは気をつけようw』
『なお、クリスティーナ様の実年齢は謎のままである』
勇者会議場には、しばらく笑い声が響いていた。




