勇者会議雑談2
# 第1話 嫉妬大陸の観光計画とモンバトデータ収集
「私、嫉妬では侯爵令嬢なのよ! マドカ達が嫉妬に来たらどうもてなそうかしら!」
「……似合わねぇんだが」
キシリアはギロリとプライドを睨みつけた。
「はぁ!? 何よ傲慢! 私ほど貴族令嬢らしい令嬢、いないじゃない!」
「どこがだよ! さっきから騒いでばっかりじゃねぇか!」
「貴族令嬢が大人しくしてなきゃいけないなんて、誰が決めたのよ!」
『マドカ【エキドナ公式】:あはは……まあ、キシリアさんも侯爵家の令嬢なんだね』
「そうよ! ……って、ちょっと待ちなさい。あんたも貴族令嬢なの?」
『マドカ【エキドナ公式】:うん。ノイティス公爵家クリスティーナお母さんの娘だよ』
「……あ、そういえばノイティス公爵家……クリスティーナ様の娘だったわね」
キシリアは少し考えてから、ようやく思い出したように呟いた。
「…………は? マドカって公爵令嬢なのか!?」
プライドは思わず聞き返した。どうやら、本当に知らなかったらしい。
「ふっ。確かにマドカの生まれは、純粋な貴族の血筋というわけではない。だが、今は公爵家の娘として迎えられ、家族に愛されているではないか」
「お前、なんでそんなことまで知ってんだよ!?」
「そ、それは……エキドナの配信を見ていれば、自然と分かることだ!」
『いや、自然と分かる情報量じゃねぇだろw』
『憤怒の勇者、ガチ勢すぎるw』
『マドカの家族事情まで把握してるのかよ!』
ジークフリートの言い訳に、視聴者たちからもツッコミが飛ぶ。
「ちょっと、私の話はどうなったのよ! せっかく嫉妬に来たときのもてなしを考えていたのに!」
『マドカ【エキドナ公式】:あはは、ごめんごめん。とりあえず、三人には私からエキドナの屋敷への許可証を出して、簡易転移アイテムも作ってもらうよ』
「分かっているわ。必要な許可はちゃんと取るつもりよ!」
「それで、結局何をするんだ?」
「そんなの男同士でやってなさいよ! 今はゴールでの観光の話よ! それで、ゴールでは何ができるの? せっかく行くなら、楽しいことが知りたいじゃない!」
『マドカ【エキドナ公式】:そうだね……最近の流行なら、モンバトのデータ屋かな』
「モンバトのデータ屋?」
『マドカ【エキドナ公式】:うん。大陸によってモンスターが少しずつ違うんだよ。同じゴブリンでも、地域によって種類が違ったりするでしょ?』
『マドカ【エキドナ公式】:でも、怠惰大陸で手に入るモンバトのデータは、他の大陸のモンスターについてはほとんどないんだよね』
『確かに、他大陸のモンスターってあまり見ないな』
『エキドナの内部には情報があっても、怠惰大陸で手に入るデータは少ないってことか』
『現地で調べれば、データを増やせるわけだな』
『マドカ【エキドナ公式】:そういうこと。現地の冒険者に話を聞いたり、実際にモンスターを調べたりすれば、新しいデータを集められると思うんだ』
「それなら、自分の大陸のモンスター情報を売るほうが効率的ではありませんか?」
シルヴァの意見に、キシリアはすぐさま反論した。
「それと、知らない大陸へ行ってモンスターを調べるのは別の話でしょう? そもそも、せっかく旅行に行くのに、商売の効率だけ考えてどうするのよ!」
『マドカ【エキドナ公式】:ふふ、でも、集めたデータをカードにできるし、売買もできるからね。旅行の資金にもなるかもしれないよ』
「……なるほど。自分たちが持っていないカードなら、欲しがる人もいるわけね!」
『他大陸のモンスターカードとか、確かに欲しいぞ!』
『こっちじゃ手に入らないカードなら、かなり貴重だろうな』
『観光のついでにデータ収集か。面白そうじゃん!』
「ふ……モンバトなら俺のデータは強いぞ?」
『マドカ【エキドナ公式】:ふふ、モンバトチャンピオンの私に勝てるとでも?』
「チャンピオンだからって、勝負する前から勝ったつもりになるなよ!」
『そういえば、マドカって他大陸のモンスターのデータも持ってるのか?』
『怠惰大陸のチャンピオンだし、いろんな大陸のデータも集めてそうだけどな』
『マドカ【エキドナ公式】:さて、どうでしょう? それは勝負してからのお楽しみってことで!』
こうして、ゴールでの観光計画は、いつの間にか他大陸のモンスター情報を集めるモンバトデータ収集の旅へと変わりつつあった。
他大陸では珍しくないモンスターでも、怠惰大陸では貴重なデータになる。エキドナの内部には情報があっても、怠惰大陸で流通しているデータは限られているのだ。
現地で情報を集め、そのデータをカードにする。自分たちにとっては珍しくないモンスターでも、別の大陸では欲しがる人がいるかもしれない。
観光を楽しみながら、未知のモンスターの情報を集める。そんな計画に、キシリアたちも少しずつ興味を持ち始めていた。




