勇者会議15
『マドカ【エキドナ公式】:それで、とりあえず暴食の王都が目の前にあったから、観光しながら冒険者してたんだよねー!』
「……観光?」
傲慢の勇者が、信じられないものを見るような顔でEVの画面を見つめた。
『マドカ【エキドナ公式】:うん! ティニアと二人で、屋台を回ったり、お店を見たりしてたの! それで、屋台のおじさんたちに料理のアドバイスをしてたら、なんかマドカ風とか、マドカ風アレンジとかになっちゃってさ! ちょっと味を変えたらどうかなーって言っただけなんだけど!』
『マドカ風ってそういう誕生秘話だったのかw』
『暴食の王都で食べ歩きしてたら料理の流行を作ってた女』
『本人は観光のつもりなのがひどいw』
『アーノルド【エキドナ公式】:なるほど……確かにマドカ風が流行していた……そういうことか……』
アーノルドは納得したように呟いた。
「お前、普通に受け入れるんじゃねえよ!」
傲慢の勇者がすかさず声を張り上げる。
「子供が二人で、知らない土地をうろついてたんだぞ!? しかもダンジョン帰りにそのまま観光って、危機感はねえのかよ!」
「確かに、見知らぬ土地でティニアさんと二人きりというのは危険ですわね」
アナスイも同意するように頷いた。
「何事もなかったからよかったものの、何かあったらどうするつもりだったのです?」
『マドカ【エキドナ公式】:んー? でも、暴食の魔物って、怠惰の最難関ダンジョンの一階層より弱いんだもん。何を心配してるの?』
「……あ?」
傲慢の勇者が固まった。
『アーノルド【エキドナ公式】:確かに……王都周辺はザコだな』
「そうじゃないわよ!!」
今度はキシリアが声を張り上げた。
「あなたの強さはわかったわよ! でも、子供だけで行動するのはダメよ!?」
『マドカ【エキドナ公式】:お姉さん、優しいんだね!』
「えっ?」
『マドカ【エキドナ公式】:でも、なんでいつも怒ってるのさ。ツンデレ?』
「ツン……? 何それ! わからないわよ!」
キシリアは目を白黒させた。
『マドカ【エキドナ公式】:ゴールではわかる人が多いんだけどなぁ。いつもツンツンして怒ってる人が、たまに心配してくれたり優しくなったりするんだよ! そういうときに、デレってなるんだ!』
「あー……」
アナスイが何か思い当たったように声を漏らす。
「なるほど……」
憤怒の勇者も、口元を押さえて小さく笑った。
「ぶふっ……なるほど……」
「おい、待て! こいつがそんな感じだっていうのか!?」
傲慢の勇者がキシリアを指さした。
「誰がツンデレよ!!」
『マドカ【エキドナ公式】:えー、違うの?』
「違うわよ!!」
『マドカちゃん、本人に説明してあげてるw』
『キシリア様、めちゃくちゃ反応してるじゃないですか』
『憤怒さんが笑ってるの珍しいw』
『傲慢、余計なことを言うから巻き添え食らってるぞw』
『マドカ【エキドナ公式】:まぁ、いいや!』
マドカは、まるで興味を失ったかのようにあっさり話を戻した。
『マドカ【エキドナ公式】:それで、十日くらい観光しながら食べ歩きしてたら、お姉ちゃんたちが、私たちが二十階層で消えたって魔力の痕跡をたどって、転移魔法陣の残骸を調査したんだよ。それで暴食とつながったわけ!』
「十日!?」
キシリアが思わず聞き返した。
「あなたたち、十日も帰らずに何をしていたのよ!?」
『マドカ【エキドナ公式】:えー? 観光と食べ歩き?』
「聞いた私が馬鹿だったわ……!」
『十日間も食べ歩きw』
『そりゃマドカ風も広まるわけだ』
『探す側は大変だっただろうな……』
『マドカ【エキドナ公式】:それで、帰るときに二十階層と暴食をつないだままだったんじゃないかな? そのあとにアーノルドが入って、怠惰に来たんじゃない?』
『アーノルド【エキドナ公式】:なるほど……通りで珍しいモンスターばかりで、うまかったわけだ』
「そうじゃないわよ!!」
キシリアの叫びが、勇者会議の会場に響き渡った。




