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落内円は落ちている  作者: 七風


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コーヒー

 隣町の役場での用事を終えたトーイたちは、そのまま建物の中にある魔道具の展示コーナーを見て回っていた。


「へえ、こういう魔道具もあるんだな」


トーイが展示品を眺める。


チティも興味深そうに説明書きを読んでいたが、カーンは少し物足りなさそうな顔をしていた。


「んー……モンバトとかEVは売ってるけど、ニコラさんの発明品みたいなのはないね」


『当たり前だ!!』

『あんなのホイホイあってたまるか!』

『ニコラさんの発明品を基準にするなw』

『あれを普通の魔道具と比べちゃ駄目だろw』


「えっ、そうなのか?」


トーイがコメントを読む。


「いや、そうだよ。ニコラさんの発明品が特別なんだって」


チティが苦笑した。


『そういえば、ニコラさん最近シルヴァと何か作ってるらしいぞ』

『何を作ってるかはまだ秘密っぽいな』

『楽しみだけど、またとんでもないものが出てきそうw』


「シルヴァさんと共同開発か。何ができるんだろうね」


カーンが首を傾げる。


「気になるけど、まあ、発表されるまでのお楽しみってやつだな!」


トーイはそう言って、別の展示品へ目を向けた。


すると、コメント欄に新しい話題が流れてきた。


『そういえばエジソン君、楽器を作り始めたらしいぞ』

『これから音楽グループが増えるかもしれないな』

『エキドナの発展速度、相変わらずおかしいw』


「楽器かあ。そういうのも面白そうだね」


チティが笑顔になる。


「音楽グループが増えるなら、誰がどんな楽器を担当するのかも気になるな」


カーンが配信画面に向かって尋ねた。


「みんなは、どんなメンバーの音楽グループを見てみたい?」


コメント欄が一気に賑やかになった。


『アナスイ様はエキドナじゃないけどアナスイ様!』

『リゼット!』

『ヒナタちゃん!』

『ガブちゃんだろ!』

『アーノルドは太鼓とか似合いそうだな!』

『楽器が増えたら、いろんな組み合わせができそう』

『今後の音楽活動に期待!』


「アナスイさんはエキドナの人じゃないのに、相変わらず人気だなあ」


トーイが笑う。


「でも、確かにいろんな人の演奏を聞いてみたいね」


チティも楽しそうに頷いた。


「楽器が増えれば、できることも増えるからね。これからどうなるか楽しみだよ」


カーンはもう一度、展示コーナーを見渡した。


「さて、そろそろ帰ろうか。お土産も買ったしね」


「そうだな。これ以上、隣町で買うものもなさそうだし」


『ゴールと比べるな!』

『確かに、だいたいゴールにあるものばっかりだなw』

『コーヒーはなかったけどな!』


「いや、そこは仕方ないだろ!」


トーイがコメントに突っ込む。


三人は役場を出ると、帰りは転移アイテムを使うことにした。


「わざわざ走って帰る距離でもないしな」


「行きはクエストだったから歩いたけど、帰りは楽をしてもいいよね」


チティが笑う。


「それじゃ、ゴールに帰ろう!」


カーンが転移アイテムを使うと、三人の姿は光に包まれた。


---


ゴールの屋敷に戻ると、マドカ、ナナリー、アナスイの三人が、お茶を楽しんでいた。


「あ、みんなお帰りなさい!」


マドカが手を振る。


「ただいま。はい、これお土産!」


トーイが買ってきた品をテーブルに置いた。


「ありがとうございます。隣町まで行っていたんですよね?」


ナナリーが袋の中身を確認する。


「うん。役場に用事があってね。ついでにいろいろ見てきたんだ」


カーンが答えた。


マドカはお土産の中から、ひとつの袋を手に取った。


そして、中身を見た瞬間、目を見開いた。


「……えっ?」


袋をもう一度覗き込む。


「これ……コーヒー?」


思わず声が大きくなった。


「なっ、これコーヒー!? マジで!? どこにあったの!?」


『マドカの反応www』

『そこまで驚くものなのかw』

『コーヒー発見!』

『隣町にもあったんだな!』


「マ、マドカちゃん。落ち着いてください」


ナナリーも袋を覗き込みながら、平静を装っている。


「コーヒーって、デザートにも使えるらしいですし……私も何回か飲んだことがあるくらいですけど、楽しみですね」


「そ、そうだね! 私も久しぶりに飲んでみたいな!」


二人はなんとか普段どおりの態度を取り繕った。


けれど、内心は大騒ぎだった。


(ナナリー、コーヒー見つかったんだけど! やばくない!?)


(マドカちゃん、まずはカフェオレにしよう!)


リゼットからもらった念話の魔道具を使い、二人は周囲に聞こえないところで大興奮していた。


「コーヒーがあれば、作れるデザートも増えそうだね!」


マドカは袋を大切そうに抱えた。


「マジか! じゃあ新作よろしくな!」


トーイがすかさず反応する。


『新作デザートきた!』

『コーヒー味のケーキとか期待!』

『マドカの新作、楽しみにしてるぞ!』


「ふふっ。せっかくだし、いろいろ試してみようかな」


マドカは嬉しそうに笑った。


その隣では、アナスイが優雅にお茶を飲んでいた。


「コーヒーを使ったお菓子ですの? それは楽しみですわね」


「うん! おいしいの作るからね!」


マドカは元気よく答えた。


『コーヒーとか隣町に行けばあるだろ』

『マドカって、ゴールでは買い食いしてるくせに他の町には行かないよなw』


コメントを見たマドカが、むっとした顔になる。


「だって私、ゴールとお母さんの屋敷にしか行かないもん!」


「確かに、隣町はゴールほど便利ではありませんからね」


ナナリーが穏やかに補足する。


「そうそう! やっぱりゴールが一番だよ!」


マドカは自信満々に頷いた。


『コーヒーに気づかなかったくせに!』

『ゴールが便利すぎるんだよw』

『隣町に行かなくても生活できちゃうからなw』


「もう! いいでしょ!」


マドカが頬を膨らませると、みんなの笑い声が屋敷に響いた。


トーイは配信のコメント欄を確認し、カメラに向かって手を振った。


「さ、今日の配信はおしまいだ!」


そして、次回の予定を告げる。


「次回はダンジョンに行こうと思います! またねー!」


『次回ダンジョン回!』

『トンチンカンの成長が見られるかな?』

『次の配信も楽しみにしてるぞ!』

『お土産と新作デザートにも期待!』


三人は視聴者に手を振り、配信を終了した。


こうして、隣町への配達クエストと魔道具見学は無事に終了。


そして次回、トンチンカンの三人はダンジョンへと向かうことになるのだった。


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