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落内円は落ちている  作者: 七風


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王国との交渉

王位継承戦の特別試合が終わった翌日。


 エキドナ側から、強欲王国との正式な契約を結ぶため、王城へ向かう者たちが選ばれた。


 今回の交渉役は――。


 エレノア。


 そして、リゼット。


「エレノアとお姉ちゃんで行くんだね」


 出発前、マドカが二人を見る。


「ええ。商業面の話が中心になるでしょうから、私が適任でしょう」


 エレノアが頷いた。


「私は細かい計算と確認をするだけよ」


 リゼットもいつもの調子だった。


「それと――」


 クリスティーナが口を挟む。


「エリックさんも王城へ呼ばれるのでしょう?」


「そうみたいね」


 エレノアが頷く。


「エキドナ専門店――強欲店の開店について、王国側とも話を詰める必要がありますから」


「それなら、エリックもかなり忙しくなりそうだね」


 マドカが笑う。


「商売を広げるのは好きそうだけどね」


 ニコラが眠そうに笑った。


「きっと喜ぶよ~」


 そして。


 その日の午後。


 エリックは強欲王城へ呼ばれていた。


「お呼びいただき光栄です」


 王城の応接室。


 エリックは少し緊張しながら席についていた。


 向かい側には、エレノアとリゼット。


 そして強欲王国側の担当者たちが並んでいる。


「まずは、昨日の特別試合の結果について」


 担当者が話を始める。


「エキドナの勝利による報酬として、スロリア・ゴールと強欲王都を結ぶ大型転移装置の設置を正式に認めます」


「ありがとうございます」


 エレノアが答えた。


「設置そのものについては、こちらで準備できます」


 リゼットが続ける。


「素材はこちらで用意できますし、技術的な問題もありません」


「本当にエキドナは何でも持っているのですね……」


 エリックが苦笑する。


「ただし――」


 エレノアが書類へ視線を落とした。


「今回の転移装置は国家規模です。これを無料で使えるようにするつもりはありません」


「もちろんです」


 強欲王国側も頷く。


「こちらとしても、設置費用を負担する以上、回収は必要です」


「そこで」


 エレノアが数字を示す。


「大型転移装置そのものの購入費として、五万金貨」


「五万金貨……」


 エリックも思わず目を見開く。


「ただし、これは単なる一方的な徴収ではありません」


 エレノアは続けた。


「強欲王国側も、この装置による通行料を受け取れるようにする」


「なるほど」


「そのうえで――」


 リゼットが淡々と口を開く。


「スロリア・ゴールから強欲王都まで、一人につき片道一金貨」


「一金貨ですか」


「ええ」


 マドカなら、


「高っ!」


 と叫びそうな金額だった。


 だが。


「船なら一か月かかる距離よ」


 エレノアが静かに説明する。


「それを一瞬で移動できるのなら、利用する人はいるでしょう」


「確かに……」


 強欲王国側の担当者も頷く。


「こちらとしても通行料収入が見込める」


「エキドナとしても、設備そのものを無料配布したくない」


 リゼットが言う。


「双方が投資したものを、双方で回収する。それでいいでしょう」


「異論ありません」


 正式に条件がまとまった。


 大型転移装置。


 国家間の移動。


 国民同士の往来。


 そして通行料。


 これから先、スロリア・ゴールと強欲王都の間には、新しい交通網が生まれることになる。


 そして。


「次に、エリック殿の件です」


 強欲王国側の担当者がエリックを見る。


「エキドナ専門店――強欲店の開店について、王国として正式に支援します」


「ありがとうございます!」


 エリックが頭を下げる。


「店舗の場所、営業許可、王都内での販売権について、こちらで準備を進めます」


「それでしたら、こちらからも商品を供給できます」


 エレノアが答えた。


「魔道具だけではありません。今後エキドナが開発する新商品についても、販売対象にして構いません」


「それは素晴らしい」


 エリックは嬉しそうに笑う。


「私どもとしても、エキドナの商品を専門に扱える店を持てることは大きな意味があります」


 リゼットが頷く。


「ただし、勝手に模倣品を作らせないこと」


「当然です」


「それと、商品によっては販売地域や販売数をこちらで指定するわ」


「承知しました」


 商談は順調に進んでいた。

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