第5ゲーム 魔道具
次の扉が開く。
その先には、巨大な魔道具や機械がいくつも並んでいた。
歯車。
魔力炉。
複雑な配線。
そして、用途の分からない装置まで。
「第五ゲームは、技術攻略でございます」
スタッフが説明する。
「こちらにある装置を制限時間内に解析し、指定された動作を――」
「これ、好きに触っていいの~?」
ニコラが話の途中で聞いた。
「……はい?」
「いろいろ触ってみていい~?」
「まあ……規定の範囲内でしたら」
「わかった~」
ニコラは説明を最後まで聞かずに、最初の装置へ向かった。
マドカが笑う。
「ニコラ、ちゃんと説明聞いてた?」
「聞いてない~」
「聞いてないんだ!?」
ニコラは装置をじっと見る。
そして――
「これ、押す~」
ポチッ。
「えっ」
ガコン!
装置が起動した。
『第一課題クリア』
「おお!」
マドカが笑う。
「終わった!」
スタッフが固まる。
「……え?」
「次~」
ニコラはもう次の装置へ向かっていた。
「待ってください。まだ解説が――」
「これ、回す~」
ぐるっ。
「それは違う箇所――」
ガコン!
『第二課題クリア』
「…………」
スタッフが黙る。
「ねえマドカ~」
「なに?」
「これ、全部適当に触ってもいいのかな~?」
「試してみれば?」
「じゃあ、そうする~」
『おいwww』
『ニコラ悪ノリ始まったw』
『スタッフ困ってるぞw』
『説明を聞く気が一切ないw』
第三課題。
複数の魔道具を正しい順番で接続する問題。
スタッフが説明しようとする。
「こちらは接続順が重要でして――」
「これとこれ~」
カチッ。
「逆も試してみる~」
カチッ。
「あと、これも入れたらどうなるかな~」
カチッ。
ゴゴゴゴゴ……。
「ちょっ!」
装置が激しく動き始める。
スタッフが慌てる。
「そちらは――」
パァン!
装置が光る。
『第三課題クリア』
「…………」
「できた~」
ニコラが満足そうに頷く。
マドカが腹を抱えて笑う。
「ニコラ、絶対楽しんでるでしょ!」
「うん~。こういうの面白い~」
『完全に遊んでるw』
『攻略じゃなくて実験になってるw』
『カジノ側泣いていいぞw』
さらに難しい課題が出される。
壊れた魔道具を修復しろというものだった。
「これは普通に直せばいいの?」
スタッフが頷く。
「はい。原因を特定していただき――」
ニコラは裏側を見る。
「ん~」
配線を一本抜く。
「えっ」
さらに一本。
「ちょっと待ってください!」
ニコラが首を傾げる。
「こっちじゃない?」
「え?」
配線を繋ぎ直す。
「ほら~」
装置が起動した。
『第四課題クリア』
「…………」
スタッフが完全に黙り込む。
「直ったよ~」
「……はい」
『スタッフの心が折れてるw』
『ニコラに攻略という概念がないw』
『壊してから直すのやめろw』
第五課題。
今度は未知の魔道具を操作する問題だった。
「この装置の用途を推測し、正しく起動してください」
「用途?」
ニコラが装置を見る。
「分かんない~」
「えっ」
「でも、これかな~」
スイッチを押す。
違うスイッチを押す。
つまみを回す。
「お~」
装置が動いた。
『第五課題クリア』
「分かんないのに!?」
マドカが笑う。
「当たった!」
「うん~」
ニコラは嬉しそうだった。
「なんか、押したら動いた~」
最後の課題。
これまでとは比べものにならない巨大な魔道具が中央へ現れた。
「こちらが最終課題です」
スタッフが説明する。
「過去の優勝者でも攻略に長時間を要した装置で――」
「へぇ~」
ニコラが装置を見る。
「あ」
「どうされました?」
「これ、知ってる構造にちょっと似てる~」
ニコラが装置の裏へ回る。
「ここ開くかな~?」
ガチャッ。
「開いた」
スタッフの顔が引きつる。
「そこは開く場所では――」
「じゃあ、こっちかな~」
カチッ。
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
「ちょっと!」
巨大な装置が一斉に起動する。
光が走る。
歯車が回る。
魔力炉が唸る。
そして――
『最終課題クリア』
「終わった~」
ニコラが振り返る。
「…………」
スタッフが結果を見る。
もう一度見る。
さらに見る。
「……第五ゲーム、クリアでございます」
「やった~」
ニコラが拍手する。
「楽しかった~」
「ニコラ、ほんとに適当にやってただけじゃん!」
マドカが笑う。
「うん~」
「そこ認めるんだ!?」
EVのコメント欄は大爆笑だった。
『ニコラやりたい放題www』
『説明を聞かない天才w』
『スタッフ「攻略してください」ニコラ「遊んでいい~?」』
『これ過去の挑戦者ブチ切れるだろw』
シルヴァは観客席で頭を抱えていた。
「……僕は、この装置を半年研究したのですが……」
エジソンが満面の笑みを浮かべる。
「ニコちゃん、最高だよ!」
「そう~?」
ニコラは欠伸をする。
「じゃあ、次いこ~」
「はい……」
スタッフはすっかり疲れた顔で頷いた。
こうして――
第五ゲームも、ニコラの悪ノリ気味な天才攻略によって、あっさり突破された。




