判断力
「続いて、第三ゲームへ移ります」
第二ゲームを終えたエキドナの一行は、別の部屋へ案内された。
今度の会場は、先ほどまでの巨大な戦闘場とは正反対だった。
中央に大きな円卓。
その上には、いくつもの駒とカードが並んでいる。
「第三ゲームは――判断力を競うゲームでございます」
「判断力?」
マドカが首を傾げる。
「はい。こちらでは、いくつもの状況が提示されます」
スタッフが円卓へ手を置く。
すると、テーブルの上に立体映像が浮かび上がった。
一つの街。
三つの道。
そして、それぞれ違う情報が表示される。
「お客様方は、限られた情報の中から最善と思われる選択をしていただきます」
「なるほど……」
リゼットが興味深そうに映像を見る。
「正解が一つとは限らない、ということね?」
「その通りでございます」
「面白そうですわね」
クリスティーナも頷いた。
スタッフが続ける。
「選択によって、その後の状況が変化します。誤った判断をすると不利になりますが、必ずしも即座に失格となるわけではありません」
「じゃあ、途中で立て直すこともできるんだ」
「はい。ただし、最終的な結果によって勝敗を決定いたします」
マドカが二人を見る。
「これはお姉ちゃんとお母さん!」
「ええ」
リゼットが微笑む。
「私とクリスティーナなら、こういうもののほうが向いているでしょう」
「私も楽しませてもらいますわ」
こうして、第三ゲームの参加者はリゼットとクリスティーナに決まった。
スタッフが操作すると、最初の問題が始まる。
映像の中には、商隊がいた。
三つの道。
それぞれに危険の可能性を示す情報が表示されている。
「制限時間は三分です」
「まず、情報を整理しましょう」
リゼットが言う。
「こちらの道は安全そうに見えるけれど、情報が少なすぎる」
「一方こちらは危険の情報が多いですけれど、その危険の種類がはっきりしていますわね」
クリスティーナが指摘する。
「ええ。なら――」
二人が相談しながら選択する。
『正解』
会場の奥で鐘が鳴った。
続く第二問。
今度は街の中で起きた事件。
複数の証言。
いくつかの証拠。
そして、一つだけ矛盾している情報。
クリスティーナが静かに考える。
「この証言ですわね」
「私もそう思うわ」
「では、ここを選びましょう」
『正解』
第三問。
今度は二人の判断が完全に分かれた。
「私は右だと思います」
「私は左ね」
互いに一瞬だけ考える。
そして――
「……なるほど」
クリスティーナが笑った。
「リゼットさん、その考え方ですと、この情報を無視することになりますわ」
「確かに」
リゼットもすぐに頷く。
「では、左ね」
『正解』
『おお』
『このゲーム、ちゃんと難しいな』
『リゼットだけじゃなくクリスティーナも強い』
『二人で相談するのいいね』
問題はさらに難しくなっていく。
限られた情報。
複数の選択肢。
途中で追加される新情報。
最初に選んだ結果によって変わる状況。
それでも二人は、互いに意見を出しながら一つずつ正解へ進んでいった。
そして最後の問題。
今までの情報がすべて絡み合う、最難関の状況が提示された。
「最後は――」
スタッフが告げる。
「お二人の判断を同時に入力していただきます。意見が一致しなければ、回答は成立いたしません」
「なるほど」
リゼットが笑う。
「最後まで相談が必要なのね」
「ええ」
クリスティーナも笑った。
「では、最後まで一緒に考えましょう」
二人は映像を見つめる。
しばらく考え――
同時に答えを選択した。
『正解』
会場が沸く。
「第三ゲーム、クリアです!」
EVのコメントが一気に流れた。
『普通に難しかったw』
『リゼットだけじゃなくクリスティーナがかなり効いてたな』
『この二人の組み合わせ強い』
『頭脳戦ちゃんと成立してる』
マドカも嬉しそうに二人を迎える。
「お姉ちゃん、お母さん、すごい!」
「ありがとう」
クリスティーナが微笑む。
「二人で考えると、案外楽しいものですわね」
リゼットも頷く。
「ええ。悪くなかったわ」
スタッフが次の扉を開く。
「それでは――第四ゲームへご案内いたします」
その先から、膨大な魔力の気配が流れ込んできた。
「次は魔法かな?」
マドカが楽しそうに笑った。




