↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
435/501

念話の指輪

カジノへ向かう予定が決まった、その少し前。


マドカはリゼットに呼び出され、ヒナタ、ナナリー、そしてジャスティスとともに部屋へ集められていた。


「お姉ちゃん、なんか用?」


「俺まで呼ばれるとは珍しいな」


ジャスティスが腕を組みながら首を傾げる。


リゼットは四人を順番に見た。


「あなたが原因ね、勇者(仮)」


「(仮)はやめろ!」


即座に反応するジャスティス。


「それで、俺のせいってなんだ?」


「知っての通り、この四人は地球の関係者でしょう?」


「まあ……そうだな」


マドカ、ナナリー、ヒナタ、ジャスティス。


立場や経緯こそ違うものの、四人とも地球に関係する記憶や知識を持っている。


「ジャスティスがエキドナに来る前は、配信中に地球に関連するものが出てきても、マドカたちは知らないふりをしていたのよ」


「ああ、聞いたことがある。だから俺は、地球関係についてはある程度バラしていても、マドカたちは関係ないように振る舞ってるはずだぜ?」


「ええ。でも最近、地球の物が妙に多いのよ」


「……あー」


マドカが少し遠い目をする。


「配信でも、マドカとかナナリーって反応しちゃうのよね。ヒナタは何事もなかったみたいにニコニコしてるから、分かりにくいだけだけど」


「そうかも!」


ヒナタが笑顔で頷いた。


「でも、配信中に日本の家が出てきたときはどうしようかと思ったし!」


「あれは本当にびっくりした……」


ナナリーも苦笑する。


「確かにニコラもDJとかやり始めたしな。どこからそんなものを出してきたんだって話だよな」


ジャスティスが言う。


「エキドナでは、まだああいうものを普通に作れるわけじゃないみたいだしさ」


「私もギターのこと、よく聞かれますね」


ナナリーが肩をすくめる。


「みんな大変だねー」


ヒナタだけが妙に楽しそうだった。


マドカがじっとヒナタを見る。


「ヒナタは料理でも少し苦労してそうじゃない?」


「ん?」


「日本料理とか」


「ああ、日本料理の配信は『古い文献で見た』って言ってるし、大丈夫じゃないかな?」


「……それで通るのがすごいわね」


リゼットが呟いた。


「ムサシも日本人なのでしょう?」


「まあ、そうだな」


「噂では、コジロウとか言うのもいるそうね」


その瞬間、ジャスティスが顔を上げた。


「いや、リゼット。待ってくれ。俺は言いたいことがある」


「なにかしら?」


「お前の過去話に出てきた、ムサシの率いてたっていう騎士団。地球の偉人の名前しか出てこないんだが?」


「……あー」


マドカも思い出したように声を漏らす。


「確かに私も思った!」


「え?」


リゼットが困惑する。


「どういうこと……?」


ジャスティスが指を折りながら数えていく。


「アーサーとか、セイメイとか、トモエとか、ジークフリートとか……」


「まあ、全員地球で歴史とか伝説の人なんだけど」


マドカも頷いた。


「みんな異世界転移しちゃったんじゃない?」


「そ、そうなの?」


リゼットが少し目を見開く。


「初耳よ?」


「まあ、他にも地球関連は残ってそうだよな」


ジャスティスが腕を組む。


「……それで、俺がマドカたちをうまくかばえって話なのか?」


「いいえ」


リゼットは首を横に振った。


「ニコラに作ってもらったわ」


そう言って、小さな指輪を四人に見せる。


「念話できる指輪ね」


「……テレパシーかよ!」


ジャスティスが思わず突っ込んだ。


「これを使えば、心の中で念じるだけで相手に通じるわ」


リゼットは淡々と説明する。


「配信中に何かおかしなものや、地球関係の物を見つけたら、念話で相談しなさい」


四人の表情が少し真面目になる。


「エキドナ内では、あなたたちの地球での出来事について共有しているけれど――」


リゼットはそこで一度言葉を切った。


「視聴者にまで教えてやる義理なんてないのだから」


「まあ、そうだねー」


マドカが頷く。


「ジャスティスはオープンだけど、私たちは面倒かも」


「私も曲をアレンジしたりしてるし……」


ナナリーも困ったように笑う。


「元ネタがあるのなら、『パクリ歌手』とか言われそう……」


「みんな大変だねー」


またヒナタがのんびりと言った。


「ヒナタは他人事すぎるよ!」


マドカが突っ込む。


「でもまあ、そうそう地球の物なんてあるわけねーけどな!」


ジャスティスは笑い飛ばした。


リゼットはそんな四人を見ながら、自分の指にも同じ指輪を嵌める。


「そして私もつけるから、私にも相談なさいね」


「お姉ちゃん、ありがとう!」


マドカが嬉しそうに笑った。


こうして、地球に関係するものを見つけた場合のための、ひそかな連絡手段が用意された。


――まさかその直後。


強欲大陸のカジノで、彼らが**「これはどう見ても地球由来だろう」**と言いたくなる景品を次々と目撃することになるとは。


この時の四人は、まだ知らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。