エジソン君の発明品
その日――。
特に予告もなく、情報塔に一本の配信が始まった。
『ん?』
『配信始まった?』
『え、誰の配信?』
『急に来たな』
画面に映ったのは、見覚えのある顔だった。
「どうもー! 本日は急遽、配信を始めることになりました!」
クライスだった。
その隣にはルーデウス。
そして――
「おーっほっほ! 皆様、ごきげんよう!」
派手なローブに魔女帽子を被ったビアンカ。
『うぉ』
『豪華メンバーじゃん』
『ルーデウス様!?』
『クライス様に……』
『ビアンカ様?!』
『何だこの貴族のトップ達の配信!?』
『急にどうしたw』
『予告なしでこのメンバーは草』
『今日は何が始まるんだよw』
コメント欄が一気に流れる。
そんな中、マドカも画面の端に映っていた。
「ん~? 配信してるの~?」
「そうなんですよ」
クライスが楽しそうに答える。
「今日はですね、ちょっとした発明品対決を行います!」
「発明品対決!」
ビアンカがすかさず声を張る。
「なんとも心躍る響きですわね!」
『ビアンカ様もうテンション高いw』
『絶対こういうの好きだろw』
『発明品対決!?』
『何の発明品?』
『ルーデウス様は何するんだ?』
『マドカちゃんもいるじゃん』
『今日も豪華だな』
「今回の主役はこちら!」
クライスが横を向く。
「エジソン君です!」
「よろしくお願いします!」
眼鏡を掛けた青年――エジソンが頭を下げる。
『エジソン君?』
『誰だ?』
『新人?』
『眼鏡の発明家っぽい子きた』
「そして、対戦相手は……」
クライスがちらりと横を見る。
「ニコラさんです!」
「ん~?」
ニコラが首を傾げる。
「なんか始まってるの~?」
「はい。もう始まってます」
「そっか~」
ニコラは眠そうに頷いた。
『温度差w』
『ニコラさんいつも通りだなw』
『発明品対決なのに本人やる気ある?』
『対戦相手本人が一番やる気なさそうで草』
『これ大丈夫か?w』
クライスが笑う。
「まあ、簡単に事情を説明しますと」
少しだけ司会者らしい表情を作る。
「エジソン君はニコラさんの親戚でして、発明が好きな少年です。そして今回、自分の発明品をニコラさんの発明品と比較してみたい、ということになりました」
「そういうことですわ!」
ビアンカが横から入る。
「つまり、発明家同士の真剣勝負! どちらの発明品が優れているのか、それを実際に試してみようというわけですわ!」
『真剣勝負なのにニコラさん眠そうなんだがw』
『ビアンカ様が一番真剣w』
『発明家同士って言われるとちょっとカッコいい』
「まあ、そんな感じかな~」
ニコラが気のない返事をする。
「で、エジソンは私の幻影と戦うんだよね~」
「はい!」
「んじゃ、出すね~」
ニコラがヒーローバトルの端末を操作する。
「おっと、ここでヒロバトを使うようです!」
クライスがカメラに向かって説明する。
「皆さん、発明品だけじゃなく、幻影を使った実戦形式での比較になります!」
「これは楽しみですわね!」
ビアンカも身を乗り出す。
次の瞬間。
フィールドの中央に、一人の少女が現れた。
白衣。
眼鏡。
眠そうな顔。
そして――
ニコラ本人そっくりの幻影。
『……』
『え?』
『ニコラ?』
『幻影?』
『本人じゃないの?』
『そっくりすぎるw』
『これ普通の幻影?』
コメント欄がざわつく。
「じゃあ、エジソン君の幻影も準備しましょう」
「はい!」
エジソンも端末を操作する。
フィールドに、もう一人の幻影が現れた。
その手には――
「今回、最初に使うのはこちらです!」
エジソンが自信満々に取り出したものと同じ形の武器。
「レーザーガンです!」
『おお!』
『レーザー!?』
『発明品っぽい!』
『これは見たい』
『ニコラ相手にレーザーか』
『どんな性能だ?』
クライスが頷く。
「では、まずはシンプルに。レーザーガン対ニコラ幻影!」
「さあ、どうなるのでしょう!」
ビアンカも実況席らしく声を張る。
「エジソン君の幻影、構えましたわ!」
「撃ちます!」
エジソンが操作する。
レーザーが一直線に飛ぶ。
だが――
ニコラの幻影が、ひょいっと横へ動いた。
「……」
レーザーが空を切る。
『避けた!?』
『速っ』
『普通に避けるのかよ』
『今の見てから避けた?』
『反応速度どうなってんの』
エジソンが驚く。
「もう一発!」
再びレーザー。
ニコラの幻影が、今度は逆方向へひょい。
また外れる。
「三発目!」
ひょい。
「四発目!」
ひょい。
「五発目!」
ひょい。
『全部避けてるw』
『なんで!?』
『レーザーだぞ!?』
『これ当てられるの?』
『エジソン君頑張れw』
『ニコラ幻影の動きが地味に腹立つw』
エジソンの顔が少しずつ引きつっていく。
その様子を見ていたニコラ本人が――
「ぷっ」
吹き出した。
「ふふっ……」
そして、画面の向こうの自分の幻影を見ながら腹を抱える。
「なにそれ~」
「ニコラさん、笑ってますよ!?」
マドカが思わず突っ込む。
「だって~」
ニコラは楽しそうだ。
「あれくらいなら避けられるでしょ~」
『本人が笑ってるw』
『自分の幻影で笑うなw』
『ニコラさん楽しそうだなw』
『エジソン君との温度差すごい』
「なるほど……」
マドカが少し考える。
「でも、レーザー自体は速いね」
「そうだな」
ルーデウスが苦々しい顔で頷く。
「普通の相手なら、かなり厄介だと思う」
『ルーデウス様が普通の相手代表みたいになってるw』
『経験者のコメントだ』
『ルーデウス様、何か知ってそう』
「じゃあ、どうしてニコラさんは避けられるんですか?」
クライスが進行しながら聞く。
「……あれだよ」
ルーデウスが遠い目をする。
「ニコラさんの幻影」
「はい?」
「……あれ、最初からハードモードなんだよ」
『???』
『何それ』
『ハードモード!?』
『そんなモードあるの?w』
『ルーデウス様どういうこと?』
『過去に何かあった?』
マドカも苦笑する。
「お兄ちゃん、前にもニコラさんの幻影と戦ってるからね……」
「そうなんだよ」
ルーデウスは苦々しく答える。
「だから分かるんだ……」
「お兄ちゃん……」
「マドカ、あれは本当に――」
ルーデウスは画面を見る。
ニコラの幻影が、こちらを見ている。
そして。
小さく手招きした。
『……』
『え?』
『今、手招きした?』
『煽ってない?』
『来いってやったぞw』
『幻影が挑発してるw』
「……」
ルーデウスの眉間に皺が寄る。
「……あれだ」
「うん……」
マドカも苦笑した。
「完全に煽ってるね……」
ニコラ本人はというと――
「ふふっ」
やっぱり笑っていた。
「ニコちゃん、ああいうの好きだからね~」
『本人公認なのかよw』
『幻影に性格出すなw』
『ニコちゃん何仕込んでるんだよw』
『普通の幻影じゃないだろこれ』
『ルーデウス様の顔が完全に被害者w』
ビアンカが実況する。
「おっと! ここでニコラ博士の幻影、まさかの挑発ですわ!」
幻影が肩をすくめる。
そして、手のひらを上に向け――
もう一度、来いと手招きした。
「おーっほっほ!」
ビアンカが笑う。
「これはなかなか挑発的ですわね!」
「いや、あれは……」
ルーデウスが苦い顔をする。
「やめたほうがいいぞ、エジソン」
「え?」
「挑発に乗ると、余計に酷いことになる」
『経験者w』
『説得力が違うw』
『ルーデウス様が止めに入ったぞ』
『エジソン君、先輩の忠告を聞けw』
「…………」
エジソンは少し黙った。
「……まだ僕の発明品は一つ目です」
「お」
マドカが振り返る。
「ということは?」
「次があります!」
エジソンが新しい発明品を取り出した。
「今度はこちらです!」
巨大な機械。
複数の銃口がずらりと並んでいる。
「物量型のマシンガンです!」
『うわ』
『物量w』
『銃口多すぎだろw』
『これヒロバトで使って大丈夫なやつ?』
『発想がゴリ押しで好きw』
クライスが機械を見る。
「これは……なかなか凄いですね」
「これは一発一発を当てるのではなく、広範囲に大量の弾をばら撒くことで――」
「なるほど」
マドカが頷く。
「避ける場所そのものをなくすんだね」
「そうです!」
エジソンが嬉しそうに答える。
「それなら、さすがのニコラちゃんの幻影でも――」
「発射!」
大量の弾が飛び出した。
フィールドを埋め尽くす。
「おお!」
クライスが声を上げる。
「すごい物量です!」
「これは期待できますわ!」
ビアンカも興奮する。
「さすがに今度は逃げ場が――」
ニコラの幻影が動く。
一歩。
二歩。
三歩。
弾幕の隙間を、まるで最初からそこに道があったかのように抜けていく。
「…………」
「…………」
「…………」
マドカ、ルーデウス、クライス、ビアンカ。
全員が黙った。
最後の弾が消える。
ニコラの幻影は無傷だった。
『え?』
『嘘だろ』
『あれ全部避けた?』
『物量意味ないじゃんw』
『どうなってんの?』
『ハードモードってこういうこと?』
『弾幕ゲーじゃんw』
『いや避ける側が上手すぎるw』
そして――
ニコラの幻影が、両手を広げた。
肩をすくめる。
さらに――
親指を立てる。
「……」
次の瞬間。
親指を下げた。
『煽り性能高すぎwww』
『なんだこいつw』
『幻影なのにムカつくw』
『ニコラ本人より煽ってない?』
『ルーデウス様、これ見てどう思います?w』
ルーデウスは答えなかった。
ただ遠い目をしていた。
「ちょっと!」
エジソンが声を上げる。
「今のはかなりの物量だったんですけど!?」
「うんうん」
ニコラは楽しそうに頷く。
「頑張ったね~」
「その言い方!」
『子供を褒める博士w』
『完全に遊んでるw』
「でも避けられたね~」
「ぐっ……!」
『容赦ねぇw』
『エジソン君、泣かないでw』
『いや泣いてないだろw』
「ルーデウス様、何かコメントありますか?」
クライスが振る。
「……俺に振るな」
『www』
『被害者に聞くなw』
『経験者だから仕方ないw』
「……俺もそれ言われたな」
「お兄ちゃん……」
「思い出したくない」
『トラウマになってるw』
『ニコラ幻影シリーズ化しそう』
マドカが苦笑する。
「じゃあ次、いってみようか」
「はい!」
エジソンは負けずに次の発明品を取り出した。
「第三号!」
今度の機械は、銃というより小型の球体だった。
「これは自動追尾型の魔導球です!」
「ほう!」
クライスが食いつく。
「追尾するんですか?」
「はい。相手の位置を感知して、自動的に軌道を修正します!」
「それなら、さっきみたいに本人が狙い続けなくてもいいわけだね」
マドカが解説する。
「そういうことです!」
エジソンが操作する。
魔導球が飛び出す。
ニコラの幻影を追いかける。
右へ。
左へ。
上へ。
下へ。
「今度こそ!」
エジソンが叫ぶ。
しかし――
ニコラの幻影は、突然立ち止まった。
「え?」
追尾していた魔導球も、その場で旋回する。
ニコラの幻影が少しだけ横へ動く。
魔導球も動く。
また横へ。
魔導球も追う。
「……」
幻影がくるりと一回転。
魔導球もくるり。
「……?」
幻影が今度はその場でしゃがむ。
魔導球も下へ。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
エジソンが慌てる。
「それ、追尾性能を利用して遊んでません!?」
ニコラが画面の外で笑う。
「ふふっ」
「ニコラさん!」
「いや~、追いかけっこできるかな~って」
「できるかな~って何!?」
『遊んでるwww』
『完全に遊んでる』
『追尾性能の実演としては完璧で草』
『でもエジソン君の発明すごくね?』
『めちゃくちゃ追尾してるじゃん』
『問題は相手だろこれw』
ビアンカは大喜びだった。
「素晴らしいですわ!」
「どこが!?」
「この追尾性能、かなり高いですわよ!」
「そこ!?」
「そしてニコラ博士の幻影も、それを理解したうえで遊んでおりますわ!」
「それはそうですけど!」
「つまり発明品の性能は十分に証明されたということですわ!」
『ビアンカ様の強引なまとめw』
『謎の説得力』
『でも実際すごい』
「そういうことになるのかな……?」
クライスが苦笑する。
「いや、でも確かに」
マドカが頷く。
「追尾性能はすごいと思う」
「マドカちゃんまで!?」
「発明品としては面白いよ」
「……ありがとうございます」
エジソンは少しだけ復活した。
『マドカちゃん優しい』
『ちゃんと発明品を評価してる』
『エジソン君よかったな』
「では、最後です!」
エジソンが取り出したのは、今までより一回り大きな装置だった。
「第四号!」
「おお!」
ビアンカが身を乗り出す。
「これは?」
「簡易魔導砲台です!」
「砲台!」
『最後に砲台きたw』
『どんどん物騒になってない?』
『これ本当に新人の発明品?』
「設置すると周囲に複数の射撃ポイントを展開して、一斉に攻撃します!」
クライスが頷く。
「なるほど。本人が動かなくても、周囲から攻撃できるわけですね」
「はい!」
マドカも興味深そうに見る。
「今までとは違って、逃げる方向そのものを制限するタイプだね」
「そうです!」
エジソンが力強く頷く。
「これなら――」
「じゃあ、やってみようか~」
ニコラが操作する。
幻影が構える。
魔導砲台が展開。
四方向。
六方向。
さらに上方にも射撃ポイントが出現する。
『おおお!』
『今度はガチだ』
『これは逃げ場なくね?』
『ニコラ幻影どうする?』
「発射!」
一斉に光弾が飛ぶ。
今度はニコラの幻影も簡単には避けない。
右へ。
左へ。
上へ。
下へ。
弾幕をかわしながら進む。
「おお!」
クライスが声を上げる。
「これは今までとは違います!」
「かなり追い込んでますわ!」
ビアンカも実況する。
「ニコラさんの幻影、先ほどまでより動きが大きくなっていますわ!」
『おお!』
『いけるか!?』
『これは当たるんじゃない?』
『エジソン君いけー!』
『初めてまともな勝負になってるw』
「これなら……!」
エジソンが身を乗り出す。
幻影が一瞬、動きを止めた。
「今です!」
魔導砲台が集中射撃。
――だが。
ニコラの幻影が、その場でくるっと回転した。
そして――
光弾の隙間を抜ける。
「……」
「…………」
「…………」
最後の一発が消える。
『……』
『え?』
『避けた?』
『マジかよw』
『今の当たってただろ!?』
『いや避けたわw』
ニコラの幻影がエジソンの幻影を見る。
そして。
小さく拍手した。
「…………」
エジソンが固まる。
「……それ、褒めてるんですか?」
ニコラが笑う。
「ん~」
少し考えてから。
「結構よかったよ~」
「本当ですか!?」
「うん」
「……!」
エジソンの顔が明るくなる。
『おっ』
『ここで褒めた』
『ニコラさんちゃんと評価してるじゃん』
『エジソン君よかったな』
「じゃあ――」
「でも、当たってないね~」
「…………」
エジソンの顔がまた固まった。
『wwwww』
『最後までそれかよw』
『ニコラ容赦ないw』
『褒めてから落とすなw』
『エジソン君頑張ったのにw』
『でも発明品普通にすごくない?』
『レーザーもマシンガンも追尾も砲台も面白い』
『ニコラの幻影がおかしいだけでは?』
『これ発明品対決というよりニコラ幻影攻略配信じゃね?』
『タイトルそっちにしろw』
マドカがコメント欄を見ながら笑う。
「みんな、同じこと思ってるみたい」
「まあ……」
ルーデウスが苦々しく頷く。
「ニコラさんの幻影がおかしいんだよ」
「お兄ちゃん、それ本人の前で言う?」
「だって事実だろ……」
「ん~?」
ニコラが首を傾げる。
「私の幻影、普通だよ~?」
『普通じゃないw』
『本人が一番分かってないw』
『ルーデウス様に同意』
『これは経験者を信じる』
「それが怖いんだよ……」
『www』
『ルーデウス様ほんとに嫌だったんだなw』
『過去の戦い詳しく聞きたい』
『エジソン君もそのうちトラウマになりそうw』
「いや~」
ニコラは楽しそうに笑う。
「幻影だしね~」
そして、エジソンを見る。
「まあ、ダンジョンなら大丈夫かも~」
「本当ですか!?」
「うん。実際に使ってみないと分からないこともあるし~」
「じゃあ……!」
「がんばってね~」
「はい!」
エジソンが力強く頷いた。
「おーっほっほ!」
ビアンカが満足そうに笑う。
「エジソン君、中々に素敵な勝負でしたわね!」
「ありがとうございます!」
「発明品も非常に興味深かったですわ!」
『ビアンカ様ちゃんと評価してる』
『博士だけじゃなくエジソン君も発明家なんだな』
『ダンジョンで使ったらどうなるか気になる』
「そしてニコラ博士!」
「ん~?」
「相変わらず、とんでもない幻影ですわ!」
「そうかな~?」
「そうですわ!」
「クライスさんもそう思います?」
マドカが振る。
「思いますね」
クライスが即答した。
「というか、今回の配信……」
クライスがコメント欄を見る。
「エジソン君の発明品を紹介する配信だったはずなんですけど」
『そうだった』
『忘れてたw』
『完全にニコラ幻影が主役』
『エジソン君の発明品紹介してくれw』
『いや発明品も面白かったぞ』
『でも幻影が強すぎる』
「コメントもそう言ってますね」
クライスが笑う。
「いやあ、いい配信になりましたね」
「ところで」
ビアンカがクライスを見る。
「クライス様」
「はい?」
「なんで私ここに呼ばれたんですの?」
「……」
「…………」
クライスが少し黙る。
「……盛り上げ役?」
「まあ!」
ビアンカが胸を張る。
「それなら仕方ありませんわね!」
『納得するんだw』
『本人も楽しそうだからいいだろw』
『むしろビアンカ様いないと寂しいだろ』
『今日一番配信楽しんでたのビアンカ様説』
「納得するんだ……」
マドカが笑う。
ルーデウスも苦笑した。
「まあ、確かに盛り上がってたけどな」
「おーっほっほ!」
ビアンカが満足そうに笑う。
「それでは、次回もぜひお呼びくださいませ!」
「次回あるの!?」
エジソンが驚く。
「もちろんですわ!」
『次回決定w』
『ビアンカ様が勝手に決めたw』
『エジソン君の発明品もっと見たい』
『ダンジョン編も楽しみ』
『次は実戦だな』
『ルーデウス様また巻き込まれるのかw』
『ニコラ幻影もまた見たい』
クライスが笑う。
「じゃあ、次は実際にダンジョンで使ってみるってことで」
「はい!」
エジソンが元気よく返事をする。
「今度こそ発明品の力を見せます!」
「おーっほっほ!」
「楽しみだね~」
ニコラが眠そうに笑う。
「ルー君も頑張ってね~」
「……俺も?」
『wwwww』
『ルーデウス様逃げられないw』
『当然のように参加決定』
『ニコちゃん容赦ないw』
ルーデウスはしばらく黙ったあと――
「……まあ、付き合うしかないか」
そう呟いた。
こうして――
突然始まった貴族たちによる発明品対決配信は、エジソンの発明品を存分に披露しつつ、なぜかニコラの幻影の異常な回避性能だけが強烈に視聴者の印象に残る結果となった。
『でもエジソン君の発明品、普通に欲しい』
『それな』
『次のダンジョン配信待ってる』
『今度は何作ってくるんだろ』
『ニコラ幻影攻略も続けてくれw』
配信終了後もしばらく、コメント欄ではそんな声が流れ続けていた。




