姉妹と 技術班
グレタのところへ着くと、マドカがさっそく話を始めた。
「グレタ、この二人の武器なんだけど」
「おう?」
グレタが二人の武器を見る。
まず目に入ったのは、チヨの刀だった。
「……なんだ、この刀?」
グレタが刀をじっと見る。
「見たことねぇ形だな」
チヨは少し考えてから答える。
「……和の国の刀」
「和の国?」
グレタが聞き返す。
「知らねぇな。そんな国があるのか?」
「はい」
「へぇ……」
グレタは刀を見たまま、しばらく黙り込む。
そして刀を見ながら、職人としての目つきになる。
「これ、俺が作ったもんとは全然違うな……」
「そうなの?」
ナツメが聞く。
「ああ。俺が作ったのは、マドカから聞いた形を元にしただけだ。実際にこういう刀を作ってる奴を見たこともねぇ」
グレタが刀をさらに細かく見る。
「材料はたいしたことねぇ。エキドナでも手に入る。だが、俺の今の腕じゃまだまだだ……」
「そんなにすごいの?」
ナツメが驚く。
「すごいっていうか……知らねぇものを適当に真似するのは、鍛冶師として気に入らねぇんだよ」
グレタが苦笑する。
「この刀を作った鍛冶師に話を聞けるなら、その方がいい」
チヨは刀を見る。
「……この刀は、和の国の人にとって身分証明みたいなものだから……形は変えたくない」
「なるほどな」
グレタが頷く。
「だったらなおさら、勝手に形を変えるわけにはいかねぇな」
マドカが思いついたように声を上げる。
「チヨちゃん、お手紙とか……あ、EVをその鍛冶屋さんに渡せば直接話せるんじゃない?」
「EV?」
チヨが少し考える。
「こちら側の映像を機械を通して話せるじゃん。まあ、字で書いて相手に伝わる感じだけど」
「便利……」
ナツメがチヨを見る。
「姉様、理解してなかったの!?」
「……うん」
「今まで何だと思ってたの!?」
チヨは少し困ったように黙る。
「……機械?」
「それはそうだけど!」
マドカが笑う。
「まあ、これなら直接話せるし、作りたい刀のことも相談できるよね」
「それなら、お願い……」
チヨが小さく頭を下げる。
グレタも頷く。
「そうしてくれ。俺もその鍛冶師と話してみてぇ」
そしてチヨの刀を見ながら続ける。
「ただ、今の刀を強くするだけなら、別の方法もあるだろ」
「別の方法?」
「形を変えずに強化するなら、ニコラのところだな」
「じゃあ、次はニコラ!」
マドカが二人を連れて移動する。
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ニコラのところへ着くと、マドカが声をかけた。
「ニコラー」
「ん~?」
いつもの調子でニコラが顔を上げる。
「この二人の武器なんだけど。この刀を強化したいんだよねー。だけど和の国の人の身分証明みたいな感じらしくて、形は変えたくないみたい。どう強化したらいい?」
ニコラはチヨの刀を見る。
「んー。柄の部分に魔宝玉をくっつけて、そこから刃に魔力を通じさせる。そして得意な魔法を発動させれば~?」
「魔法剣!」
マドカが目を輝かせる。
「かっこいい!」
「そういう感じ~」
チヨが刀を見る。
「……魔法を、刀に?」
「うん。チヨさんの得意な魔法って何?」
「雷……」
「じゃあ、雷を刀に流せるようにすればいいね!」
チヨは少し考える。
「……それなら、刀の形は変わらない?」
「魔宝玉を柄につけるだけなら、刀そのものの形は変えなくていいと思うよ~」
「……それなら」
チヨが刀を握る。
「やってみたい」
「じゃあ決まり!」
マドカが嬉しそうに言う。
「そして、ちっこい子の方は~」
ニコラがナツメを見る。
「弓?」
「うん、そうです!」
「じゃぁ矢いらなくな~い?」
「え?」
「弦を引くと魔力を充填、離すと矢状の魔法矢を発射。魔力がある限りは矢なしで魔法つかえると思うよ~?」
「ああお母さんの魔法銃みたいな感じだね!」
マドカが納得する。
ナツメは自分の弓を見る。
「矢ってかさばるからそれは助かるけど、矢も一応準備しないと」
「ん~? まぁ私はデザインと魔道具部分だから~。グレタに聞いて~。材料はそこらにあるんじゃない~?」
「なるほど」
ナツメが頷く。
「じゃあ、弓そのものはグレタに相談して、魔道具部分はニコラにお願いすればいいんだね」
「そういうこと~」
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最後に、カトリーヌのところへ向かう。
「カトリーヌ!」
「はい、どうしました?」
マドカが二人の服装を見せる。
「この二人の服なんだけど、和装がかっこいいからこういうのベースね!」
カトリーヌは二人の服をじっくり見る。
「これは……この生地はあるのですか?」
「ん、ないよ? 作って?」
「あなたねぇ……」
カトリーヌが呆れたように言う。
「この生地に描かれている花、これは手作業でしょう? 生地を買ってきた方が速いです!」
「そうなの?」
「ええ。服そのものだけではなく、生地から考える必要があります」
チヨが少し考えてから尋ねる。
「……このような生地は、和の国では普通に?」
「上流階級じゃないと……服にしてはダメって決まってるかも……」
カトリーヌが考える。
「普通の人たちは、どんな服を着るのですか?」
ナツメが答える。
「普通の人なら浴衣とか甚平。ちょっと厚めの生地だけど」
「なるほど」
カトリーヌが頷く。
「それも輸入した方がよさそうですね」
「浴衣って、寝巻きにもなるんだよ」
マドカが言う。
「それなら寝巻きとしても使えますし、祭りのような場所で着る服としても広められそうですね」
カトリーヌが二人を見る。
「こちらの形なら、こちらの世界でも馴染ませられるかもしれません」
「じゃあ、いろいろ作ってみよう!」
マドカが嬉しそうに言う。
チヨは自分の刀を見て、ナツメは自分の弓を見る。
二人とも、これから自分たちがどんな装備になっていくのか、少し楽しみになっていた。
「よし!」
マドカが二人を見る。
「これで装備の相談はだいたい終わり!」
「……結構いろいろ変わるんだね」
ナツメが言う。
「うん。でも、今持ってるものを無理に変えるんじゃなくて、二人が今まで使ってきたものを活かす感じだから」
マドカが笑う。
「その方がいいでしょ?」
チヨは少し考えてから、自分の刀を見た。
「……うん」
その返事は、最初より少しだけ嬉しそうだった。




