姉妹 実力試験を受ける
「では、まず自己紹介からですな」
ムサシがEVを構える。
画面の向こうには、すでに大勢の視聴者が集まり始めていた。
チヨとナツメは、画面を見ながら少し戸惑っている。
「これ……?」
チヨが首を傾げる。
「配信っていうやつ……?」
「そうみたいだよ、姉様!」
ナツメは興味深そうに画面を覗き込んでいる。
「では、二人ともよろしくお願いしますぞ」
「えーっと……」
ナツメが少し前に出る。
「和の国から冒険者登録に来ました、ナツメと――」
隣を見る。
「姉様のチヨです!」
「…………」
チヨは一拍遅れて頭を下げた。
「……よろしくお願いします」
ナツメが続ける。
「さっきムサシさんって人に声をかけられたので、配信に出てみることにしました」
「はっはっは! そういうことですな!」
ムサシが笑う。
コメント欄も一気に流れ始める。
『和の国!?』
『初めて聞いた!』
『姉妹かわいい』
『二人とも刀持ってる』
『冒険者登録から配信するのかw』
『がんばれー!』
ナツメが画面を見て目を輝かせる。
「わ、いっぱい来てる!」
チヨも画面を見る。
「…………」
「姉様?」
「……頑張る」
「うん!」
そして、冒険者登録に伴う実力確認が始まった。
ムサシは少し離れたところから二人を見ている。
「さて……」
実力テスト。
それは思った以上のものだった。
チヨの刀は無駄がない。
一撃一撃が鋭く、動きにも迷いがない。
ナツメも弓と刀を使い分け、距離を変えながら相手を追い込んでいく。
画面の向こうからコメントが流れ続ける。
『え?』
『強くない?』
『これ本当に初登録?』
『Fランクって嘘だろ』
『動きが初心者じゃない』
『和の国って何者だよ』
『がんばれー!』
やがて実力確認が終わった。
ギルドの職員が結果を確認する。
「では、お二人ともFランクからのスタートです」
「…………」
「…………」
姉妹が固まった。
コメント欄も、一瞬だけ止まった。
そして――
『は????』
『F!?』
『今の見た!?』
『どういう判定だよ!!』
『いやいやいやいや』
『Fランクって何!?』
『ギルドさん!?』
『あの動きでFはおかしいだろw』
『実力テストとは???』
『がんばれー!じゃねえよ!w』
コメントが一気に荒れ始める。
ナツメが画面を見る。
「……これ、怒ってる?」
チヨもコメントを眺める。
「…………かなり」
ムサシは腹を抱えて笑った。
「はっはっはっはっ!」
ガイルが呆れた顔でムサシを見る。
「師匠……」
「いやいや、これは面白い!」
ムサシは笑いながら二人を見る。
「なるほどなるほど」
そして、楽しそうに目を細めた。
「これは、実に面白くなってきましたな」




