ガブちゃん有料配信
夜。
エキドナの情報塔にある、とある配信用の部屋。
今日、ガブリエルが行うのは有料配信だった。
「ガブリエルの~有料配信ですわ! 今日はモンバトの新しく手に入れたモンスターを紹介しますわね!」
今回の有料配信で扱うのは、最近入手したばかりのモンスターの情報。
マドカたちが30層まで安定して攻略できるようになったことで、これまでなかなか手に入らなかったモンスターのデータも少しずつ増えている。
だが、その情報がデータ屋に並ぶことはほとんどない。
そのため、モンバトを遊ぶ者にとって、こうした実際の攻略で得られた情報はかなり貴重だった。
「こちらが今回ご紹介するグリフォンですわ!」
ガブリエルが新しく手に入れたグリフォンの姿を見せる。
見た目からして格好よく、いかにも強そうなモンスターだ。
「まず、この子は見た目通り――」
ガブリエルはグリフォンの能力や使える技、実際に戦わせた時の感覚などを説明していく。
普段の無料配信ではあまり話さないような細かい情報まで惜しみなく話していくため、視聴者からは次々と質問や反応が飛んでくる。
そして。
「……かなり話しましたわねー」
ガブリエルが一息つく。
「少し休憩ですわー。その間に質問でも受けますわね。お茶を飲みながら質問回ですわ!」
ここからは、モンバトとはあまり関係のない、いつものガブリエルへの質問タイムとなった。
『最近だとモンバトは一人でやることが多い?』
「最近ですと、よく勝負を挑まれるのはムサシさんですわね!」
ガブリエルは楽しそうに話し始める。
「あの方とはモンバトコロシアムで対戦をして、もちろん勝ちましたわよ?」
『そりゃガブちゃん相手ならなぁ』
『ムサシさん、剣聖なのにモンバトもやってるのか』
「それから配信を見て、マドカを弟子にしたいというので、エキドナに連れて行きましたの」
『ああ、あの話か』
『マドカがムサシさんの弟子になったやつ』
「え? メンバーではないのに、そんなことをしていいのか? ですって?」
ガブリエルは少し得意げに笑う。
「もう内定もらってますわー!」
『またガブちゃんの持論が始まったw』
『本人の内定では?w』
「それからはよくモンバトの話をしたり、勝負をしたりと、いいモンバトユーザーに育ってますわね」
さらに最近では、クリスティーナの話も出てくる。
「他ですと、クリスティーナ叔母様ですわね。最近ダンジョンに通いだしましたでしょ? モンバトのデータも拾ってますし」
「叔母様は売る必要もないほどのお金持ちですから、コレクション兼お遊びでよくしてますのよ?」
「ただ、マドカが30層のデータを叔母様にプレゼントしていて、勝負勘もありますので、たまに負けますわね」
『クリスティーナ様もモンバトやってるのか』
『ダンジョン攻略してデータ集めてるの強いな』
『しかもマドカから30層データ貰ってるのかw』
『学校でもモンバトの話をする?』
「モンバト部では、もうモンバトだらけですわね!」
ガブリエルは即答する。
「まぁ、ほぼダンジョン攻略部兼モンバト部ですわ! 今ですと26層でデータ集めをしてますわねぇ」
『26層!?』
『普通に深いところまで行ってるな』
「ですが、教室で私がモンバトの話をしますと、皆さんどこかに行くんですわよねぇ……」
『草』
『学校では需要ないw』
「そうそう、最近はヒロバトも教室では人気ですわね!」
「さすがに貴族学園なので、持っている方、家族との共有で楽しんでる方も多いですわー」
『ヒロバトは貴族にも人気なのか』
『家族でやるゲームになってるんだな』
『エキドナの中で一番一緒にいることが多い人は?』
「マドカですわね!」
これも迷いなく答える。
「その次にエレノアお姉様。ただ、最近ですと叔母様ともよくお茶をしてますわ!」
「叔母様もエキドナに普通に来られるようになりましたし!」
そこでガブリエルは少し不満そうな顔をする。
「ただ私は卒業後なのに、叔母様はもうすでに私よりエキドナの皆様と仲良しなんですのよ?!」
「おかしいですわー?」
『たしかにクリスティーナ様、馴染むの早かったなw』
『ガブちゃんよりエキドナに溶け込んでる』
『叔母様強い』
『今まで配信してきた中で一番楽しかった配信は?』
「ティニアと変な言葉使いをする村に行く回ですわね!」
ガブリエルはすぐに答えた。
「あそこは私も演技として勉強になりそうと思いましたの!」
「また行く予定ですわ!」
『あれは面白かった』
『ガブちゃんが珍しく真面目に演技の勉強してた回』
『ティニアとの組み合わせが強すぎるw』
『最近マドカと何か一緒にやりました?』
「そうですわねー……私の公式グッズの製作ですわねー!」
ガブリエルが少しだけ眉をひそめる。
「もうすでにショップで売られている、私のイメージカラー赤を使った商品は、よく売られてますが――」
「作りが雑なんですわ!」
『そこ!?』
『売れてるのにw』
「もっと私のことを考えて作ってほしいんですわー!」
「そこで、ちゃんと打ち合わせしてますわね!」
『マドカとグッズ会議してるのか』
『ガブちゃん監修グッズになりそう』
『むしろ今まで本人に確認してなかったのかw』
『今の時点でガブちゃんに与えられている権限ってどんなもの?』
「まだ今の時点で与えられている権限は、モンバトのイメージキャラクターや、配信での色々な商品の宣伝、後はダンジョン攻略の参加くらいですわねー」
ガブリエルは少し考えてから続ける。
「私がモンバトだけの子だと、皆さん思ってらっしゃるでしょう?」
『うん』
『違うの?』
「その通りですわー!」
『おいw』
そして、ガブリエルは少し楽しそうに話を続けた。
「モンバトを使った、モンスターを主役とした映像。例えば可愛らしいモンスターの集落のお話とか、モンバトを使えば出来そうですものね」
「その物語通りにモンバトのモンスターを動かして、声をあてて映像化……」
「これは売れますわ!」
『急に商売の話になったw』
『でも普通に見てみたい』
『モンスターの村の話はちょっと気になる』
『最近、新しく始めたことは?』
「そうですわねー。自分の装備を自分で作る、ですわね!」
「素材を自分たちでダンジョンで集める。そして自分たちでグレタさんやカトリーヌさん、ニコラ博士に弟子入りして、自分だけの装備を作っているんですの!」
『え、ガブちゃん装備作ってるの?』
『ニコラ博士に弟子入りは怖いw』
「決して皆さん妥協しないでダメ出ししてくれるので、完成品は職人の方より劣りますけれども……」
「お店に売ってるのよりは品質はいいですわね!」
『それ普通にすごくない?』
『自作装備でダンジョン攻略してるのか』
『ガブちゃん、最近めちゃくちゃエキドナ色に染まってない?』
「さあ、ではそろそろモンバトに戻りますわよ!」
ガブリエルはそう言って、お茶を置いた。
「まだまだ紹介したいモンスターがありますもの!」
こうして休憩を終えたガブリエルは、再びモンバトの話へと戻っていった。




