ビアンチ配信 有料配信
「こんにちはー! ビアンチです!」
EVの画面に、ビアンチが映る。
「今日はエキドナから、新しいEVの機能についてのお知らせがあります!」
『何だ?』
『また新商品?』
『最近エキドナの新機能多くない?』
「今回は商品ではありません」
ビアンチが一枚の資料を取り出す。
「EVの配信機能についてです!」
『配信?』
『何か変わるの?』
「これまでもエキドナでは、いろいろな配信を行ってきましたよね」
「雑談配信、商品紹介、質問配信、音楽配信などなど」
「そして、これまでエキドナが行ってきた配信は、基本的に無料でした」
ビアンチが一度、カメラへ視線を戻す。
「ですが――」
「これからは、**配信者自身が有料配信を選べるようになります!**」
『おお』
『有料配信?』
『この前のトライアングルライブみたいな?』
「そうです!」
ビアンチが頷く。
「例えば、特別なライブや、普段は公開していない専門的な講座などですね」
「配信者が『これは有料で見てもらいたい』と決めた場合、その配信を有料チャンネルとして設定できます」
『配信者が決めるの?』
「はい!」
「エキドナが勝手に有料にするわけではありません」
「配信する本人が無料にするか、有料にするかを決められます」
『なるほど』
『じゃあ普通の雑談は無料のままでもいいのか』
「もちろんです!」
「今までの無料配信がなくなるわけではありません」
「無料で配信したい方は、これまで通り無料で配信できます」
「逆に――」
ビアンチが少し笑う。
「有料で見てもらいたいという方は、有料チャンネルにできます」
『どうやって見るの?』
「有料チャンネルの場合は、エキドナショップで視聴チケットを購入できます」
「チケットには番号が記載されていますので、その番号をEVへ入力してください」
「すると、そのチケットに対応した配信を視聴できるようになります」
『チケット制か』
『前のトライアングルライブと同じだな』
「そうですね」
「特別ライブなど、大規模なイベントではこの方式が使えます」
「もちろん、配信者が管理をするのが難しい場合は、マネージャーや代理人、店主などに管理を任せることもできます」
『配信者本人じゃなくてもいいんだ』
「はい」
「本人から正式に依頼を受けている代理人であれば、エキドナショップへチャンネルの申請や管理をお願いできます」
「例えば、配信者が自分で商売や管理をするのが苦手な場合でも大丈夫です」
『それ便利だな』
『芸能人とかにはマネージャーがいるもんな』
「そして――」
ビアンチが資料をめくる。
「実は、毎回ショップへ行ってチケットを買わなくても、有料配信を見る方法があります!」
『え?』
『それ重要じゃん』
「EVには、お金をチャージして残高として持っておく機能があります!」
『おお!』
『EVにお金を入れられるの?』
「はい!」
「エキドナショップなどで、EVチャージ券を購入できます」
「例えば、銅貨十枚分、銀貨一枚分など、いくつかの金額が用意されています」
「チャージ券には番号が記載されていますので、その番号をEVへ入力してください」
「すると、その金額がEVの残高として追加されます!」
『あー、分かりやすい』
『先にチャージしておくんだな』
「そうですね!」
「一度チャージしておけば、有料配信を見る時に、その残高から直接視聴料を支払えます」
「毎回エキドナショップへ行く必要はありません」
『家からでも買えるのか』
『それなら突然始まった有料配信にも対応できるな』
「そういうことです!」
「大規模な公演や、事前販売をしたいイベントではチケット方式」
「普段の有料配信なら、EVの残高から直接購入」
「という使い分けになります」
『なるほど』
『ライブはチケット、普通の配信はEVからってことか』
「もちろん、現在の残高もEVから確認できます」
『残高いくらあるか分かるのいいな』
「さらに、利用履歴も確認できます」
「有料配信にいくら使ったのか、いつチャージしたのかも確認できますので、何にお金を使ったのか分からなくなることもありません」
『ちゃんとしてるな』
『エキドナ、こういうところは妙に細かいw』
「そして――」
ビアンチが資料をめくる。
「有料チケットの売上についてです!」
『お金の話きた』
「チケット一枚につき、製作費として銅貨一枚をいただきます」
『銅貨一枚?』
「はい」
「例えば銅貨十枚のチケットを百枚販売した場合――」
「売上は銀貨十枚」
「そこからチケット製作費として銅貨百枚、つまり銀貨一枚が引かれます」
「残った銀貨九枚が、配信者本人の口座へ振り込まれます」
『分かりやすい』
『エキドナの取り分かなり少ないな』
『製作費だけ?』
「そうです」
「エキドナが勝手に売上の何割かを持っていく、という仕組みではありません」
「チケットを作って販売するための費用として、銅貨一枚だけいただきます」
『それなら個人でもやりやすいな』
『人気出たらそのまま収入になるのか』
「なお、EVから直接購入された場合も同じです」
「視聴料から、一件につき銅貨一枚の視聴権製作費が引かれ、残った金額が配信者本人の口座へ入ります」
『直接購入でも同じなんだ』
「はい!」
「チケット方式か、EVからの直接購入かで、配信者への売上の仕組みが変わるわけではありません」
「違うのは、見る側がどうやって視聴権を購入するかだけです」
『なるほど!』
『大きいイベント→チケット』
『普通の有料配信→EV残高』
『めちゃくちゃ分かりやすい』
「そして、もう一つ重要な機能があります!」
ビアンチがEVを操作する。
「配信者本人は、自分の配信の視聴者数を確認できます!」
『おお!』
『何人見てるか分かるの?』
「はい」
「現在の視聴者数だけでなく、累計の視聴数も確認できます」
「有料配信なら、何枚チケットが売れたのか、EVから何件購入されたのかも分かります」
『それいいな』
『自分の人気が数字で分かる』
『逆に売れてないのも分かるのかw』
「そうですね」
ビアンチが少し苦笑する。
「そこは数字として、きちんと確認できるようになっています」
「エキドナ側が数字を隠すこともありません」
『透明性高いな』
『何人売れたか本人が分かるの大事』
「そして――」
ビアンチが少し考える。
「有料だからといって、必ず人気が出るわけではありません」
『まあそうだよな』
「例えばですね」
ビアンチが資料を一枚めくる。
「剣聖ムサシさんが、剣術講座を始めたとしましょう」
『www』
『来たw』
『絶対面白いやつ』
画面の外から声が聞こえる。
「何か問題でも?」
「いえ!」
ビアンチが笑う。
「ムサシさんの剣術講座です」
「タイトルは――」
「『見て盗め! 宮本流剣術講座』」
『wwwww』
『タイトルだけは強い』
『見て盗めw』
「ムサシさんが実演します」
ビアンチが続ける。
「凄まじい速度で剣を振ります」
EVの映像に、ムサシの動きを再現した映像が表示される。
シュッ。
刀が振られる。
「そして――」
ビアンチが少し困った顔をする。
「説明はありません」
『www』
『そこが問題なんだよw』
「『ここをこうして――』ではなく」
「『見て盗め』」
『剣聖www』
『普通の人には無理だろw』
『何やってるか分からんw』
「視聴者からすると――」
ビアンチが少し考える。
「『すごいのは分かる』」
「『でも何をやってるのか、よく分からない』」
『それだw』
『めちゃくちゃ分かるw』
『ムサシさん、説明してくださいw』
「そうなるかもしれません」
ビアンチが笑う。
「ですが、それでも『見たい』という人がいるなら、有料配信にできます」
「逆に、誰も見たいと思わなければ――」
一拍。
「ずっと無名です」
『厳しいw』
『でも正しい』
『剣聖なのに無名配信者になる可能性あるのかw』
「どれだけ凄い技術を持っていても」
ビアンチが続ける。
「それを見たい人がいるかどうかは、別の話です」
「見る価値があると思う人が視聴料を払う」
「興味がない人は見ない」
「それだけです」
『なるほどな』
『人気と実力は別ってことか』
『ニッチな講座でも見たい人がいれば成立するのは面白い』
「そして、有料配信の売上は、その配信者本人へ入ります」
「ですから――」
ビアンチがカメラを見る。
「自分の好きなことを配信して、それを見たいと思ってくれる人がいるなら」
「それだけで、一つの仕事にできるかもしれません」
『いい仕組みじゃん』
『趣味を配信して稼げるのか』
『専門家にはありがたいな』
『少人数でも直接支援できるのいいな』
「もちろん、成人向けなどの専門的な配信についても、配信者が有料チャンネルとして設定することはできます」
「その場合も、通常の無料配信とは別のチャンネルとして管理されます」
『なるほど』
『見たい人だけ見る仕組みか』
「エキドナショップでは、そうした有料チャンネルの登録や、チケット販売、チャージ券の販売などの手続きを受け付けています」
「配信者本人だけでなく、正式に依頼されたマネージャーや代理人からの申請も可能です」
「そして――」
ビアンチが笑う。
「見るかどうかは、もちろん皆さん次第です!」
『それはそうw』
『見たいものに金を払う』
『興味なければ見なければいい』
『ムサシさんの講座、俺はちょっと見たいw』
『俺も』
『説明ないぞ?』
『それでも見たいw』
画面の外から、ムサシの声が聞こえる。
「ワシはちゃんと説明しますぞ?」
『本当か?w』
『信用できねぇw』
「……たぶん」
ビアンチが小さく笑った。
『たぶんwww』
「以上、エキドナからEVの新しい配信システムについてのお知らせでした!」
「無料配信はこれまで通り!」
「特別な公演や大規模イベントは、チケット方式!」
「普段の有料配信は、EVの残高からその場で購入!」
「自分の好きな配信を、自分の好きな方法で楽しめるようになります!」
『これは便利』
『家から買えるの助かる』
『ライブのチケットも今まで通り使えるのね』
『有料配信増えそうだな』
『誰が最初に有料配信するんだろ』
ビアンチが笑顔で手を振る。
「それでは、また次の配信で!」




