マドカのお願い
「お母さん、お願いがあるんだけど」
エキドナでの仕事を終えたクリスティーナに、マドカが声をかけた。
「なぁに、マドカちゃん?」
「ライブ会場、なんとかなる?費用は私の貯金から出すよ!」
「ライブ会場?」
「うん。トライアングルのライブ!」
マドカは楽しそうに話す。
「今はモンバトコロシアムでやってるけど、ちゃんとしたライブ会場があったらいいなって」
「なるほど」
クリスティーナは少し考える。
「公爵領に作ること自体はできると思いますよ」
「ほんと!?」
「ええ。ただ――」
クリスティーナは穏やかに続けた。
「さすがに数日で完成させるのは難しいでしょうね」
「あ」
マドカが少し考える。
「そうだよね」
「場所を決めて、設計して、建設して、設備を整えて……となりますから」
「どのくらいかかるの?」
「規模にもよりますけれど、それなりの時間は必要でしょうね」
「じゃあ――」
マドカは少し考えてから、あっさり笑った。
「公爵領に作るまで待ってくれる?」
「もちろんよ」
「うん!」
マドカはすぐに頷いた。
「その間のライブはゴールでもできるし!」
「ゴールでも?」
「うん。いつものモンバトコロシアム!」
マドカが当然のように答える。
「そこならもうあるし、エキドナで使ってる場所だから!」
「なるほど」
クリスティーナも納得したように笑った。
「では、公爵領の会場は急がず、きちんとしたものを作りましょうか」
「うん!」
「商業ギルドにも相談しておきますね。完成後の運営もお願いできるでしょう」
「それなら私達はライブだけやればいいね!」
「ええ」
クリスティーナが微笑む。
「マドカちゃんは、ステージのことだけ考えていればいいわ」
「やった!」
少し離れたところで話を聞いていたセシリアが、手帳に予定を書き込む。
「では、公爵領のライブ会場については建設計画を進めつつ、当面のライブはゴールで開催――ですね」
「そうそう!」
「承知しました」
マドカは満足そうに笑った。
「じゃあ次のライブ、何しようかなー」
「新しい演出も考えようよ!」
「ヒロバトも発売したばかりですしね」
リゼットが口を挟む。
「せっかくだから、ヒロバトを使った演出でもやってみたら?」
「それいい!」
マドカの目が輝いた。
「じゃあ、次のライブはヒロバトで――」
こうして。
公爵領に新しいライブ会場を建設する計画が始まり。
その完成を待つ間、トライアングルはこれまで通りゴールでライブを続けることになった。
そして――。
ヒロバト発売後、最初のライブ。
そのステージで、エキドナの新しい演出が披露されることになる。




