宮本武蔵
「え? ムサシって、宮本武蔵なの?」
「なに?」
ムサシも驚いたようにマドカを見る。
「でも宮本武蔵って、二天一流とかいう名前じゃなかったっけ?」
「……」
マドカはステータスをもう一度確認する。
「ん? 宮本流? なにそれ?」
「いかにもだな。宮本武蔵がワシの本名だ」
「ええ!?」
「だが、マドカよ。なぜそれを知っている?見たところ、お主はこの世界の人間のようだが……お主も神隠しの迷い子なのか?」
「ちょっと待って」
リゼットが二人の間に入る。
「整理させてちょうだい。どういうことかしら?」
「えーっと……」
マドカは少し考えてから話し始める。
「私の前世の世界の日本に、宮本武蔵っていう剣術がやばいって言われてる偉人がいたんだよ」
「それがムサシということね?つまりマドカは、ムサシの時代より後の時代に、宮本武蔵という人物の歴史を知ったということ?」
「たぶんね。確か戦国時代とかの人だったから、私の時代から四百年くらい前の人? だと思う」
「四百年……」
ムサシが呟く。
「でも歴史書にもちゃんと出てるよ」
「ほう」
「詳しくは私も分からないけど、未来では有名人。宮本武蔵って、すごい剣術家だったってことくらいしか知らない!」
「それだけですか!?」
エレノアが思わず声を上げる。
「だって私、歴史そんな詳しくないもん」
「なるほど……」
ムサシは腕を組み、しばらく考え込む。
「つまり、ワシがこの世界へ来た後、さらに何百年も経った未来の日本で、ワシの名が残っていたということか」
「そういうことだね」
「そしてマドカは、その日本からこの世界へ生まれ変わった」
「まぁ、そうだね。別に隠してないけど」
「……」
ムサシがマドカを見る。
「なんとも不思議な話ですな」
「ただ、私の知ってることが史実と合ってるかは私にも分からないよ?」
マドカが付け加える。
「徳川幕府とかの時代の人で、すごい剣術家だったってくらいしか知らないから400年で正確な歴史は五輪書?とか言うの書いた人らしいけど」
「なるほどならば、未来の日本で語られる宮本武蔵と、ここにいるワシはほぼ同一人物ではあるのでしょうな。書きましたので。ただワシがここにいるという事は未来の日本では…」
「どこまでが事実かは分からないってことね」
リゼットがまとめる。
「だが……未来の日本でも、ワシは剣を振っていた歴史は伝わっていたのですな」
「うん!めちゃくちゃ有名だったよ」
「……そうか」
ムサシは少しだけ嬉しそうに笑った。




