弟子入り保留
「それで、マドカ」
ムサシが改めてマドカを見る。
「ワシの弟子にならんか?」
「先ほどリゼット様と話しておったが……ワシの弟子にならぬか?」
「えー、面倒」
「即答ですね!?」
ガイルが思わず声を上げる。
「だって弟子って何するの?」
「剣の修行ですな」
「毎日?」
「いや、毎日でなくとも――」
「じゃあ、なんか面白いの?」
「……」
ムサシが止まった。
ガイルも黙る。
リゼットだけが、楽しそうに二人を見ていた。
「剣の修行は、面白いぞ」
やがてムサシが答える。
「ワシは三百年以上、剣を振ってきた。その間に身につけたものを、お主ならばさらに先へ持っていけるかもしれぬ」
「へぇ、私より強いの?」
「マドカよ お主の幻影との勝負見させてもらった。確かに凄まじいほどの成長スピードであろうが、ワシ相手に通じるかは実際にやってみれば分かるだろうな」
マドカは少し困った顔をした。
「やる事あるからさー。それに、私そこまで強くなりたいと思ってないし」
「だが、お主には才能がある!」
「んー……」
マドカは少し考えてから、リゼットを見る。
「お姉ちゃんは?」
「あなた次第ね」
リゼットはあっさり答えた。
「確かにあなたは強いけど、自己流で本当の実力者には通じないかもしれないわね」
「ほう」
ムサシが頷く。
「剣聖というのは、称号だけではないのだよ、マドカちゃん。その道を極めた者のみが名乗ることを許される」
「ふぅん……」
マドカはムサシを見る。
「でもさー、剣聖っていうくらいだから、無意味な滝修行とか、精神統一しろとか、何時間も正座しろとかやりそう」
「ははっ!」
ムサシが豪快に笑った。
「そんな無駄なことはせん!」
「え?」
「ずっと打ち合いだ」
「ずっと?」
「そうだ。剣を振り、打ち合い、相手の動きを覚える。それが一番だ」
「痛いの嫌なんだけどな」
「なら、当たらなければいい」
「それはそうだけど……」
マドカは少し考える。
「でも、かっこいいかも?」
ムサシが嬉しそうに笑う。
「そうだろう!」
「じゃあ、ガイルさんは強いの?」
突然話を振られ、ガイルが少し驚く。
「俺?」
「うん。ムサシの弟子なんでしょ?」
「まぁ、一応 師の元で5年生活しているよ。Sクラス冒険者でもある。」
「あとで模擬戦でもしよう!剣聖の弟子相手にどこまでできるかなー。」
「いいぞ」
ムサシが横から答える。
「師匠、俺に聞かずに決めるないでください。」
「いいじゃないか。お前もマドカの実力を知りたいだろう?」
「それは……まぁ」
ガイルもマドカを見る。
「じゃあ、やってみるかい?」
「そうだね!それから、ムサシの弟子になるか決めていい?」
「もちろんだ!」
ムサシが即答する。
「ワシの弟子よ!」
「まだ弟子じゃないんだけどなぁ」
マドカが苦笑した。




