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落内円は落ちている  作者: 七風


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劇のシナリオ持ってきたよ

「じゃあ、これ」


マドカが紙を広げた。


「シナリオ、持ってきたよ」


「もうできたんですか?」


アリシアが紙を覗き込む。


「ううん。まだ序盤と後半の一部だけ」


ナナリーが続ける。


「途中の展開とか、ラストシーンはまだそこまで練ってないんです」


「なるほど」


マネリーが紙を受け取る。


「では、現時点では全体の骨組みを見てもらう感じですね」


「そうそう。まだ決定稿じゃないから、参考にしてほしい」


マドカは紙をめくりながら説明を始めた。


「まず、この劇の世界は今の世界とよく似てる。ゴールもゴールだし、そこに住んでる人も基本的には同じ」


「ただ、職業や立場が違うんですね」


エレノアが確認する。


「うん。今の私たちとは別の人生を歩んでる世界」


「なるほど」


「で、主人公はトライアングル」


ナナリーが笑う。


「私たちはA級冒険者で、町では歌や踊りでも人気がある三人組です」


「冒険者としてダンジョンを攻略しながら、ゴールではライブもしてる」


マドカが説明する。


「そして――」


紙の次の部分を見る。


「ガブちゃんたちが、主人公パーティーのライバル」


「まぁ」


ガブリエルが顔を上げた。


「では私が主人公パーティーのライバル役なんですの?」


「そう」


「それは面白そうですわね」


ガブリエルは少し嬉しそうに笑った。


「ですが、誰と組むんですの?」


「それは後ろにいるじゃん」


マドカがガブリエルの後ろを指差す。


「今日呼んだのも、それの依頼だし」


「俺達か?」


モンバト部の仲間たちが顔を見合わせる。


「マドカちゃん?」


「うん」


マドカが頷いた。


「モンバト部でパーティー組んでほしい」


「ガブリエル様、私、出たいです!」


「A級冒険者役か!」


「かっこいいな!」


「なるほどなるほど……」


ガブリエルは仲間たちを見回してから、満足そうに頷いた。


「いいでしょう!」


「やった!」


「では――」


ガブリエルが胸を張る。


「なんという名前のパーティーなんですの?」


「それは勝手に決めてよ」


「わたくしが?」


「こっちはトライアングル固定で行くから」


「まぁまぁ!」


ガブリエルは腕を組んで考え込む。


「そうですわねぇ……」


「すぐ決めなくてもいいよ」


マドカが笑う。


「モンバト部で考えておいて」


「分かりましたわ!」


ガブリエルが頷く。


「では、パーティー名は皆さんで考えておきますわね!」


「うん」


「それで、ライバルパーティーということですが……」


ガブリエルがシナリオを見る。


「最初はトライアングルよりパッとしないと思われている、と」


「そう」


マドカが頷く。


「でも、実力はちゃんとある」


「なるほど」


「それで終盤に、ちゃんとかっこいい見せ場もあるよ」


「そうなんですの?」


ガブリエルの目が輝く。


「うん」


マドカが紙をめくる。


「三十層までトライアングルと一緒に攻略する」


「ほう」


「そこでちょっとした異変が起きて、トライアングルとガブちゃんたちが分断される」


「そこで、わたくし達が残るんですのね?」


「そう」


「それで?」


ガブリエルが続きを促す。


マドカは少し楽しそうに笑った。


「ガブちゃんがトライアングルに言うの」


「なんと?」


「『ここから先は通行止めですのよ?』」


「いいですわね!」


ガブリエルがすぐに食いついた。


「ここから先は通行止めですのよ?」


「気に入ったんだ……」


ナナリーが笑う。


「実際に劇の中でも三十階層を攻略して、三十一階層に向かってもらう」


マドカが続ける。


「そこからがトライアングルだけの攻略というわけですね?」


「そう」


「なるほど」


ガブリエルは納得したように頷く。


「では、私たちは三十階層まで一緒に戦って、そこで別れる」


「うん」


「そして、その間もゴールでは別の戦いが起きるんだよ」


「ゴールで?」


「モンバトを使った偽モンスターを使って、スタンピードみたいに町を襲わせる」


「偽モンスター?」


「見た目は本物のモンスターと同じ。でもダメージはゼロ」


マドカが説明する。


「だから派手にできるでしょ?」


「なるほど」


ナナリーも頷く。


「町の人たちも安全に参加できますね」


「そう」


「商品宣伝にもなるね~」


ニコラが楽しそうに言う。


「モンバトのモンスターが、実際の劇でいっぱい動くんだもんね~」


「確かに、宣伝としてはかなり強そうだな」


クライブも頷く。


「でも……」


ヒナタが少し考える。


「実際にそういう事件がないといいのですけど」


「まぁ……」


マドカが苦笑する。


「そこは分かんない……」


「分からないんですか!?」


「だって未来のことだし」


「怖いことを普通に言わないでください!」


部屋に笑い声が起きる。


「それで、俺たちは残ってる冒険者とか、ギルドマスターとか、領主とかで対処するんだな?」


クライブが確認する。


「そういうシーンもいっぱいあるよ」


マドカが頷く。


「町の人たちも、弱いゴブリンとかを勇気出して倒したりする」


「町の人も戦うのか」


「うん」


「モンバトなら怖くねぇもんな!」


カーンが嬉しそうに言う。


「それなら俺たちも町を守れる!」


「そういう場面も入れたい」


マドカが頷く。


「その間にトライアングルは三十一層へ進む」


ナナリーが紙を見る。


「そして、そこにラスボスがいるわけですね」


「そう」


「三十一層って、まだ作ってないでしょう?」


ガブリエルが首を傾げる。


「そこはどうするんですの?」


「それなら大丈夫」


マドカが笑った。


「さっきゲンナイとナナリーで作ってきたよ!」


「……仕事早いな!」


クライブが思わず声を上げる。


「ゲンナイさん、もう作ったんですか?」


「うん。劇用だから、いろんな場所を繋げられるようにしてもらった」


「なるほど」


マネリーが頷く。


「では、三十一層以降の冒険についても、実際に撮影できる状態になっているんですね」


「そういうこと」


マドカは紙を机の上に置いた。


「だから、ここから先をみんなで考えたい」


「序盤と終盤の骨組みはある」


ナナリーが続ける。


「でも、その間をどう繋ぐかは、まだ決まっていません」


マドカがみんなを見る。


「せっかくだから、みんなで面白い話にしようよ」


集まったメンバーが、改めてシナリオに目を落とした。


劇はまだ、始まったばかりだった。


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