ゴスロリを見つける
色欲でのライブを終えた帰り道。
ナナリー、マドカ、アリシアの三人は、色欲の街を歩いていた。
ライブの余韻がまだ残っているのか、ナナリーはいつも以上に楽しそうだった。
「ねえ、マドカちゃん。こっちのお店も見ていこうよ!」
「まだ見るの?」
「見るの!」
「元気ね……」
アリシアが苦笑する。
「ライブ終わったばかりなのに」
「だって、せっかく色欲に来たんだもん!」
ナナリーが店のショーウィンドウを覗き込む。
そして――
「あ」
突然、足を止めた。
「どうしたの?」
マドカも隣から店内を見る。
そこに飾られていたのは、黒を基調としたドレスだった。
フリル。
レース。
大きなリボン。
白と黒のコントラスト。
そして、どこか貴族のお嬢様を思わせる優雅なデザイン。
ナナリーの目が輝いた。
「これ……」
「?」
「これゴスロリじゃない!?」
「ゴスロリ?」
アリシアが首を傾げる。
ナナリーはショーウィンドウに近づいた。
「どうしたのマドカちゃん?」
「いや……」
マドカも服をじっと見ている。
「これ、ゴスロリっぽい!」
「やっぱりそうだよね!」
ナナリーが嬉しそうに振り返る。
「前世の私じゃ似合わなかったけど……」
自分の姿を見下ろす。
「今なら!」
「……」
マドカも服を見て、自分の姿を見る。
「うん。ゴスロリっぽい」
「だよね!」
ナナリーは楽しそうに笑う。
「私も地球じゃ、ちょっと無理だったかなー」
「でも今なら二人とも似合うよ!」
「二人とも?」
「うん!」
ナナリーがマドカとアリシアを交互に見る。
「美少女だし!」
「……」
マドカが少し黙る。
「自分で言う?」
「だって本当だもん」
ナナリーは全く気にしていない。
アリシアも困ったように笑った。
「まあ……褒められて悪い気はしないけど」
「でしょう?」
「でも、これってマドカさん達の前世の世界の服に似ているんです?」
アリシアがショーウィンドウを見る。
「うん」
マドカが答える。
「こんな感じの服が一部の女性に人気だった」
「へえ……」
「貴族のお嬢様をイメージしたデザインとか」
ナナリーが説明を続ける。
「あと、闇堕ちしたラスボス女性キャラがよく着てたよ」
「ラスボス?」
「物語の最後に出てくる強い敵」
「なるほど……」
アリシアは少しだけ考える。
「確かに、そういう雰囲気ありますね」
「それとね」
ナナリーが楽しそうに続ける。
「吸血鬼の女の子が、こういうファッション好きだったりするんだよ!」
「吸血鬼……」
アリシアが服を見る。
「かわいいですね」
「でしょ!」
ナナリーが即答する。
「私、買おうかな」
「え、本当に?」
「うん」
ナナリーは店内を見る。
「ライブ衣装にも使えそうだし」
「ライブ?」
「うん!」
ナナリーがマドカを見る。
「マドカちゃん、これ着てライブしない?」
「私も?」
「もちろん!」
「……」
マドカは服を見る。
黒いドレス。
白いレース。
大きなリボン。
「でも、私はこういう服あんまり着たことないよ」
「だからいいんじゃん!」
ナナリーが楽しそうに笑う。
「絶対似合うよ!」
「そうかな……」
「そうだよ!」
そしてナナリーは、もう一人を見る。
「アリシアにも絶対似合う!」
「私も!?」
「うん!」
「三人で?」
「そう!」
ナナリーの目がどんどん輝いていく。
「三人ともゴスロリっぽい衣装にして、今度これ着てライブしようよ!」
「……」
マドカとアリシアが顔を見合わせる。
「……楽しそう」
マドカがぽつりと言った。
「でしょう!?」
ナナリーが嬉しそうに笑う。
アリシアもショーウィンドウをもう一度見る。
「確かに……いつもの衣装とはかなり違いますね」
「だから面白いんだよ!」
ナナリーはすっかり乗り気だった。
「色欲にはこういう服もいっぱいあるから、他にも探してみよう!」
「まだ探すの?」
「もちろん!」
「ライブの衣装を探すんじゃなかったの?」
「だから探してるんだよ!」
ナナリーはマドカの手を取る。
「ほら、マドカちゃん!」
「わっ」
「アリシアも!」
「ちょっと、ナナリー!」
三人はそのまま店の中へ引っ張られていく。
店のショーウィンドウには、黒と白のフリルに彩られたドレスが並んでいた。
ゴールではあまり見かけない、色欲ならではの服。
その文化に触れた三人の買い物は、まだ始まったばかりだった。




