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落内円は落ちている  作者: 七風


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236/514

アンチVS役場職員

「……さて」


配信者は、EVの画面を見ながら少し考えていた。


「ここまでゴールについて調べてきました」


『うん』


『もう結構詳しいぞ』


『ゴール研究家』


「その呼び方はやめてください」


『まだ言ってる』


「そして、総合エキドナ館についても調べました」


『猫カフェで終わったけどな』


『猫の話のほうが長かった』


「……」


配信者は少し黙った。


「しかし、ここまで来ると一つ気になることがあります」


『来た』


『何?』


「エキドナ本邸です」


コメント欄が一気に流れた。


『おお』


『ついに』


『本邸行くの?』


『総合エキドナ館とは別だからな』


「はい。総合エキドナ館は一般の人も利用できますが、本邸はそうではありません」


『そりゃそうだ』


『住んでるところだし』


「そこで今回は――」


配信者が少し間を置く。


「エキドナ本邸の取材許可を申請してみようと思います」


『www』


『そこからかよ』


『許可下りるの?』


『お前、エキドナに対して結構言ってきたぞ』


『アンチ配信者が本邸取材申請は草』


「私は別に、無断で入ろうとしているわけではありませんからね」


『それはそう』


『ちゃんと許可取るのは偉い』


『でも通るかは別問題』


「……それでは、申請してみましょう」


配信者はゴールの町役場へ向かった。


『町役場に出すの?』


『本邸の許可って町役場でいいのか?』


「そこも確認しておきます」


受付で事情を説明する。


「エキドナ本邸の取材許可をお願いしたいのですが」


受付の職員は少し考えた。


「本邸ですか?」


「はい」


「総合エキドナ館ではなく?」


「本邸です」


「……」


職員が少し困った顔をする。


「エキドナの方に直接確認したほうがいいと思います」


「なるほど」


『そりゃそうだw』


『町役場が勝手に許可出せるわけない』


『ゴール研究家、第一関門突破ならず』


「では、エキドナに問い合わせればいいんですね」


「はい。事情を伝えておきます」


「ありがとうございます」


配信者は役場を出た。


『で、誰が出てくるんだ?』


『ニコラ?』


『リゼットじゃない?』


『エキドナの代表って誰なんだ?』


「そこも含めて、返事を待ちます」


それからしばらくして。


EVに通知が届いた。


「……来ました」


『早い』


『誰から?』


配信者が画面を確認する。


「リゼットさんからです」


『来た』


『大魔法使い』


『怖い』


『お前大丈夫か?』


「……では、開きます」


メッセージには短い文章が書かれていた。


『ゴールの調査をしている方ですね』


『本邸の取材を希望しているとのことですが、何を見たいのでしょうか?』


「……」


配信者が固まる。


『www』


『聞かれてるぞ』


『目的を説明しろ』


『ここ重要』


「えー……」


配信者が考える。


「ゴールについて調べている中で、エキドナがこの町にどう関わっているのかを知りたい、と」


少し考えてから続ける。


「総合エキドナ館については、商品や施設、働いている方々を見せていただきました」


「その上で、本邸ではエキドナの方々が普段どのような活動をしているのかを知りたい、と」


『ちゃんとした理由になった』


『今回は真面目』


『ゴール研究家、成長したな』


配信者は送信する。


しばらくして。


通知。


「……返事が来ました」


『なんて?』


『断られた?』


『やっぱり無理?』


配信者が画面を読む。


そして――。


「……」


『どうした』


『読めよw』


「……『その程度の目的なら、別に構いませんよ』だそうです」


『通ったwww』


『えええ』


『普通に許可出た』


『リゼットさん寛容だな』


「本当に?」


配信者がもう一度画面を見る。


そこには続きがあった。


『ただし、本邸で見せられない場所もあります』


『そこは入らないようにしてください』


「もちろんです」


『あと』


「……?」


配信者が続きを読む。


『私たちの仕事について聞きたいのであれば、本人たちに直接聞いてください』


『私が全部説明するより、そのほうが早いでしょう』


「……」


『あ』


『これ』


『本人たちに聞く流れだ』


『次回エキドナメンバー登場か』


「なるほど……」


配信者が少し笑う。


「どうやら、取材そのものは許可していただけるようです」


『やったじゃん』


『本邸行けるぞ』


『何聞く?』


『まず何の施設なのか聞いてほしい』


『研究室見たい』


『ニコラに質問して』


『リゼットにゴールのこと聞いて』


「質問は、これから整理します」


配信者はカメラを見る。


「というわけで――」


少し間を置いて。


「次回、エキドナ本邸へ行きます」


『きたあああ』


『ついに本邸』


『ゴール研究家、本丸へ』


『許可取るだけで一話使ったぞw』


「だから私はゴール研究家ではありません!」


『はいはい』


『次回楽しみ』


『絶対また何か発見するぞ』


配信者は苦笑しながらEVの画面を閉じた。


「……では、次回までに質問を考えておきます」


今回の配信は、そこで終了した。


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