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落内円は落ちている  作者: 七風


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やべぇ村配信

「皆様、ごきげんようですわー!」


今日も配信画面に、ガブリエルが元気よく登場する。


「本日はですわね、ティニアと一緒にちょっと変わった場所へ行きますの!」


『ティニア!?』

『珍しい組み合わせだ』

『またガブちゃん何か始めるのかw』

『今日は何するんだ?』


「ふふふ。実はね、ガブちゃんに見せたい場所があるのよ!」


隣にいるティニアが、楽しそうに笑う。


「わたしが前に行ったことがある村なんだけど、すっごく面白いの!」


「まあ! そんな村がありますの?」


「あるわよ!」


『ティニアが自分から面白いって言うの珍しいな』

『これは期待』

『村紹介配信?』


「それで、どうしてティニアはその村に行きましたの?」


「んー?」


ティニアは少し考えてから答える。


「前にマドカさんと一緒に行ったの。モンバトのレア探しよ!」


「モンバトのレア探し!」


ガブリエルの目が輝く。


「それはわたくしも興味がありますわ!」


『結局モンバトかよw』

『ガブちゃん食いつくの早い』

『レア探しで村に行くのなんか冒険者っぽい』

『で、面白い村って何なんだ?』


「それでね、探してる途中にこの村を見つけたの」


「なるほど」


「最初は普通の村だと思ったんだけど……」


ティニアが意味ありげに笑う。


「入ったら、すっごく面白かったのよ!」


「そこまで言われると気になりますわね」


『ティニアがめっちゃ推してる』

『これは何かある』

『ガブちゃん、絶対好きそう』

『もうこの時点で嫌な予感するw』


しばらく歩くと、遠くに村が見えてきた。


「あっ、見えてきたわ!」


ティニアが指を差す。


「もうすぐよ、ガブちゃん!」


「まあまあ! 普通の村に見えますけれど……」


「…………」


突然、ティニアが立ち止まった。


「……着いたわ、ガブちゃん」


「はい?」


ティニアの表情が変わる。


「ここからは気合い入れるのよ!」


「…………」


ガブリエルが目を丸くする。


「絶対に気を抜いちゃ駄目だからね!」


「え?」


『??????』

『ティニア!?』

『さっきまで普通だったよな?』

『何が始まった?』

『急にどうしたw』

『ガブちゃん困ってるぞw』


ティニアは真剣な顔で村の入口を見る。


「この先では……油断したら駄目よ」


「……」


ガブリエルはティニアを見る。


村を見る。


もう一度ティニアを見る。


「……何ですの、これ?」


『俺も知りたい』

『視聴者も置いていかれてる』

『ティニアだけ理解してるの怖い』

『ガブちゃん頑張れ』


二人が村へ入る。


すると、村人の一人が二人に気づいた。


「――おお……」


村人がゆっくりと顔を上げる。


「旅人よ……」


「!」


ガブリエルが固まる。


ティニアは動じない。


「……我々は、導かれるままにこの地へと辿り着いた」


「!?」


『!?』

『なんだこれwww』

『ティニア完全に入ったぞ』

『さっきまでのティニアどこ行った』

『ガブちゃんの顔www』


村人が頷く。


「ならば、貴殿らもまた……運命に選ばれし者なのだろう」


「……」


ガブリエルは隣を見る。


ティニアは真剣そのものだ。


「ティニア……?」


「今は……」


ティニアが小声で言う。


「私をティニアと呼ばないで」


「…………」


ガブリエルの目が輝いた。


「……ははぁん」


『ガブちゃん何か理解した?』

『理解した顔してる』

『嫌な予感しかしない』

『絶対参加するぞこれ』


「そういうことですのね……!」


ガブリエルがゆっくりと村人へ向き直る。


「ならば――」


姿勢を正す。


「わたくしも、この世界の流儀に従わせていただきますわ!」


ティニアがニヤッと笑った。


「そうよ、ガブちゃん!」


「我が名は――」


ガブリエルが一拍置く。


「……」


コメント欄が一気に流れる。


『来るぞ』

『名前考えてるw』

『ガブちゃん頑張れ』

『ここで普通に名乗ったら負けだぞ』


「――ガブリエル!」


「普通に名乗った!!」


ティニアが即座に突っ込んだ。


「そこは変えなくていいの!?」


「だってわたくし、ガブリエルですもの!」


『wwwww』

『ティニアがツッコミに回ったw』

『この村もう面白い』

『ガブちゃん適応早すぎる』

『絶対この二人相性いいだろ』


村人はそんな二人を見て、満足そうに頷いた。


「よい……」


「……?」


「実に、よい名乗りであった」


ガブリエルも頷く。


「ふっ……」


『もう始まってるw』

『ガブちゃん楽しんでるだろ』

『さっきまで困ってたのにw』


「では、行きましょう。ティ――」


ガブリエルが言いかけて止まる。


「……あなた」


「そう、それでいいのよ」


ティニアが満足そうに頷いた。


二人は、村の奥へと歩いていく。


その後ろには、困惑しながらも面白がっている大量のコメントが流れていた。


『この村なんなんだよw』

『ティニアが知ってるってことは前にも来たんだよな?』

『マドカもこれ経験してるの?』

『マドカがどういう顔してたのか気になる』

『ガブちゃん絶対こういうの好きだと思ってた』

『とりあえず最後まで見るわ』

『我々は、この配信の行く末を見届ける……』

『↑もう感染してる奴いるぞw』


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