新配信システム
「皆様、ごきげんようですわ!」
情報塔の画面に、ガブリエルが映る。
「本日はエキドナから、新商品の発表がありますの!」
『新商品!?』
『また何か出るの?』
『エキドナ最近すごいな』
『ガブちゃんが紹介するの?』
「先日、追尾配信カメラを使った配信がありましたわね!」
ガブリエルが嬉しそうに話す。
「とても便利なものでしたわ!」
『あれ便利だった』
『カメラが勝手についてくるやつだろ?』
『配信者が動いても追いかけてくれるやつ』
『カメラマンいらないやつ』
「そうそう~」
隣からニコラが気の抜けた声を出す。
「カメラマンいらないんだもんね~」
「そうですわ!」
ガブリエルが頷く。
「そして、その追尾配信カメラと同じ日に、もう一つ新商品が発売されますの!」
『もう一つ!?』
『何それ』
『また新しい機械?』
「はい!」
ガブリエルが画面の横を見る。
「では、こちらをご覧くださいませ!」
ニコラが一台の端末を持って現れる。
「これだよ~」
『タブレット?』
『情報塔のタブレットとは違う?』
『新型?』
「これはね~」
ニコラが端末を軽く持ち上げる。
「配信を見るためだけじゃなくて、配信したり、動画を投稿したりできる端末だよ~」
『動画を投稿!?』
『自分で配信できるの?』
『情報塔と何が違うんだ?』
「そこですわ!」
ガブリエルが勢いよく話し始める。
「今までの情報塔のタブレットでは、情報塔で予約された番組を見ることができましたわね!」
『そうそう』
『あれは便利』
『ほぼ無料で配られたやつだよな』
「ですが――」
ガブリエルが端末を指差す。
「こちらは予約が必要ありませんの!」
『え!?』
『予約なし!?』
『好きな時間に配信できる?』
「そうだよ~」
ニコラが頷く。
「好きな時間に配信を始められるよ~」
「まあ!」
ガブリエルが嬉しそうに笑う。
「では、配信したいと思った時に、すぐ配信できるということですのね!」
「そうそう~」
「これは便利ですわ!」
『じゃあ配信の時間が被ったら?』
『二人が同時に始めたらどうなる?』
「それも大丈夫~」
ニコラが端末を操作する。
「新端末なら、同時に始まった配信のどちらを見るか、自分で選べるからね~」
「では、片方を見ている間に、もう片方を見逃してしまったら?」
「あとで見られるよ~」
『後から見られる!?』
『録画が残るの?』
『それは便利』
「そうですわ!」
ガブリエルが頷く。
「リアルタイムで参加したい方は、その場でコメントをして楽しめますの!」
「うん~」
「そして、見られなかった配信も、後から動画として見ることができますのね!」
「そういうこと~」
『なるほど』
『同時配信でも安心』
『好きな方を選べるのか』
「ちなみに~」
ニコラが続ける。
「エキドナの人気配信者は、今まで通り情報塔でも配信できるよ~」
「まあ!」
「だから、情報塔のタブレットを使ってる人も見られるし、新端末を持ってる人はそっちからも見られる」
『両方で見られるのか』
『じゃあガブちゃんの配信も?』
「もちろんですわ!」
ガブリエルが即答する。
「わたくしの配信も、両方で見られますわよ!」
「ただし~」
ニコラが端末を操作する。
「新端末で配信する場合は、その端末の中で配信予定を告知してね~」
『情報塔には出ないの?』
「出ないよ~」
『じゃあ新端末を持ってる人だけが分かるのか』
『完全に新端末向けだな』
「そういうこと~」
ガブリエルが納得したように頷く。
「情報塔の予約枠とは別なのですわね!」
「うん~」
「つまり、情報塔は予約した時間に配信する場所!」
「そう~」
「新端末なら、好きな時間に配信できる!」
「そうそう~」
「分かりやすいですわ!」
『じゃあ動画投稿は?』
『それもできるんだよな?』
「もちろん~」
ニコラが端末の画面を切り替える。
「録画しておいた動画を、そのまま投稿できるよ~」
「配信ではなく、動画として投稿するんですのね」
「そうだよ~」
「では、投稿された動画はいつでも見られる?」
「いつでも見られるよ~」
『じゃあ好きな時に見られるんだ』
『動画なら時間を合わせなくていいのか』
「そうですわ!」
ガブリエルが画面を覗き込む。
「そして、動画にもコメントは残せますの?」
「残せるよ~」
「では、視聴者の皆様が感想を書くこともできますわね!」
「ただし~」
ニコラが続ける。
「録画された動画だから、その場で投稿者がコメントに反応するわけじゃないよ~」
「ああ、なるほど」
ガブリエルが頷く。
「リアルタイム配信なら、その場で皆様とお話しできますけれど、動画投稿なら、投稿者がいなくても見られるということですのね」
「そうそう~」
『なるほど』
『配信と動画投稿は別なんだな』
『好きな時間に見られるのいいな』
「しかも~」
ニコラが何気なく付け加える。
「動画は好きなだけ投稿していいよ~」
『好きなだけ!?』
『数に制限ないの?』
『めちゃくちゃ投稿できるじゃん』
「ええ!?」
ガブリエルが驚く。
「では、毎日のように投稿する方も出てきそうですわね!」
「いるんじゃないかな~」
「それでは、見たい動画を探すのも大変なのでは?」
「だから~」
ニコラが端末を操作する。
「見たくない配信者は、遮断できるようにしてあるよ~」
『遮断!?』
『見たくない人を消せるの?』
『それ便利だな』
「まあ!」
ガブリエルが感心する。
「では、気に入った配信者の動画だけを楽しむこともできますのね!」
「そういうこと~」
「逆に、見たくない方の配信は表示されなくなる、と」
「うん~」
『好きな人だけ見られるのか』
『情報塔とは全然違うな』
『完全に自分で選ぶ方式じゃん』
ガブリエルが端末を見つめる。
「これは……かなり自由ですわね」
「そうだね~」
ニコラが笑う。
「情報塔はみんなが同じ番組を見る感じだけど、こっちは自分で好きなものを選ぶ感じかな~」
「なるほどですわ!」
ガブリエルが大きく頷く。
「ではまとめますわ!」
ガブリエルが端末を手に取る。
「情報塔のタブレットは、予約された情報塔の番組を見るもの!」
「新端末は――」
「好きな時間に配信できる!」
「リアルタイムでコメントしながら見ることもできる!」
「録画した動画を投稿することもできる!」
「投稿された動画は、好きな時間に見ることができる!」
「同時に配信が始まっても、好きな方を選べる!」
「そして、見なかった方も後から見ることができる!」
「見たくない配信者は遮断することもできる!」
「……だいたい合ってるよ~」
ニコラが横から頷く。
『めちゃくちゃ分かりやすい』
『ガブちゃん頑張った』
『欲しくなってきた』
『発売日は?』
ガブリエルがニコラを見る。
「発売日は?」
「追尾配信カメラと同じ日~」
「まあ!」
ガブリエルが笑顔になる。
「では皆様!」
「追尾配信カメラと、新しい配信端末!」
「ぜひ楽しみにしていてくださいませ!」
ニコラが端末を軽く掲げる。
「買ってね~」
『ニコラさん最後だけ商売っ気出したw』
『欲しい』
『これは買う』
『配信する人には便利そう』
『ガブちゃんは絶対買うだろ』
「もちろんですわ!」
ガブリエルが即答する。
「わたくし、好きな時間に配信していいんですもの!」
ニコラが横で小さく笑った。
「……配信しすぎないでね~」
「なぜですの!?」
『www』
『ニコラ分かってる』
『ガブちゃん絶対使い倒す』




