神社?
「皆さん! 聞いてくださいまし!」
夕食の席で、ガブリエルが勢いよく話し始めた。
「今日、私たち四人で森のかなり奥まで行きましたの! そこで、すごい施設を見つけたんですわ!」
「施設?」
エレノアが首を傾げる。
「どんなところだったの?」
マドカも興味深そうに聞く。
「そうですわねー……」
ガブリエルは今日見たものを思い出しながら、身振りを交えて説明する。
「赤い柱が二本あって、上には横に木がありましたわ!」
マドカとナナリーの手が止まった。
「そして進むと、動物の像が左右に分かれてまして――」
「……マドカちゃん」
「うん」
ナナリーがマドカを見る。
「それ、なんか……」
「神社っぽいよね」
「やっぱり?」
二人の反応に、ガブリエルが首を傾げる。
「神社?」
「しかも日本建築」
マドカが続ける。
「赤い柱が二本あって、その上に横木があるなら、たぶん鳥居。動物の像は……」
「狛犬かな」
ナナリーが答える。
「その奥に木造の建物があるなら、かなりそれっぽい」
「まぁ……」
ガブリエルは目を丸くする。
「そんなものなんですの?」
「たぶんね」
リゼットが二人を見ながら口を挟んだ。
「マドカの前世の記憶にあるのかしら?」
「うん。日本にはそういう場所が普通にあったよ」
「なるほどねぇ」
リゼットは納得したように頷いた。
「それで、ガブリエル。中には入ったの?」
「いえ!」
ガブリエルは即答した。
「いつ崩れるか分かりませんし、勝手に入って壊してしまったらまずそうでしたので、そのまま帰ってきましたわ!」
「それは正解だと思う」
マドカが頷く。
そして少し考えた。
「……ガブちゃん」
「なんですの?」
「一度、見に行った方がいいんじゃない?」
「私もそう思う」
ナナリーも続ける。
「日本の神社に、冒険者が何も知らずにズカズカ入ってきてたら……祟りとかありそうだし」
「祟り!?」
ガブリエルが固まる。
「うーん……」
マドカも少し考える。
「確かに。神様を祀ってる場所だから、何があるか分かんないしね」
「そんなに危険なところなんですの!?」
「いや、危険っていう意味じゃなくて……」
マドカは苦笑する。
「私たちのいた世界では、色々な神様がいて、それにちなんだ神社とかがあったんだよ」
「色々な神様?」
「うん」
マドカは指を折りながら説明する。
「恋愛成就とか、学業祈願とか、健康とか、商売とか。お願いごとによって有名な神社があったりしたんだ」
「まぁ!」
ガブリエルの目が輝く。
「では、お願いごとをする場所なんですの?」
「基本的にはそういう場所だね」
「では、せっかく見つけたのですから、何かお願いしてみたいですわ!」
「……そこはまだ分からないよ」
「そうですわね」
ガブリエルは少し考えてから、にっこり笑った。
「では、まずは調査ですわ!」
「うん。それがいいと思う」
マドカも頷く。
「ただし、勝手に壊したり触ったりはしないでね」
「分かりましたわ!」
ガブリエルは元気よく返事をした。
その横で、ナナリーが小さく呟く。
「……でも、なんでこんなところに神社があるんだろうね」
「それなんだよね」
マドカも古い施設のことを思い出す。
夕食の席に、ほんの少しだけ沈黙が落ちた。
誰もまだ、その神社がどこから来たものなのかを知らなかった。




