ガブちゃん トンチンカンの質の高さに驚く
「皆様、本日は町の外まで来ていますわ!」
ガブリエルは冒険者として、町の外にある浅い森へやって来ていた。
「この辺りなら、まだ危険も少ないですし、冒険者の活動をするにはちょうどいいですわね!」
『冒険者配信だ!』
『今日はどんな感じ?』
『ガブちゃんソロ?』
「もちろんソロですわ!」
森の中を進んでいると――。
「……あら?」
少し先から、人の声が聞こえてきた。
「誰かいますわね」
木々の間から覗いてみる。
「あれは……」
見覚えのある三人組だった。
「トーイ、チティ、カーンですわ!」
エキドナの屋敷で、いつも見かける三人。
そういえば最近、三人とも冒険者登録をしたらしい。
「せっかくですし、近くで見ていましょう」
ガブリエルは少し離れた場所から三人を見守る。
「危なそうなら助けてあげますわ!」
『知ってる子?』
『屋敷にいる三人組じゃん』
『冒険者になったの?』
「そうらしいですわね」
すると、三人が森の中で魔物を発見した。
トーイが先に動く。
「そこだ!」
素早く接近し、攻撃。
続いてチティが援護。
「こっち!」
カーンもタイミングを合わせて動く。
三人の連携は、思っていた以上にしっかりしていた。
「……」
ガブリエルが目を丸くする。
「なんですの!?」
さらに三人は息の合った動きで相手を追い詰めていく。
『普通に上手くない?』
『新人冒険者だよね?』
『連携すごい』
『この三人、こんな動きできるのか』
「ちょ、ちょっと待ってくださいまし!」
ガブリエルが思わず前に出る。
「あなたたち、本当に冒険者になったばかりですの!?」
その声で、三人がこちらを見る。
「……あ」
トーイがガブリエルに気づいた。
「ガブ姫様!?」
「配信中ですの?」
チティがカメラを見る。
「わぁ、ガブ姫様だぁ!」
カーンも気づいた。
「それならちょうどいいな」
三人がこちらへやってくる。
「俺はエキドナ所属、トーイだ! よろしくな!」
「チティです! ガブ姫様、こんにちはぁ!」
「カーンです」
カーンが軽く頭を下げる。
「俺たち三人でエキドナの雑用なんかをやって、半分保護のような形でお世話になっています」
「まぁまぁ!」
ガブリエルが驚く。
「私、エキドナのメンバー入り、まだ駄目と言われてますのよ!?」
『え?』
『ガブちゃん?』
『メンバーじゃなかったの?』
トーイが少し困った顔をする。
「だってガブちゃんだし……」
「なっ!?」
「卒業後らしいじゃないですか、ガブ姫様」
チティが悪気なく続ける。
「今はまだ学生だからって」
「そうですわよね」
カーンも頷く。
「ガブ姫様、がんばって……」
「な、なんですのその言い方は!」
『ガブちゃんエキドナヅラしてメンバーに認められてなかったのかよ』
『まさかの正式メンバーじゃなかった』
『トンチンカントリオから事実確認されてるw』
『卒業待ちなのか』
『ガブちゃん頑張れ……』
「皆様まで!」
ガブリエルがカメラを見る。
「私はエキドナの皆様と一緒に活動していますわよ!?」
『でもメンバーじゃないんでしょ?』
『トーイたちのほうがエキドナ所属って言ってるぞ』
『ガブちゃん頑張れ』
「うぅ……!」
三人はそんなガブリエルを見ながら、いつものように笑っていた。
「それよりガブ姫様」
トーイが森の奥を指差す。
「この先、まだ魔物いるぞ」
「そうなんですの?」
「うん」
「じゃあ一緒に行きます?」
チティが笑う。
「えっ」
ガブリエルが三人を見る。
「……あなたたち、新米冒険者ですわよね?」
「そうだぞ!」
「それでこの動きですの!?」
コメント欄も盛り上がる。
『新人とは』
『普通に頼りになる』
『ガブちゃんより先に森を把握してるw』
「……」
ガブリエルは少し考えた。
「仕方ありませんわね!」
そして三人の隣に並ぶ。
「本日は新人冒険者の皆様を、私がしっかり見守って差し上げますわ!」
「逆じゃない?」
カーンがぽつりと言った。
「…………」
『www』
『ガブちゃん頑張れ』
『完全に保護者側じゃないトンチンカントリオ』




