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落内円は落ちている  作者: 七風


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ナナリー ガブちゃんと張り合う

「私、モンヒロリンクのグッズになりました!」


 ナナリーが嬉しそうに広告を掲げる。


「ちゃんと予約もしましたよ」

「…………」


 その言葉を聞いたガブリエルの目が変わった。


「予約……?」

「はい」

「予約しましたの?」

「もちろんです」

「…………」


 ガブリエルがゆっくり立ち上がる。


「私も予約しましたわ!」


「え?」


 ナナリーが目を丸くする。


「私もです!」


「そうなんですか?」


「ええ!」


 ガブリエルは胸を張った。


「広告を見たその日のうちに予約しましたわ!」


「私もです」


「私の方が早いですわ!」


「どうして張り合うんですか?」


「モンバトですもの!」


「そこは理由になってるんですかね……」


 ナナリーが苦笑する。


「ちなみに、何を予約したんですの?」


「全部です」


「…………」


 ガブリエルが固まった。


「ぜ、全部?」

「はい」


「私も……」


 ガブリエルが小さく呟く。


「全部ですわ」


「張り合う必要あります?」


「ありますわ!」


「なぜ!?」


「モンバトですから!」


「二回目ですね、それ」


 ナナリーが笑う。


 コメント欄も一気に盛り上がった。



『また始まったw』


『ガブちゃん負けず嫌い』


『何個予約したんだよ』


『ナナリー本人とガブちゃんで予約数勝負するな』


「数なら負けませんわ!」


 ガブリエルが宣言する。


「私は観賞用、保存用、布教用――」


「ちょっと待ってください」


 ナナリーが止める。


「それ、何個買うつもりですか?」

「企業秘密ですわ!」


「さっきまで全部って言ってませんでした?」


「…………」


 ガブリエルが一瞬黙る。


「細かいことはいいんですの!」


「細かくないですよ」


 ナナリーが笑う。


「でも、私のグッズをそんなに楽しみにしてくれる人がいるのは嬉しいですね」


「もちろんですわ!」


 ガブリエルは即答する。


「ナナリーさんのグッズも、モンバト側のグッズも、ヒロバト側のグッズも!」


「ありがとうございます」


「全部並べますわ!」


「部屋が大変なことになりそうですね」


「それも含めて楽しみですわ!」


 ガブリエルは広告を見ながら満足そうに笑う。


「発売日が待ち遠しいですわね!」


「そうですね」


 二人が並んで広告を見る。


 そして――。


「……私の方が早く予約したと思いますけど」


 ナナリーがぽつり。


「え?」


 ガブリエルが振り向く。


「私、広告が出てすぐ予約しましたよ」


「…………」


「ガブリエルさんは?」


「…………私もですわ」


「どっちが先でしょうね」


「それは――」


 ガブリエルが真剣な顔になる。


「確認する必要がありますわね」


「そこまでします?」


『予約日時で勝負始まったw』


『誰か止めろw』


「モンバトの歴史に残る勝負ですわ!」


「そんな大げさな」 


「でも、私のグッズってマドカちゃんとの共演が多いんですよね」




 ナナリーが広告を眺めながら、嬉しそうに呟く。


「マドカちゃんと一緒に写っているものも多いですし」


「…………」


 ガブリエルの表情が変わった。


「まあっ!」


 勢いよくナナリーを見る。


「マドカの親友は私ですわ!」


「え?」


 ナナリーが目を丸くする。


「私、マドカちゃんと仲良しですよ?懐いてくれて本当にかわいい。」


「私だって仲良しですわ!」


「そうなんですか?」


「そうですわ!」



 ガブリエルが胸を張る。


「モンバトでも一緒に戦っておりますし!」


「それはモンバトの中ですよね?」


「…………」


 ガブリエルが一瞬止まる。


「それ以外でも……」


「ガブリエルさん、モンバト以外でマドカちゃんと絡んでます?」


「もちろんですわ!」


「例えば?」


「…………」


 ガブリエルが考え込む。

「…………」


「…………」


 なかなか出てこない。


「えーっと……」


 ガブリエルが苦しそうに視線を泳がせる。



「…………」


 ナナリーがにこにこしながら待っている。


「…………」


「ありません?」


「ありますわ!」



 ガブリエルが勢いよく叫ぶ。


「た、たくさんありますわ!」


「例えば?」


「…………」



 また止まる。


「……普段から会っていますわ!」


「それはそうですけど」


「一緒にご飯を食べることもありますし!」


「それもそうですね」


「買い物にも!」


「……それ、エキドナの皆さんと一緒じゃないですか?」


「…………」



 ガブリエルが黙る。


『ガブちゃん苦しくなってきたw』


『親友の証拠が出てこないw』


『ナナリー強い』


「まあ!」


 ナナリーが笑う。



「じゃあ、モンバト以外では私の方が共演が多いですね」


「…………」



 ガブリエルが広告を見る。


 そこには、ナナリーとマドカが一緒に描かれたグッズがいくつも並んでいる。


「……むむむ」


 ガブリエルの目が細くなる。


「分かりましたわ!」


「何が?」


「私もマドカとのグッズを作ればいいんですの!」


「え?」


「ナナリーさんだけマドカとの共演グッズが多いなら、私も作ればいい!」


「いや、グッズって自分で作るものじゃ――」


「マドカのアクリルスタンド!」



 ガブリエルの目が輝く。


「私の隣に置きますわ!」


「…………」


 マドカが無言になる。


「そして私のアクリルスタンドも隣に置いて――」


「それファンの自己満足なんだよなぁ……」


「…………」



 ガブリエルが固まる。


『正論www』


『マドカ容赦ないw』


『それはそう』


『公式グッズとは別物だろw』


「い、いいんですの!」


 ガブリエルが反論する。


「ファンの自己満足も大事ですわ!」


「まあ、それは否定しないけど」


「でしょう!?」


 ガブリエルはすぐに立ち直った。


「ならば問題ありませんわ!」


「問題はあると思いますけど……」



 ナナリーが苦笑する。


「でも、私もマドカちゃんとのグッズはもっと欲しいですね」


「ナナリーさんはもういっぱいありますでしょう!」


「それでも欲しいものは欲しいですよ」


「…………」


 ガブリエルが再び広告を見る。


「……私も、もっと増やしますわ」


「張り合ってる?」


「張り合ってませんわ!」

「張り合ってますね」


「違いますわ!」


 コメント欄が一気に流れる。


『親友グッズ戦争』


『ガブちゃん頑張れw』


『マドカ本人だけ冷静』


『本人に許可取れよw』


 マドカはコメント欄を眺めて、ため息をついた。


「……なんで私の知らないところで、私のグッズの話がどんどん進んでるんだろ」


 ナナリーとガブリエルは顔を見合わせる。


「許可は取ります」

「もちろんですわ!」


 二人の返事だけは、妙に揃っていた。

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