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落内円は落ちている  作者: 七風


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ガブちゃん お料理配信ゲスト夫人

「皆様、ごきげんようですわ!」


今日のガブリエルは、エキドナ邸の厨房にいた。


「本日はですね――」


隣にはクリスティーナ夫人がいる。


「クリスティーナ叔母様と一緒に、お菓子を作りますの!」


「よろしくお願いしますね」


夫人がにこやかに微笑む。


『こんにちは、クリスティーナ夫人』


『本日もお美しいです』


『ご一緒できるとは光栄です』


『楽しみにしております』


「…………」


ガブリエルがコメント欄を見る。


「ちょっと待ってくださいまし」


『?』


「私のときとコメントの雰囲気が違いませんこと?」


『気のせい』


『ガブちゃんはガブちゃんだから』


『夫人には失礼なこと言えない』


「なぜですの!?」


夫人がくすくす笑う。


「まあまあ。今日はお菓子作りを楽しみましょう?」


「はい、叔母様!」


ガブリエルも気を取り直す。


「今日は何を作りますの?」


「簡単なお菓子にしましょうか」


材料を並べる。


ガブリエルは張り切って作業を始めた。


「まずはこちらを混ぜますのね?」


「ええ。優しく混ぜてくださいね」


「お任せくださいまし!」


勢いよく混ぜ始める。


「…………」


夫人が少しだけ目を細める。


「ガブリエル、もう少しゆっくりで大丈夫ですよ」


「こうですの?」


「ええ、そうそう」


『ガブちゃん雑』


『料理できないタイプか』


『前から怪しいと思ってた』


「聞こえておりますわよ!?」


『料理配信なのに腕力で解決しようとしてる』


「違いますわ!」


ガブリエルは少し速度を落とした。


しばらくして――。


「次はこれを入れますわ!」


「はい。量を確認してから――」


ガブリエルが入れようとする。


「……ガブリエル」


「はい?」


「それ、少し多いですね」


「…………」


「半分くらいで大丈夫ですよ」


「なるほど」


ガブリエルは戻そうとする。


「……戻せませんわ」


『草』


『もうダメじゃん』


『ガブちゃん料理配信やめよう』


「まだ始まったばかりですわ!」


夫人は笑顔のまま材料を整えていく。


「大丈夫ですよ。こちらは私が調整しますから」


『クリスティーナ夫人お優しい』


『ありがとうございます』


『さすが夫人』


『ガブちゃんをよろしくお願いします』


「皆様!?」


『夫人には丁寧になる』


『ガブちゃんは任せた』


「私を何だと思っていますの!」


夫人が楽しそうに笑う。


「ふふ。ガブリエルは元気でいいですね」


「叔母様!」


「はい?」


「皆様、叔母様にはものすごく丁寧ですわ!」


「そうなのですか?」


『当然です』


『夫人に失礼なこと言えるわけないでしょう』


『いつもお世話になっております』


「ほら!」


「ふふふ」


夫人は嬉しそうだ。


「皆様、ありがとうございます」


『いえいえ、とんでもございません』


『こちらこそありがとうございます』


『本日は素敵な配信をありがとうございます』


ガブリエルが画面を見る。


「……私にもそれくらい丁寧にしてくださいまし!」


『ガブちゃんはいいの』


『ガブちゃんだから』


「どういうことですの!?」


そんなやり取りをしながら、作業は進んでいく。


やがて焼き上がったお菓子が並ぶ。


「できましたわ!」


「綺麗に焼けましたね」


「私もかなり頑張りましたもの!」


『夫人がかなり頑張ったの間違いでは』


「私も頑張りましたわ!」


夫人が笑いながら一つ取り分ける。


「では、いただきましょうか」


「はい!」


二人で食べる。


「……美味しいですわ!」


「ええ、美味しくできましたね」


『おいしそう』


『夫人さすが』


『ガブちゃんも……まあ……』


「今の『まあ』は何ですの!?」


『ガブちゃんが作った部分もあるから』


『たぶん』


「たぶん!?」


夫人がまた笑う。


「ガブリエルも、よく頑張りましたよ」


「叔母様……!」


ガブリエルが嬉しそうに笑う。


「では、今日は大成功ですわね!」


『夫人のおかげ』


『大成功でございます』


『クリスティーナ夫人、ありがとうございました』


「こちらこそ。皆様とお話しできて楽しかったです」


「……」


ガブリエルがコメント欄を見る。


「最後まで私には厳しいですわね!?」


『愛です』


『ガブちゃんだから』


「納得いきませんわ!」


夫人が隣で楽しそうに笑っている。


「また一緒に作りましょうね、ガブリエル」


「もちろんですわ!」


「次はもう少し簡単なものにしましょうか」


「…………」


ガブリエルが少しだけ目を逸らした。


「それは……お願いしますわ」


『自覚した』


『次回も楽しみ』


「では皆様、また次回ですわ!」


「ごきげんよう」


二人で手を振り、その日の配信は終わった。


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