ガブちゃん ユニットを組みたがる
「皆様、ごきげんようですわ!」
今日のガブリエルは、エキドナ邸を歩いていた。
「先日の配信、覚えていらっしゃいます?」
『ナナリーさんとのやつ?』
『バイオリンとダンスのやつ』
『あれ面白かった』
「そう、それですわ!」
ガブリエルは嬉しそうに頷く。
「前回、ナナリー様とコラボしましたでしょう?」
『したね』
「私、あれをやってみて思いましたの」
少し考えてから、胸を張る。
「本格的に音楽活動をしてもいいかもしれませんわね!」
『お?』
『ユニット?』
「そうですわ!」
ガブリエルがカメラに向かって宣言する。
「今日はメンバーを探そうと思いますのよ!」
『エキドナから?』
「もちろんですわ!」
そう言って最初に向かったのは――リゼットだった。
「リゼット!」
「嫌よ」
「まだ何も言ってませんわ!」
「どうせ面倒なことを言うんでしょう?」
「音楽ユニットですわ!」
「だから嫌よ」
即答だった。
『早い』
『リゼット容赦ない』
『ガブちゃん撃沈』
「なぜですの!?」
「私はそういうの向いてないもの」
「歌は?」
「歌う気ないわ」
「踊りは?」
「もっと嫌」
「…………」
ガブリエルは諦めて次へ向かった。
「ニコラ博士!」
「面倒~」
「まだ何も言ってませんわ!」
「音楽でしょぉ~?」
「そうですわ!」
「やっぱり面倒~」
「なぜ分かりましたの!?」
「ガブリエルちゃんがそういう顔してるからぁ~」
『ニコラ博士強い』
『開始数秒で終了』
「ではヒナタ!」
「えっ、私ですか?」
「音楽ユニットですわ!」
「ちょ、ちょっとだけ興味ありますけど……」
ヒナタが少し目を泳がせる。
「恥ずかしいです……」
「そこを何とか!」
「うぅ……」
「歌だけでも!」
「……ちょっとだけなら……」
「本当ですの!?」
「で、でも恥ずかしいので……」
「分かりましたわ!」
ガブリエルは何かをメモするような仕草をした。
「候補ですわね!」
「候補なんですか!?」
『ヒナタかわいい』
『ちょっと興味あるのね』
「次!」
今度はカトリーヌのところへ。
「カトリーヌ!」
「研究が忙しいので」
「まだ何も言ってませんわ!」
「音楽活動でしょう?」
「なぜ分かりますの!?」
「今までの流れを聞いていれば分かります」
「むぅ……」
「申し訳ありませんけど、研究を優先しますね」
「分かりましたわ!」
ガブリエルは潔く次へ。
「グレタ!」
「誘うやつ間違ってんだろ?」
「音楽ユニットですわ!」
「なんで俺なんだよ!」
「だってエキドナのメンバーですもの!」
「歌とか踊りとか俺にやらせる気か?」
「……」
ガブリエルが少し考える。
「演奏は?」
「何の?」
「……それは今から考えますわ!」
「考えてから誘え!」
『正論』
『グレタかわいそう』
「ではブリジット!」
「仕事がありますので」
「即答ですわね!」
「申し訳ありません」
「お仕事なら仕方ありませんわ!」
そして最後。
「お姉様!」
「はい?」
「音楽ユニットを組みませんこと?」
エレノアは少し考える。
「……音楽活動ですか?」
「ええ!」
「ガブリエルがそこまでやりたいのでしたら――」
少しだけ笑う。
「しょうがないですね」
「!」
「今回の配信だけですよ?」
「やったー! ですわ!」
『決まった』
『まさかのエレノア』
『姉妹コラボだ』
『これ普通に見たい』
エレノアが苦笑する。
「本当に今回だけですからね?」
「もちろんですわ!」
「その顔、絶対また誘うつもりでしょう?」
「…………」
「ガブリエル?」
「そんなことありませんわ!」
『絶対誘う』
『顔に出てる』
「では、お姉様!」
「はい」
「本日は姉妹で音楽配信ですわ!」
エレノアもカメラに向かって微笑む。
「よろしくお願いしますね」
ガブリエルは嬉しそうにバイオリンを構えた。
「では、始めますわ!」
『姉妹コラボきた!』
『エレノアさん頑張って』
『ガブちゃん嬉しそう』
「お姉様、次はこちらですわ!」
「え、もう次ですか?」
「もちろんですわ!」
「……今回だけですよ?」
「はい!」
『絶対またやるやつ』




