↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/495

宣伝って、必要じゃない?

「……これ、本当に使うの?」


 ニコラが一枚の紙を持っている。


「使う!」


 マドカは即答した。


「絶対?」


「絶対!」


「恥ずかしいんだけど~……」


「なんで!?」


 紙に描かれているのは――


 デフォルメされたニコラ。


 二頭身。


 大きな眼鏡。


 白衣。


 そして手には巨大な魔道具。


 その横には。


『ニコラ印! 魔力節約型・自動温度調整器!』


「……私、こんなに頭大きい~?」


「可愛いでしょ!」


「私は学者なんだけど~」


「だから可愛くしたの!」


「学者は可愛くしなくていいよ~……」


 リゼットが紙を覗き込む。


「よく描けているわね」


「でしょう!」


「ただ」


 リゼットがニコラを見る。


「実物より少し幼く見えるわ」


「そこ~!?」


 ニコラが頭を抱えた。


     ◆


「そもそも」


 ニコラは椅子に座る。


「魔道具って、宣伝する必要あるの~?」


「ある!」


「欲しい人が買えばいいじゃん~」


「それじゃダメ!」


 マドカが力説する。


「どんなに良い商品でも、知られなかったら売れない!」


「…………」


「例えばこの魔道具!」


 マドカは温度調整器を持ち上げる。


「これ、めちゃくちゃ便利なのに、普通の人は存在すら知らない!」


「まあ……そうだね~」


「だから!」


 マドカは紙に大きく書く。


『知ってもらう』


「まずこれ!」


「…………」


 ニコラは少し考える。


「なるほど~」


「分かった?」


「うん~」


 ニコラが頷く。


「つまり私が研究してる間に、あなたが勝手に宣伝してくれるんだね~」


「そう!」


「楽~」


「ニコラさん、そういうところだよ!」


「何が~?」


     ◆


 翌日。


 マドカは町の掲示板に漫画を貼った。


『魔道具って便利!』


 一枚目。


 デフォルメされた女性が暑さに苦しんでいる。


『あつい……』


 二枚目。


 ニコラが登場。


『そんなときはこれ~』


 三枚目。


 魔道具を起動。


『涼しい~』


 四枚目。


 女性が笑顔。


『すごい!』


 最後。


 ニコラが腕を組んでいる。


『詳しくは魔道具工房ニコラまで~』


「完璧!」


 マドカは満足そうに頷く。


 通りすがりの人たちが漫画を見る。


「なんだこれ?」


「魔道具の宣伝?」


「絵が上手いな」


「この女の子、可愛い」


「ニコラって誰?」


 マドカは遠くから様子を見ていた。


「……見てる!」


 リゼットも頷く。


「ええ」


「成功じゃん!」


「そうね」


     ◆


 その日の夕方。


 研究所。


「ニコラさん!」


「ん~?」


「今日、お客さん来た?」


「来た~」


「何人?」


「七人」


「すご!」


「魔道具買った人は三人~」


「三人!?」


 マドカが飛び跳ねる。


「やった!」


「なんか~」


 ニコラは売上を眺める。


「昨日まで一日一人来るかどうかだったのに~」


「でしょ!」


「……宣伝ってすごいね~」


「でしょ!」


「じゃあ明日もお願い~」


「もちろん!」


 ニコラが何気なく言う。


「あと新しい魔道具作ったから~」


「え?」


「これも宣伝して~」


 机の上に置かれた魔道具。


「…………」


 マドカはそれを見る。


「ニコラさん」


「ん~?」


「私、広報担当になってない?」


「便利だから~」


「人を便利扱いしないで!」


 リゼットが笑う。


「でも、あなたは絵を描くのが好きでしょう?」


「まあ……好きだけど」


「ならいいじゃない」


「うーん……」


 マドカは新しい魔道具を見る。


 そして。


「……漫画のネタになるなら、いいか!」


「決まり~」


「軽い!」


     ◆


 数日後。


 王都のあちこちに。


 ニコラの魔道具を紹介する漫画が貼られるようになった。


 その中には。


 妙に可愛い二頭身ニコラ。


 そして。


 なぜか毎回隅っこに描かれている。


「便利って最高!」


という謎のマドカのキャラクターまでいた。


     ◆


 研究室。


「……なんで私よりこの子のほうが人気なの~?」


 ニコラが漫画を見ながら呟く。


「マドカだからじゃない?」


 リゼットが答える。


「納得いかない~」


「じゃあニコラさんもキャラクター化する?」


「もうしてるじゃん~」


「もっと可愛く」


「嫌~」


「もっと美人に」


「……それなら考える~」


「そこは乗るんだ……」


 マドカが呆れる。


 しかし。


 その日から少しずつ。


 王都では――


「ニコラの魔道具は便利」


という評判が広がり始めていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。