↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
168/557

モンバト配信

 トライアングルの活動、その次の配信。


 今回は歌でもダンスでもない。


 テーブルの上に置かれた端末と、何枚ものカード。


「今日はモンバトをやります!」


 ナナリーが笑顔で宣言する。


 コメント欄が一気に流れた。


『お?』

『モンバト!?』

『ナナリー様モンバトやるの?』

『聖女がモンバトしてる』

『対戦してくれ』

『カード持ってる?』


「もちろんです。今日はちゃんと用意してもらいました」


 ナナリーがカードを並べる。


 すると、コメント欄に妙な反応が増え始めた。


『そのカードデータ取れる?』

『取れるなら欲しい』

『それデータ屋めっちゃ高いぞ!』

『売ってくれ!』

『ナナリー様、それ売ったら金になるぞ!』

『待て、普通に欲しい』

『データ屋価格で頼む』


「……なんですかこれ?」


 ナナリーが困惑する。


 マネが横から覗き込んだ。


「どうやら、まだ持っていないデータを欲しがっている人がいるようですね」


「そんなに高いんですか?」


『高い』

『めっちゃ高い』

『そのデータ持ってる人少ない』

『ナナリー様頼む』

『聖女様お願いします』


「ええ……」


 ナナリーがカードを見る。


「じゃあ、せっかくなのでデータを取っておきましょうか」


 コメント欄が沸いた。


『神』

『聖女ありがとう』

『買います』

『絶対買う』

『モンバト始めてよかった』


 ナナリーは笑いながらゲームを始めた。


「なるほど……こうやって遊ぶんですね」


 カードを選び、モンスターを出す。


「おお、動いた!」


『そこ驚くんだ』

『初々しい』

『聖女様かわいい』


 しばらく遊んでいると、マドカが横から覗き込んだ。


「ナナリーちゃん、対戦する?」


「え?」


「私、チャンピオンだよ」


「……チャンピオン?」


「モンバトの」


 ナナリーが少し考える。


「では……お願いします!」


 対戦開始。


 数分後。


「…………」


「…………」


 ナナリーのモンスターが全滅した。


「……」


 画面には、マドカの勝利。


『wwwww』

『早い』

『聖女ボロ負け』

『チャンピオン相手は無理だろw』

『マドカに挑むなw』

『初心者が勝てるわけない』

『聖女今日も死んでる』

『ゲームでも死ぬのか』

『マドカには無理だろ』


「ちょっと!」


 ナナリーがコメント欄を見る。


「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」


「でもナナリーちゃん、今のは無理だよ」


「マドカちゃんまで!?」


「だって私チャンピオンだし」


「……次は勝ちます」


「いいよ」


 マドカが笑う。


「何回でもやろう」


 再戦。


 そしてまた負ける。


『wwww』

『学習した?』

『してない』

『聖女かわいい』

『マドカ強すぎ』

『これがチャンピオン』

『ナナリー頑張れ』


 ナナリーはしばらく画面を見つめていた。


 そして、ふっと笑う。


「……でも」


 カードを手に取る。


「モンバト、面白いですね」


『それな』

『落ちたな』

『ようこそ』

『モンバトへ』

『聖女も沼った』


「もう一回やりましょう!」


「いいよ」


 マドカがすぐにカードを並べる。


 配信は、そのまましばらく続いた。


 ――数日後。


 今度は町の外。


 ナナリーが一人の子供と向かい合っていた。


「今日はこの子と対戦します!」


「よろしくお願いします!」


「こちらこそ!」


 ナナリーは自信満々にカードを並べる。


 対する子供も慣れた手つきでカードを置く。


「じゃあ、いきます!」


 対戦開始。


「……あれ?」


 ナナリーの顔が曇る。


「……あれ?」


 子供の攻撃が次々と決まっていく。


『お?』

『子供相手ならいけるか?』

『ナナリー頑張れ』

『相手めっちゃ慣れてる』

『嫌な予感』


「待ってください!」


 最後の一撃。


 ナナリーのモンスターが倒れる。


「……」


「勝った!」


 子供が嬉しそうに跳ねる。


 ナナリーは画面を見つめたまま固まった。


『wwwww』

『子供にも負けたw』

『聖女www』

『モンバト面白いですねとは何だったのか』

『マドカだけじゃなかった』

『普通にゲーム初心者だった』

『かわいいから許す』

『次は勝てるよ』


「……」


 ナナリーがゆっくり顔を上げる。


「もう一回お願いします!」


「いいよ!」


 子供が笑う。


「今度は勝ちますからね!」


 そして二戦目が始まった。


 モンバトを楽しむ聖女の姿は、いつの間にか町の外でも配信されるようになっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。