怠惰での活動は?
「では、次は活動について決めていきましょうか」
「うん!」
「まずは何から始めるか、ですね」
結成したばかりの三人は、そのまま今後の予定について話し始めた。
「とりあえず、ナナリーはレベルを上げたほうがいいわね」
リゼットがナナリーを見る。
「今のままだと、ダンジョンに入っても戦闘ができないでしょう?」
「はい……そこは自分でも分かっています」
「だったら、レベル上げも兼ねて配信すればいいんじゃない?」
マドカが言った。
「ダンジョン配信?」
「うん。私たちと一緒なら危なくないし、ナナリーも経験を積めるし」
「それなら私も頑張ります」
「それはいいですね」
マネさんが話に入ってきた。
「ナナリーの活動としても、ただ歌って踊るだけではなく、こうした配信があるほうが幅が出ます。聖女としての活動とも両立できますし」
「そうですね」
ナナリーも頷いた。
「歌と踊りのほうも、早めに形にしたいですね」
「もちろんです」
マネさんがすぐに答える。
「こちらはできたものから映像結晶にして販売しましょう。完成を待って活動を始める必要はありません」
「せっかく三人で活動するのですから、練習したものは映像結晶にして販売できるようにしたいです」
ナナリーが続ける。
「それもいいわね」
リゼットが頷いた。
「ソロのものと、三人のもの。どちらも作れるでしょうし」
「そのあたりは販売方法を考えておきます」
マネさんが手帳に何かを書き込む。
「ナナリー単独のものと、トライアングルとしてのもの。両方あったほうがいいでしょうね」
「マネさん、仕事早いね」
マドカが感心する。
「これが仕事ですから」
マネさんは当然のように返した。
「じゃあ、しばらくはゴールで活動していきましょうか」
そこで、ふとリゼットが言った。
「……ただ、いつまでも怠惰だけというわけにもいかないでしょうね」
「色欲もありますしね」
ナナリーが頷く。
「そもそも私は、怠惰に布教に来ている立場ですから」
「だったら、怠惰で有名になって、映像結晶も色欲で売りなさいな」
「それは良いですね」
マネさんが反応した。
「色欲に戻ったとき、怠惰での活動実績がそのまま宣伝材料になります。映像結晶も向こうで販売できれば、活動を広げやすい」
「なるほど」
ナナリーが少し考える。
「では、色欲でもトライアングルの活動をしていいんですね?」
「そうだねー」
マドカが頷く。
「……もう色欲にも転移陣、置いちゃえば?」
「転移陣?」
「そう。そうすれば行きやすいし、色欲の素材とかデータとかも取れそうだし」
マドカが指を折りながら数える。
「色欲でもトライアングルできそうじゃん」
「確かに……」
ナナリーも少し嬉しそうだ。
「活動場所が増えるなら、私としてもありがたいですね」
マネさんも頷く。
「ただ、現状では色欲までの移動時間が問題でしょう。そこは皆さんに任せるしかありませんが」
だが、リゼットがそこで現実的な問題を口にした。
「でも、色欲までは船でしょう?」
「んー……船でしょー」
ニコラが気だるげに口を挟む。
「長いんだよねー」
「どのくらいかかるんです?」
「一週間くらい?」
「一週間……」
ナナリーが思わず遠い目をする。
「それでは、気軽に活動場所を移すというわけにはいきませんね」
マネさんが困った顔をする。
「だったら、早い船を作れば?」
マドカが何気なく言った。
「この世界って、帆船とかじゃないの?」
「基本的にはそうね」
「じゃあ魔法で速くするとか」
「……それは面白そうですね」
グレタがいれば、こういう話には食いつきそうだ。
「グレタとゲンナイに相談してみるよ」
「お願いします」
マネさんが頷く。
「移動時間が短くなれば、色欲での活動計画もかなり組みやすくなります」
マドカがそう言って、次の問題へ移る。
「それと、色欲でも配信できるようにしないといけないわね」
「映像結晶だけじゃ弱いわ」
リゼットも頷く。
「向こうでもリアルタイムで見られたほうがいいでしょう」
「そのほうが、活動を続けていることも伝えやすいですね」
マネさんも賛成する。
「歌や踊りだけでなく、配信そのものが宣伝になります」
「でも、あっちに塔は作れないよねー」
ニコラが首を傾げる。
「許可とか必要そうだし」
「家庭用かなあ」
「そこは任せるわ、技術班に」
「わかったー」
マネさんは手帳を閉じた。
「では、当面はゴールで活動。ナナリーのレベル上げ、ダンジョン配信、歌と踊りの練習、映像結晶の制作と販売。それと、色欲での活動に向けた準備ですね」
「うん」
「私も頑張ります」
「私も、できることから始めます」
三人がそれぞれ頷く。
トライアングルの活動は、こうして具体的な形を持ち始めた。
まずはゴールで。
そして、その先に色欲がある。
そこへ行くために必要なのは――
長い船旅をどうするか。
そして、向こうでも配信できる環境をどう作るか。
その二つは、エキドナの技術班に託されることになった。




