ユニット
「配信……エキドナさん達と、ですか?」
マネが少し考える。
「エキドナさん達の配信ですと、戦うものが多いと思いますが……」
「歌って戦える聖女って、かっこよくないかしら?」
リゼットがさらりと言った。
「歌って戦う聖女……」
ナナリーが呟く。
「いいですね!」
マネの目が輝いた。
「ナナリー様はファンも多いです。危険なことに巻き込まれる可能性もありますし、戦えるという姿を見せておくのは悪くありません!」
「もちろん、ナナリーの歌とダンスをメインにして、私たちがゲスト参加するというのもありね」
「推しと配信……すごい……!」
マドカの目が輝いた。
「はいはい」
リゼットが笑う。
「まぁ、なんでもいいのよ。歌や踊りも大事だけれど、私たちが配信してるのはそれだけじゃないでしょう?」
「雑談もあるし、質問コーナーもあるよね~」
ニコラが指を折る。
「ただ遊んでるだけの配信もあるし、料理したりもするし~」
「もちろん冒険者向けにクエストをしたり、ダンジョン攻略をすることもあるわ」
リゼットが続ける。
「ある程度、なんでも挑戦してるのよ?」
「わ、私、料理は苦手で……」
「じゃあさ!」
マドカが手を上げた。
「ナナリーにご飯作って食べてもらうのは!? 私作る!」
「ふふ。それもいいわね」
リゼットは笑った。
「ただ、それだけじゃ少し弱いわね」
「弱いと仰いますと?」
マネが不思議そうにする。
「充分に活動できていると思いますが……」
「そうね。だから、もっと単純なこともできるわ」
リゼットが指を立てた。
「情報塔で何も予定がない時間は、あなたの映像結晶をずっと流してあげてもいいわね」
「えっ?」
「何曲くらいあるの?」
「えーっと……そうですね」
ナナリーが指を折りながら考える。
「五十はあると思います」
「アルバム五枚作れるね!?」
マドカが食いついた。
「アルバム?」
リゼットが首を傾げる。
「写真でも入れるのかしら?」
「えっとね!」
マドカが説明する。
「前世の音だけを聞ける音源媒体のこと。十曲くらい聞けるやつ!」
「なるほど……」
「ま、まぁ、マドカがすごいあなたのファンだし、それを作って流すのもありだと思うわ」
リゼットが頷く。
「すごい……」
ナナリーが少し呆然とする。
「私の歌が、ずっと流れてるなんて……」
「私たちは最近、作って投げっぱなしで、世間の評価とかあまり気にしたことなかったのだけど」
リゼットは少しだけ苦笑する。
「結構、配信を気に入ってくれてる子もいるのよ」
そしてナナリーを見る。
「そんなところに、色欲の聖女がわざわざスロリアゴールまで来てくれた。とても嬉しいことだわ」
「だから、エキドナさんにも何か思い出が欲しい、ということですね」
マネが理解する。
「そう。例えば――」
リゼットが少し考える。
「聖女ナナリーと一緒に、音楽に参加するとか。面白いと思うのだけど」
「にゃにゃこちゃんとデビュー……?」
マドカが固まる。
「定員何人!?」
「え?」
ナナリーが目を丸くする。
「エキドナの皆さんは怠惰では有名人。そこにナナリー様と一緒に音楽活動……」
マネの頭の中で、何かが完成したらしい。
「いけますわ!」
「ですが……」
ナナリーが恐る恐る口を挟む。
「どなたとでしょう……?」
「そうねー」
リゼットがマドカを見る。
「マドカは運動神経抜群だし、ダンスなんて一度見れば覚えられるわね」
「歌は知らないわ?」
「歌かー」
マドカが考える。
「こっちで歌うことって、ぶっちゃけある?」
「……あんまりないね~」
ニコラが首を傾げる。
「歌って、オペラとかそういうやつでしょ~?」
「アイドル活動というものが、怠惰では馴染みがないのかもしれないわね」
リゼットも考える。
「演奏会とかはよくあるみたいだけど。吟遊詩人なんかもいるわね」
「そういうのではないのでしょう?昨日のような曲は、私も初めて聞いたわ とても素敵じゃない。」
「マドカちゃんと私……」
ナナリーがマドカを見る。
「マドカちゃん、かわいいしいいかもしれませんね」
「!」
マドカの目が輝く。
「もう一人、誰かいたらいいかも」
「私、足を引っ張っちゃうかもしれないし ナナリーに迷惑かけたくないよ?」
「私は嫌よ?」
リゼットが即答した。
「私はマドカを見てるわ」
「私も歌はあんまり興味ないなぁ~」
ニコラも乗り気ではない。
「誰かいた?」
そのときだった。
「ただいま戻りました」
書類を抱えたアリシアが、部屋へ入ってくる。
「んー?」
「……」
「……」
「……」
部屋にいた全員が、じーっとアリシアを見る。
「?」
アリシアは不思議そうに首を傾げた。
「とても素敵な方ですね」
マネが呟く。
「綺麗。アイドルみたい。」
「あー、いたわね」
リゼットが頷いた。
「いたんじゃない~?」
ニコラもアリシアを見る。
「この美貌は……いけますね!」
マネが一気に食いついた。
「美少女のマドカさん、気品のありそうなこの方、そしてナナリー様!」
「歌の方は、レッスンしてもらいますわ!」
「え?」
アリシアが書類を抱えたまま固まる。
「……あの」
三人の視線がアリシアに集まる。
「何の話でしょう……?」




