圧がすごいわ・・・?
「そういえば、マドカ」
リゼットがふと思い出したように尋ねる。
「この聖女さんとは、どういう仲なの?」
「えっとね!」
マドカの顔がぱっと明るくなる。
「前世でも、今みんなでやってる配信と同じようなのがあってね。ナナリーは『にゃにゃこちゃん』って名前で活動してて、私ね! ずっと配信見てたの!」
「……うん」
ナナリーが少し恥ずかしそうに笑う。
「歌を歌ったり、ダンスしたり、ゲームしたりね! ずっとファンで!」
「マドカちゃん、恥ずかしいよ」
「昨日なんて、にゃにゃこちゃんの頃の曲を歌ってくれて……私、本当に嬉しくて……」
マドカは胸の前で手を握る。
「最推し……!」
「だから恥ずかしいってば」
ナナリーが困ったように笑った。
「なるほど。マドカさんは前世でもナナリー様のファンでいらっしゃったと!」
マネが感心したように頷く。
「さすがナナリー様ですね! さぞ人気だったのでしょうね!」
「それで昨日気づいちゃって……頭の中が、わーってなって。すごい、すごいって!」
「ふふ。あなたが嬉しいのは分かったから、少し落ち着きなさいな」
リゼットがマドカを宥める。
そしてナナリーへ視線を向けた。
「それで、あなたたちは怠惰に音楽を広めに来たんだったわね?」
「ええ、そうなんです!」
マネが嬉しそうに頷く。
「ナナリー様の歌を、世界中の人に聞いてもらいたい! それが私の夢でもありますからね!」
「マ、マネージャーさん……」
ナナリーが困った顔でマネを見る。
「そこまで私、考えてなかったですけど……」
「頑張りますね……」
「なるほど」
リゼットが顎に手を当てる。
「では、怠惰で人気者になると、目標は達成できたということ?」
「それが目標で、配信カメラを買いましたからね!」
マネが胸を張る。
「もう少し配信できる時間を確保できたらいいのですが」
「なにも配信にこだわる必要ないんじゃない~?」
気の抜けた声が横から飛んできた。
「あなたはモンバトやヒロバトを開発した、ニコラ博士でいらっしゃいますね?!」
マネの目が輝く。
「何か代案があるのでしょうか?」
「ん~?」
ニコラは眼鏡を押し上げる。
「聖女さんが歌と踊りをしてる映像があればいいんでしょ~?」
「はい!」
「撮影して、売ればいいんじゃないの~?」
「ニコラ……!」
マドカが勢いよく振り向く。
「それはDVDってことだね!?」
「マドカ、どうしたの~?」
「ちょっと勢いすごいんだけど~?」
「DVD……とは?」
マネが首を傾げる。
「んー、いつでも同じ映像を見返せる、映像結晶みたいなものだね!」
「映像結晶……」
ナナリーが呟く。
「私の歌と踊りが、DVD化……」
少し考えてから、目を輝かせた。
「歌はダウンロードしてもらってたけど……映像作品はなかったよ」
「ん~。ニコラなら可能ね」
リゼットがあっさりと言う。
「そして、あなた」
今度はナナリーを見る。
「私たちと一緒に配信しなさい?」
「え?」
「それである程度は認知度も上がるでしょう?」
「リゼット様! よろしいのですか!?」
マネが食いつく。
「あなた、圧がすごいわ……?」
「す、すみません……!」
「ふふ、せっかくここまで来たんだもの。歌いたいなら歌えばいいのよ」
「……はい!」
ナナリーの顔が、ぱっと明るくなった。




